給与デジタル払い解禁、直接スマホの「○○Pay」へ…

政府は給与のデジタル払いを解禁する…

従業員は、自分の給料を、銀行口座ではなくスマートフォンで受け取ることができるようになります。正確には、決済アプリに企業が給与を振り込んでくれるようになるのです。

従って、銀行口座に振り込まれたお金を、 「○○pay」 にお金を送る必要がなくなります。給料日に、すぐに 「○○pay」 が使えるようになるのです。

「○○pay」に振り込まれたお金を現金化することも可能です。保証機関に通知をしてからの手続きとなりますので、現金受取には数日かかるようではありますね。

「給与デジタル払い」を導入することで、銀行口座開設が難しい外国人労働者(unbanked)への給与支給を便利にすることができます。

またこの「デジタル払い」という仕組みを考えると、例えば経費精算などでは振り込みまでのサイクルが長ければ、それだけ自腹での負担が重くなるわけで、それを解消できることも考えられます。

昭和の映画で見ることがあるでしょうが、昔は給料は茶封筒に入れて現金で手渡されていた時代がありました。銀行振込が当たり前でない時代の話で、給料が多いことを「封筒が立った」なんて表現され、それが高額所得者の自慢でもあったようです。

給料のありがたみがわからなくなる...
労働を軽んじることになる...

現金支給から銀行振込に変わったときも、このようなことが言われていたのでしょうかね。

それが今度は、スマートフォンに数字が表示されるだけになるのですから、世の中、変われば変わるものです…

銀行のビジネスモデルが変わる…?

給与の支払いが資金移動業者にうつれば、銀行のビジネスモデルが揺らぐとの見方があります。

たとえば新卒社員は入社時に銀行口座を作り、そのまま利用し続ける人も少なくないです。銀行口座を作らず、デジタルマネー支払いを選ぶ人が増えれば、銀行の顧客基盤が縮小することも想定されます。

「○○Pay」といったスマホ決済業者にとっては、ビジネス拡大のチャンスが広がる可能性があります。

利用者にすれば、スマートフォン決済アプリを使う際に、銀行からお金を引き出す手間がなくなります。スマートフォン決算アプリに直接お金が充足されるわけですから、買い物もスムーズです。

ただ現金払いでないと受けつけられないもの、たとえば納税がそうですが、納税でなくても、未だに現金しか扱わないお店もありますからね。一部100円ショプなど、クレジットカードも受け付けないお店もありますね。

デジタル払いが広がると、給与振り込みの口座を起点に預金を集める従来の銀行のビジネスモデルには、大きな影響をもたらす可能性もあります。預金残高をチェクして、投資信託販売を行うなんて商売の仕方もありましたからね。

信用金庫は、いかにして年金受取りの指定銀行にしてもらうかが商売のポイントで、いまでも信用金庫でお金を借りる場合は、給与振込の指定銀行にすることが融資の条件としているところもあります。

最近では、「デジタルバンク」という、従来の銀行が展開しているインターネット銀行とは全く違う、スマートフォンだけで完結できる新しい形態の銀行が、2021年5月からスタートするところもあります。

労働基準法との兼ね合い

給与支払いに関しては、労働基準法で細かく規定されています。
「賃金払いの5原則」というものが存在します。

  1. 通貨での支払い
  2. 直接本人への支払い
  3. 全額支払い
  4. 毎月1回以上の支払い
  5. 一定の期日を定めての支払い

通貨での支払いを義務付けているのは、実物給与を禁じることにあります。直接払いは中間搾取防止のため、全額払いを規定しているのは支払い一部留保による労働者足止め防止の為と、それぞれ理由があるようです。

これには例外規定があり、通貨での直接支払いの他に「口座振込」が認められています。通勤手当の現物支給として定期券を付与することも認められています。本人との同意があれば、小切手での退職金支払いは認められています。

ただし外国通貨での支払いや有価証券の支給は認められていません。

今回の「給与デジタル払い」とは、この支払い手段に新たな例外として「○○Pay」や「電子マネー」などの手段が追加されるということになります。

「賃金支払の5原則」での「4、毎月1回以上の支払い」というところでは、例えばバイトやパートタイム、日雇いなどのケースでは、週単位であったり、それこそ1日単位で報酬を得られた方が嬉しいケースも、」給与デジタ利払いでは面倒なく行うことができるということも考えられます。

いままで「月1回」の給与支払いは、業務の効率化を考えてのことであったのが、支払いオプションの柔軟化により、働き方によっては、給与デジタル払いが認められることで効果がをもたらすということも考えられます。

経費や給与がすぐに支給されるのは、働き手としては大変ありがたいシステムになるのではないでしょうか。

QRコード決済の普及で給与デジタル払いは受け入れられる…

日常の買い物ではQRコードなどによるキャッシュレス決済が広く普及していますが、そのサービスは、金融庁に登録する資金移動業者が担っています。

給与支払いについては例外的に銀行振り込みを認めてきましたが、その際に、免許制の銀行に比べ安全網が整っていない資金移動業者は対象外となっていました。

海外では銀行口座を介さない給与支払いの受け皿としてプリペイドカードの「ペイロールカード(Payroll Card)」が広がっています。米調査会社によると、2021年に550億ドル(約5兆7000億円)の給与がペイロールカードに振り込まれ、10年前と比べて2倍超になる見通しだとのことです。

「給与デジタル払い」では、この資金移動業者が発行するプリペイド方式の「ペイロールカード(Payroll Card)」が導入され、給与の支払先としてペイロールカードを指定できるようになります。

つまり、このペイロールカードを資金移動業者が提供する「○○Pay」などの決済サービスに結びつけることで、従来までのように銀行口座に接続した後に、決済サービス上の口座にいったん資金を移して(チャージ)から使う手順を採る必要がなくなるというわけです。

もちろん、決済サービスは資金移動業者であり、送金やATMを介しての現金引き出しにも対応します。

確かに、銀行講座を持たない外国人労働者への給与支払いは便利になります。

「○○Pay」だけでなく、「d払い」や交通系、流通系の電子マネーも、給与支払い先としては対象となります。

不安はやはり、資金移動業者の安全性とセキュリティー

海外では当たり前となりつつある、給与のデジタル払いに関しては、安全性への懸念を訴える声があり、資金移動業者が破綻した場合などの影響が大きく、これまで労働組合側の連合などが反対してきました。

銀行その他の金融機関の場合、破綻した際には預金保険制度が適用され、預金者の口座の元本1000万円が保護されます。預金者へ速やかに払い戻しされるでしょう。

一方、資金移動業者は、供託などで利用者の資金の全額を保全しなければならないのですが、資金の取扱額が日々変動している資金移動業者の場合、経営破綻時に保全額が十分ではないこともあり、一部しか資金が戻ってこないケースも考えられます。

全額を払い戻せるとしても、確定手続きに半年程度かかることが多いとのことです。

給与の確実な支払いを担保するために、本人確認をいかに徹底するかも課題となっています。

ハッキングなどによる資金の不正流出やセキュリティー不備による不正送金が起きないようにするといった課題への対応、補償の枠組みの整備も必要になってきます。

政府は安全基準をみたした企業に限るとしています。

労働基準法に基づく省令を改正し、資金移動業者も例外的に認める対象に加えると同時に、個人情報保護や資金保全などでの基準を定め、安全性を担保するようにしています。事業者には保証機関や保険会社と契約し、仮に破綻しても労働者への支払いが遅れないようにする仕組みの構築を求めています。

本人確認の体制が十分な企業かどうかも基準とします。

パスワードだけでなく利用者の携帯電話に確認コードを送るといった多要素認証の仕組みを導入する必要があります。

月に1度は無料で現金化できるようにするといった条件も検討しています。

キャッシュレス推進協議会の調査によれば、QRコードを月1回は利用したことがある人は2020年9月に3000万人を超えたとのことです。この数字は、2018年12月の300万人超から10倍に達します。

ポイントの還元の恩恵や支払いの簡便さを理由に、消費者を引き寄せていますし、新型コロナウイルス禍で「非接触」のキャッシュレス決済のニーズも高まっていることも背景にはあるようです…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA