「良いインフレ」と「悪いインフレ」、今起こっているのはどっち?

世界経済の最も重要なことは、足元で進行している「インフレ」にあります。

インフレとどう戦うか...

インフレ加速をどう抑えることができるのか…

世界は「インフレ」に向かっている…

日本だけが「デフレのまま」という、世界とは真逆の状態にあることを、いやというほど思い知らされることになるのでしょうね。

先進国の中で、一番最初に利上げを行ったのは英国
今年は早い段階で、米国が利上げに踏み切る公算
欧州は、まだ金融緩和政策の変更には至ってはいないようですが、徐々に緩和規模は縮小される見込み
日本だけが、強力な金融緩和政策を変更できないでいるのです。いつまで続くかわからない、金融緩和政策継続の判断を変えることができないでいるのです…

そもそもいつまで、日銀は市中から株を直接買い続けるのか、ここが日本の大きな問題ではないかと思います。

経済を、マーケットを、世界と日本では全く違った次元で語らなければならなくなってきているのが「2022年」だということです。

今の日本で「インフレ」を経験している人は、もうかなりのお年をめした方に限られてしまいます。それだけ日本は長期間、インフレとは真逆の環境にどっぷりと浸かっていたのですね。

円が安くなる「円安」なんて、アベノミクスで初めて経験したと言う人が多いでしょう。

   円高は当たり前、物が安く買えるのは当たり前
   物価高なんて想像もつかない…

もう100円ショップなしの生活は、考えられないでしょう。安く物が手に入ることは当然で、「高い」「高価」という感覚は薄れ、商売でもなんでも「価格は安くするもの」という発想から抜け出せないのではないでしょうか。

そもそもインフレとは、「モノの値段が上がる」ことです。

モノの値段が上がると企業の売上も上がり、時間経過とともに従業員の賃金が上がることに繋がります。

つまり「お金の好循環」が生まれるのです。

   デフレのままじゃぁ給料は上がらない
   インフレになって初めて給料が上がる…

日本労働者の殆どが「給与所得者」ですから、どうしても給与額の増減で、世の中の動きを推し量ってしまいます。世の中の人にとって賛同を得やすいのが「給料が上がること」ですから、給料が上がることを前提として経済を語るのであれば、景気が良くなることは大事になります。

   企業は内部留保金を溜め込んでいるからそれを吐き出せば良い…

内部留保金を溜め込んでいるのは大企業で、中小企業に当てはまるものではなく、また業種によっては内部留保金を準備できない企業もあるでしょう。

また、内部留保金を吐き出すことは一時的な処置でしかあらず、従業員の給料を上げる持続的対策とは言えないです。

根本的には景気が良くなって企業体質が改善されることで、従業員の給料は上がると考えるべきでしょうね。

ここで問題なのは、日本では一度給料が上がると下げることはできないということです。「できない」と言い切っても良いでしょう。

企業収益の従業員への分配は、給料ではなくボーナスで行うほうが良いですね。

企業の将来展望が明るくない限り、固定費である給料を上げることには、経営者としてはどうしても躊躇してしまいます。企業としてはなかなか従業員の給料を上げることに踏み切れないところがあるのです。

もし将来「不況」に追い込まれたら、固定経費である従業員給料が企業業績の重荷になることは避けられません。給料を上げることが、従業員全員の雇用を守ることになるという仕組み、つまり日本企業の構造に問題があるのではないでしょうか。

「将来展望 + 雇用制度の見直し」が、従業員の給料を上げることに繋がり、個人消費が伸びる...

それは個人に置き換えても同じで、将来が明るけでば、稼いだお金を消費にいくらでも回すでしょうが、将来不安がある限り、消費よりも貯蓄を選ぶのは当然です。一般の人が貯蓄に走ることが悪いのではなく、国が明るい将来展望を見せていないから消費が増えないわけです。

日本がインフレになりづらい、一度デフレに落ち込んだら抜け出しづらい背景は、日本の社会構造、企業構造にも問題があるということが想像できますね。

インフレのメカニズム

以上のように日本には縁遠い「インフレ」に話を戻しますが、インフレが起きるメカニズムには 2通りの仕組みが考えられます。

ディマンド・プル
コスト・プッシュ

前者は「良いインフレ」、後者は「悪いインフレ」とも呼ばれます。

モノの値段は「需給」で決まります。「需要」と「供給」ですね。

需要側が牽引して起こるインフレが「ディマンド・プル」
供給側が強引に起こすインフレが「コスト・プッシュ

言葉のイメージからも理解できるでしょう。

金回りが良くなった消費者の旺盛な消費意欲で需要が伸び、供給が追いつかないときに起こるインフレが「ディマンド・プル」です。

物が売れて売れて仕方がない、そうなると価格は上昇しますよね。
供給が追いつかないことで希少価値が上がる
高くても買おうという消費行動…

価格上昇は企業業績改善に繋がり、それは従業員の給料アップにも繋がり、ボーナスが増えることにも繋がり、それが消費にまわることで経済が良くなっていく…

一方の「コスト・プッシュ」は、生産コストが上がることで、モノの値段が上がるものです。

価格が上がると売上が上がり、めぐりめぐって給料が上がるはずなのです。

だから米国においては雇用統計発表における「平均時給」の推移が、ある意味、失業率も重要視されるのです。

ところが日本では、先程述べた企業構造、日本独特の労働環境により、モノの値段が上がっても、給料が上がらずインフレにならないのですね。

明るい将来展望を見せてもらえないですし、期待もないというのは深刻です。

生産コストが上がる要因として

原油高
通貨安

があります。

原油高は、材料費高騰だけでなく、輸送コストも上がり、販売コストをおし上げます。
通貨安は、日本で考えれば円安になれば輸入品の値段は上がりますよね。

そして今の状況は、コロナで世界的にサプライ・チェーンが止まっていたものが、急激に需要が戻った段階で、供給回復が追いつかないことによる「時間差」で、供給不足になっています。

そこに原油高も加わって、世界的にインフレ圧力が増しているのですね。

いずれ労働賃金は上がる…

そうなると、消費が活発になってお金が循環するというのですが、米国ではコロナ対策として、通常では考えられない金額の失業手当を支給していたのです。

日本の感覚で言えば、一時は月40万円もらえる状態であり、減ったとは言え月20万円はもらえるようで、働かなくても生活ができる状態になっていたことで、労働参加率が低下していたようです。

失業給付金の効力が切れることで、労働参加率が上がることで、失業率は今よりも悪化するかもしれませんね。

この議論はベーシックインカムを考える上でも参考になりそうです。まあ、テクノロジーの進歩も加味して議論しなければならないでしょうけどね。

日本では円安に加え原油高の要素もあるにも関わらず、賃金は上がらずインフレにならないという深刻な状態になっているということを、もっとよく理解しなければならないということです。

世界経済の課題は、この「コスト・プッシュ」による「インフレ」に対して戦わなければならない状況にあるということです。

いずれは労働者賃金上昇が伴って「ディマンド・プル」インフレになることが望ましいのですが、そうなったとして、今の金融入緩和政策がどこかで見直さなければなりません。

それが各国中央銀行の、大きな課題になって来るのが2022年だということです…

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