「信用スコア」は日本社会に馴染むのか…そもそも「信用スコア」ってなに?

米国や中国では、社会における経済活動において「信用スコア」が一つの“ものさし”となっています。個人を相手とする商売では、「信用スコア」をもとに、取引の是非や価格設定が決められるくらいに、重要な要素となっています。

 特に中国では、信用スコアを活用したサービスがかなり普及しており、電子決済サービスのアリペイ(支付宝)で有名なアリババグループの傘下「芝麻信用(セサミクレジット、ジーマ信用)」の信用スコアは、事実上、中国の信用スコアの標準として普及しています。

「信用スコア」とは、いったどのようなもので、この流れは日、本社会においても浸透してくるのでしょうか…

信用スコアとはなにか

信用スコアとは「その人の信用度を数値化したもの」と定義されます。

その人のなにを数値化するのか…
誰が数値化するのか…
数値化されたものの社会的評価は…
信用スコアはどのように活用されるのか…

様々な疑問が湧いてきます。

先行して社会インフラで実証している中国の例を紹介しながら、「信用スコア」を考えていきます。

個人の年齢や性別、職業、購買行動など個人に紐づくさまざまなデータを分析します。

消費履歴も分析対象となるので、個人データの開示をどう考えるのかが日本での普及では、大きなハードルとなりそうです。

日本におけるキャッシュレス化の進捗を見ていても、世界で広く普及しているものでも日本だけは取り入れないという実例はたくさんあって、米国や中国でポピュラーになっているからと言って、日本でも広く普及するとは限りませんね。

便利になるなら個人情報提供も厭わない
利便性を取るか個人情報保護を取るかと聞かれれば迷わず利便性を取る...

これが中国の人々の考えですから、そこは日本とは基本的な土台が違いますね。

中国は国家の個人への強制力が強いというのもあり、米国はなんだかんだ言いながら国家への忠誠心も強く、両国とも最後は国家を信用しているところはありますが、日本においては国民が国家や行政を信用していないところがあり、「制度は良いが運営する人たちが信用できない」という構図なっているのが致命的ですね。

信用スコアはビジネスシーンに活用することを目的として作成されていて、運営会社によってもその数値は異なりますが、基本的には2桁から4桁ほどの数値で表されることが多いようです。

信用スコア算出は、AIが行うことになります。

様々な個人情報に基づいてAIが信用スコアを算出し、数値化されたスコアを信用スコア運営会社が提携企業に提供し、それを受け取った企業が商売に活用するといった流れです。

中国芝麻(ジーマ)信用の例

芝麻信用では以下の5分野が評価の対象とされています。

  • 身分特質(社会的地位、年齢、学歴、職業など)
  • 履行能力(過去の支払い状況、資産など)
  • 信用歴史(クレジット、取引履歴など)
  • 人脈関係(交友関係、相手の身分など)
  • 行為偏好(消費の特徴など)

消費の特徴については、キャッシュレス決済の普及率がかなり進んでいる中国では、その多くがアリペイを利用していて、芝麻信用は、そのアリペイの決済記録を活用しています。

数値化されてたものは5段階に分離されスコア区分が

350~550点 信用較差(やや劣る)
550~600点 信用中等(まずまず)
600~650点 信用良好(好ましい)
650~700点 信用優秀(優れる)
700~950点 信用極好(極めて良い)

となっています。一般的に、600点以上で「信用力がある」とみなされているようです。

社会的にも優位に立つことができ、様々な取引においても、スコアが高得点の場合はスムーズに運ぶことができます。ぎゃくにスコアが低い人は、かなり社会的行動が制限されてしまいます。

中国には、無人コンビニが多くありますが、万引き等の犯罪が少ないのは、監視カメラが数多く設置されているのもそうですが、犯罪を犯した本人が特定されれば、この信用スコアに大きく影響してくるので、犯罪行動を自制しているという指摘もあります。

それだけ、信用スコアが低ければ、かなりの面で社会的行動が制限されるようです。

中国では、信用スコアが高得点の人に向けては、さまざまな優遇措置が実施されているようです。その一例をご紹介します…

  • 金融ローンの金利優遇
  • 借入れ審査期間の短縮
  • 様々なサービス利用時でのデポジット支払い免除
  • 賃貸契約での敷金支払い免除
  • 出国手続きの簡素化

米国での「信用スコア」

米国では、企業における人員採用の事前調査に「信用スコア」が使われるようです。

米国で「信用スコア」と言えば、Fair Isaac Corporation(通称FICO)の「FICOスコア」がになります。米国の貸付業者の90%以上が利用していると言われています。

独立行政法人国民生活センターが毎月配信している「国民生活」ウェブ版2019年10月号「気になるこの用語」で、岡田崇弁護士が「信用スコア(クレジットスコア)」を説明しています。http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201910_12.pdf

その内容を参照させていただくと、「クレジット社会であるアメリカはクレジット スコア社会ともいわれています…」という書き出しで、アメリカにおける「信用スコア」を説明されています。

アメリカでの「信用スコア」といえば、Fair Isaac Corporation(通称FICO)の「FICOスコア」があり、米国の貸付業者の90%以上が利用していると言われています。

「国民生活」ウェブ版にある解説によれば、「FICOスコア」の特徴を

支払履歴、借入限度額利用割合、クレジット利用期間、そのクレジットの酒類や構成、新規借入額などの、クレジットに関する数値化データを用い、性別や年齢、住所、収入、勤務先などの個人情報は、数値計算対象から外されているようです。

「人種差別」と「女性差別」を意識しているという、アメリカ社会ならではのように思えます。

ウェブ版記事によれば、信用スコアによれば「クレ ジットカードの申請や住宅ローンだけではな く、電気・ガスの契約時やアパート・家の入居 審査にもFICOスコアは用いられており、数値 が低い場合には、契約を断られたり、デポジッ ト(保証金)を求められることがあります…」とあります。

就職や転職の際にも、信用スコアは参照されるようです。

アメリカでは信用情報はSSN(社会保障番号) とひも付いており、アメリカに来たばかりの駐在員や移民では、クレジットヒストリーがない ため低い数値からスタートせざるを得ないとのことです。

一度低い数値になると生活全般に影響し、上げるのが困難であるといった問題があることを、記事では指摘されています。

クレジットスコアは、中国とアメリカ社会では、 定着しているといえそうです。

日本での「信用スコア」

日本国内でも、金融機関やITサービス企業の参入が相次いでいます。

個人向け信用スコアを手掛ける「J.Score(ジェイスコア)」や、購買履歴や連携アプリ内での行動を元に高点数者に限って付加的サービスを提供目的の「Yahoo!スコア」があります。

ユーザー間の取引円滑化をメインとする「メルカリ」も、信用スコアに基づき前払いサービスを手掛けています。

日本の場合は、信用スコアに取り組む目的がそれぞれあり、統一感に賭けるところがあり、それが日本での「信用スコア」定着の妨げになっているところもあるいう指摘もあります。

中国の芝麻信用(ジーマ)は、日本ではバラバラの要素ををつにまとめて、全てを網羅した「信用スコア」担っているのです。

日本初のAIによるスコアリングとして知られる「J.Score」は、みずほ銀行とソフトバンクが合同で設立したスコアサービスで、個人向け融資サービス「AIスコア・レンディング」や「AIスコア・リワード」を提供しています。

「LINE Score」では、すでにLINEの個人融資サービスでの優遇が始まっています。

「Yahoo!スコア」では、今後、レストランやコンサートの先行予約やYahoo!ショッピングを利用する際の優遇などが検討されているとのことです。

「信用スコア」普及には、キャッシュレス化が前提となっているので、キャッシュレスが遅れている日本で「信用スコア」がなかなか浸透しないのも頷けはします。

コロナ禍での非接触、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の必要から、今後はキャッシュレス決済は、大きく社会に浸透していくことが予想されるところはあります。

なにより、日本においては、個人情報の取り扱いについて、なかなか広く国民の賛同を得ることは難しい状況です。

JACSSホームページによれば、日本の場合、“信用”という単語が消費者に不安を与えたり、格付けをするようなイメージがついたりするのを避けるという理由から、「信用スコア」とは表記されていないそうです。

キャッシュレス社会の進捗、何より個人情報の取り扱いに対する国民お思い、及び個人情報を委託する国や行政へに信頼が問われる話なのかもしれませんね…

みずほ銀行とソフトバンクによる「情報銀行」

みずほ銀行とソフトバンクによる情報銀行サービスでは、企業が求める条件に合致する利用者に、アプリ上で情報提供依頼を届け、マーケティングやセールスなどの利用目的や情報提供対価などが企業ごとの条件が示されます。

利用者が承諾すれば、Jスコアが保有しているデータが渡ります。利用者側の本人確認も必須とします。

利用者が得る対価は、情報の範囲や利用期間によって異なりますが、1件当たり500円前後のようです。

Jスコアは、当初は旅行会社や自動車、食品メーカーなど十数社を相手に個人データの提供を開始します。約1年で40社程度まで増やす予定だそうです。

売上高は、数年後に数十億円を目指すとのことです。

このAIを活用した情報銀行サービスで、みずほ銀行とソフトバンクは、個人と企業を仲介するプラットフォームを握る狙いがあるようです。

海外では、IT大手の「GAFA」が収集した個人情報を対価なしで取得し、利用者が想定しない分野で活用する状況にあります。

「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、内定辞退予測率を企業に販売するという、個人情報使用の同意に関する問題が起きました。

情報銀行が扱う個人情報が、これからのIT社会インフラ構築に重要になってくることは理解しながらも、やはり個人情報の取り扱い方、また情報を扱う側の信用が問われることになるのでしょう…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA