メルペイがオリガミを買収、資金力による消耗戦に耐えられず…

メルペイがオリガミを買収…

字面だけ見れば、何を言っているのかさっぱりわからないでしょうね。オリガミ?買収?どういうこと…???

両方とも電子決済手段です。

この世界は、圧倒的な資金力が“ものを言う”わけで、つまり、キャッシュレス還元で現金をばら撒ける体力があるかどうかで、たとえ赤字になっても、その分、自社決済利用者が増えれば将来赤字は取り戻せるというビジネスモデルは、もう資金力が全てです。

メルカリにとって、オリガミが持つ信金中央金庫とのパイプはおいしいでしょう。全国中小事業者8万社が手に入るわけですからね。

今回の買収で、オリガミのサービスは、時期は未定ですが終了します。

メルペイがオリガミ完全子会社化に向け、オリガミ全株式取得に向け、株式譲渡の実行日は2月25日の予定となりました。買収金額は非開示です。

メルペイとの統合で、将来的にオリガミペイのサービスは終了するので、オリガミペイの利用者は新たにメルペイに登録する手続きが必要になります。

オリガミは、2012年に設立したフィンテック系のスタートアップ企業で、当初はスマホの電子商取引(EC)アプリを展開していました。

2016年にQRコードを利用した決済サービスに参入、他の決済手段に比べて当初は割引率が高く、20~30代のユーザーに人気がありました。

2017年1月にはタクシー大手の日本交通でサービスが利用できるようになり、ビジネスマンの需要も開拓するなど、スマホ決済のパイオニアとして事業展開を進め、決済できる場所は約19万カ所に上っています。

ここまでは電子決済のパイオニアとして、成長を遂げてきましたが、やはり大手資本が入ることで、流れは大きく変わりました。 

IT大手のスマホ決済参入です。

2016年に楽天が、2018年にはソフトバンクグループ傘下のPayPayが参入しました。

ここから資金力にものを言わせた、決済利用者囲い込み合戦となります。

ペイペイは2018年末、購入額の20%を利用者に還元するキャンペーンを実施、サービス開始から1年余りで利用者数は2300万人を超え、単月の決済回数は1億回を超え、1年間で22倍に増えました。

2月には、外食チェーンでペイペイを利用すると、購入金額の40%を残高として還元し、まだまだユーザーが増える手を打っていくと攻め続け、全国20拠点で数千人が使える場所を開拓し、加盟店は185万カ所超になりました。

赤字なんて気にしない…

ペイペイは、豊富な資金力を背景に利用者や加盟店を増やしていきます。

ペイペイのキャンペーンを皮切りに、他のスマホ決済を手がける企業も還元施策を次々と始め、キャンペーンごとに利用するスマホ決済を変える消費者も出てきて、利用者獲得のための還元施策は競争が激化していきました。

こうなれば、資金力があるところが勝つのは定石で、資金力がないところの価値のつけ方が、非常に難しくなってきます。

オリガミも決済金額を直接割り引く形で、サービス開始直後からユーザー還元競争に率先して取り組んできました。すべての加盟店で、1~2割引きにするクーポンを配信したり、加盟店での飲食代金を500円以上割り引いたりしました。

原資はオリガミ自身が負担する場合と、加盟店とオリガミが出し合う場合があったようです。

だが企業体力に限りがあるオリガミのようなスタートアップにとって、還元競争と消費者の認知度向上策には限界があったのは事実で、クーポンの多くは利用店舗が限られていた他、利用期間が1日から1週間などと短いものが多かったですね。

ペイペイなどが取り組んだ大規模な還元策に対抗することができず、
ユーザーが日常的に使う決済サービスとしての存在感は強まらなかった…

もう、資金力の戦いになった時点で、結果は明らかでしたね。

テレビCMなどでの広告も大手の決済サービスと比べて数が少なく、オリガミの認知度が高まらないままです。

MM総研(東京・港)が2019年10月に公表した調査によると、ペイペイや楽天ペイ、LINEペイの認知度が60%を超えているのに対し、オリガミは20%強にとどまるなど、苦境を強いられたとあります。

LINEはスマホ決済「LINEペイ」で大型の還元キャンペーンを2019年4~6月期に実施し、マーケティング費用として97億円を投じ、その結果、2019年1~9月期の営業損益は275億円の赤字(前年同期は67億円)でした。

ここでLINEは、2019年7~9月期のLINEペイのマーケティング費用は8億円と大幅に減らした結果、LINEペイの月間利用者数は2019年4~6月期に490万人だったのが、7~9月期には286万人にまで減少しました。

まさに、
    2018年以降の決済事業者間による還元が激化は消耗戦
となりました。

そして、最近話題になったLINEとヤフー(Zホールディングス)との経営統合につながっていきます。LINEペイとペイペイのサービスについても、いずれ統合するでしょう。

そんな中で、オリガミは、法人向けに打開策を見いだそうとしました。

2019年9月に、同社の決済基盤を企業向けに開放し、独自の決済アプリを開発するサービスを始めました。

吉野家やすかいらーくなどが活用を決め、11月にはトヨタ自動車が開発した決済アプリ「TOYOTA Wallet」の一部をオリガミが担うなど、事業者向けに活路を見出しつつありました。

メルカリとメルペイは、信金中央金庫と業務提携を結んだと発表しました。

信金中金はもともとオリガミに出資しており、QRコード決済の加盟店開拓で協力していました。オリガミは今回の買収後にこれまで培ってきた加盟店網をメルペイ側に統合するため、メルカリグループが信金中金との提携関係も引き継ぎます。

信金中央金庫は今後、全国ネットワークを通じてメルカリグループのサービス拡大を支援します。メルカリの利用方法を説明する教室を全国で開催することなどを検討、メルペイの利用拡大により地方でキャッシュレス化が進展する効果も見込めるとしています。

オリガミの利用者数とメルカリの利用者数を合わせても、大手IT企業のペイメント利用者数を脅かす水準にはならないそうです。

QRコードを利用する決済サービスを全国的に提供する主要なスマホ決済事業者は10社程度とされ、ペイペイやLINEペイのほか、楽天が手掛ける「楽天ペイ」やNTTドコモ「d払い」など、大手IT系の事業者が認知度などで優位に立つ中、今後は大手IT系への合流を軸に淘汰が進む可能性があると見られています。

消耗戦が続く限り、収益化が難しい事業者は今後も再編が進む可能性があるでしょう。

決済手段を握る経済圏構築は強く、楽天が携帯事業や決済事業に進出するのは、まさにその流れで、ソフトバンクは、世界にない、携帯キャリアまで有した決済事業を持つ、大きな経済圏を確立したと言えます。

たしかに、アマゾンもフェイスブックも、携帯キャリアは持っていませんからね。

電子決済での、短期化の業界編成を目の当たりにして、スタートアップ企業のビジネスの難しさもそうですが、シェア確保や、とにかく事業を継続する難しさを、学んだような気がします…

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