レムデシビル、アビガンなどcovid-19治療薬などによりパンデミック収束期待高まる…

人類はいま、新型コロナウイルス(covid-19)と必死で戦っています。
新型コロナウイルス治療薬とワクチン開発がすすめられています。

パンデミック収束のポイントは2つ

   ・特効薬の開発、ワクチンの開発
   ・社会の許容

と言われています。

前者は、その開発が待たれるものですが、後者は、現状を容認してどう向き合うか、コロナ感染社会でどうやって経済活動を行っていくかを、恐れるのではなく、むしろ積極的に考えられるようになるかどうかということです。

マーケットは、新型コロナウイルスが治療薬を開発するというニュースで株価が上がる状況で、一刻も早く、この特効薬の登場を待ちわびている状況です。

今回は、その特効薬及びワクチンについてのお話です。

レムデシビル

新型コロナウイルス感染症患者の治療で効果があったと報道され、株価が上がった米ギリアドサイエンシズ社ですが、その薬は「レムデシビル」と呼ばれるものです。

もともとエボラ出血熱治療薬として開発された抗ウイルス薬で、コロナウイルスを含む一本鎖RNAウイルスに対して抗ウイルス活性を示すことが明らかになっています。

現在有望視されているCOVID-19治療薬となっています。

レムデシビルは、日本を含む世界各国で臨床第3相(P3)試験を実施中で、試験は、重症患者を対象とする試験と中等症患者対象の試験の2本で構成されており、日本でも4月14日から患者への投与が始まりました。

重症患者対象の試験結果は4月中に、中等症患者対象の試験の結果は5月に得られる予定です。

小規模な限定的なデータですが、人道的使用プログラムで53人に投与して68%が臨床的改善を示しています。

アビガン

2014年に日本で承認された、富士フィルム富山化学の抗インフルエンザウイルス薬(一般名「ファビピラビル」)です。

現在、新型インフルエンザに備えて200万人分を備蓄しています。

ファビピラビルは、インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する薬剤です。

COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスであることから、効果を示す可能性があると期待されています。

アビガンは、動物実験で催奇形性が確認されているため、妊婦や妊娠している可能性がある人には使うことができず、妊娠する可能性がある場合は男女ともに避妊を確実に行う必要があります。

アビガンに関しては、日本では富士フォルム富山化学が、P3試験を開始したと発表されていますが、先行して中国では、有用性が示されたとの結果が公表されています。

日本政府は希望する国にアビガンを無償提供する方針で、50カ国への提供を想定しています。

国内で唯一、アビガンの原料であるマロン酸ジメチルを生産しているデンカは、日本政府からの要請を受けて5月から生産を再開する予定。カネカもアビガンの原薬供給を7月からスタートさせます。

アビガンに関しては、専門家の間でも、今回の新型コロナウイルス感染症の特効薬として期待されていて、今後、政府が適用拡大に向けて積極的に動く事が期待されています。

その他、他疾患治療薬として使われているもの

日本では2007年に気管支喘息治療薬として承認された吸入ステロイド薬のオルベスコ(帝人ファーマ、一般名「シクレソニン」)

国立感染症研究所による実験で強いウイルス活性を持つことが示され、実際に患者に投与したところ肺炎が改善した症例も報告されていて、国立国際医療研究センターも臨床研究を計画しています。

ウイルスの増殖を抑えるプロテアーゼ阻害薬カトレラ(米アッヴィ、一般名「ピナビル」)

日本では2000年にHIV感染症に対する治療薬として承認されています。

スイス・ロシュは4月から、中外製薬が創製した抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(製品名「アクテムラ」)のP3試験を米国、カナダ、欧州などで開始し、中外製薬も近く、国内でP3試験を始める予定です。

米リジェネロン・ファーマシューティカルズと仏サノフィも、共同開発した抗IL-6受容体抗体サリルマブ(同「ケブザラ」)のP2/3試験を欧米で実施中で、日本でも近く試験が始まる見通しです。

両剤はいずれも、日本で主に関節リウマチの治療薬として使われています。

スイス・ノバルティスは4月2日、サイトカインストームを伴うCOVID-19患者を対象に、JAK阻害薬ルキソリチニブ(同「ジャカビ」)のP3試験を準備していることを公表しました。

日本では骨髄線維症と真性多血症の適応で承認されており、同社は「日本の規制を遵守しながら必要とする患者に届けられるよう検討していく」とコメントしています。

以上のように、日本ではすでに別の治療薬として使われているものが、新型コロナウイルス感染症にも効果があると思われる薬もあります。

既存薬の転用

中国政府は、抗マラリア薬リン酸クロロキンがCOVID-19に一定の効果を示したと発表しており、日本でも同薬と類似したヒドロキシクロロキンを投与して症状が改善した症例が報告されています。

群馬大では、ロピナビル、リトナビル、ヒドロキシクロロキンの3剤併用療法の臨床研究が始まっていますし、東京大医科学研究所は、ナファモスタットがCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の細胞内への侵入を阻止する可能性があるとの実験結果を発表し、近く臨床研究を始めるとしています。

米メディシノバは、多発性硬化症などを対象に開発中のイブジラストについて、米イェール大と共同でCOVID-19による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を対象とした臨床試験を開始しています。

米アサシスとヘリオスは体性幹細胞を使ったCOVID-19由来ARDSの臨床試験を日本と米国で行っています。

新規薬剤の研究開発

武田薬品工業は4月6日、原因ウイルスSARS-CoV-2に対する高度免疫グロブリン製剤の開発で、米CSLベーリングなど5社と提携すると発表しました。

6社は原料となる血漿の採取から臨床試験の企画・実施、製造まで幅広く協力し、ノーブランドの抗SARS-CoV-2高度免疫グロブリン製剤を共同で開発・供給します。

武田は3月初めに抗SARS-CoV-2高度免疫グロブリン製剤「TAK-888」の開発に着手したことを明らかにしていましたが、6社の協力体制で開発を加速させ、供給量を増やしたい考えです。

ファイザーは、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス活性を示すプロテアーゼ阻害薬候補を特定しており、今年7~9月期にも臨床試験を始める予定です。

塩野義製薬も北海道大との共同研究でCOVID-19に対する抗ウイルス薬の候補を特定し、今年度中の臨床試験開始を目指して研究を進めています。

リジェネロンは、SARS-CoV-2に対する多数の抗体を特定し、このうち2つを混合したカクテル抗体の臨床試験を初夏までに始める方針です。

米ビル・バイオテクノロジーも2つの抗体を特定し、中国での権利を上海のウーシー・バイオロジクスに導出しました。

ビルは米アルナイラム・ファーマシューティカルズと共同でSARS-CoV-2を標的とするsiRNA核酸医薬も開発中で、米アブセラ・バイオロジクスはイーライリリーと治療用・予防用の抗体を共同で開発しています。

ワクチンは

米国立衛生研究所(NIH)は3月16日、NIHの一部門である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)と米バイオベンチャーのモデルナが協力して開発したmRNAワクチン「mRNA-1273」のP1試験を始めたと発表しました。

米イノビオ・ファーマシューティカルズも4月6日、DNAワクチン「INO-4800」のP1試験を米国で開始したことを明らかにしました。

新型コロナウイルスに対するワクチンの開発をめぐっては、ノルウェーに本部を置く「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」が、世界各国の大学等とパートナーシップを締結して、資金提供を行い、ワクチン開発を支援しています。

米ファイザーと独ビオンテックはCOVID-19に対するmRNAワクチン「BNT162」を共同で開発しており、4月末までに欧米で臨床試験を始める予定となっています。

仏サノフィはCOVID-19ワクチンの開発で2つのプロジェクトを進めています。

日本企業では、アンジェスが3月5日、大阪大とDNAワクチンを共同で開発すると発表しました。

田辺三菱製薬もワクチン開発に乗り出しています。同12日、カナダの子会社メディカゴが、SARS-CoV-2の植物由来ウイルス様粒子(VLP)の作製に成功したと発表。これを使ったCOVID-19向けワクチンの非臨床試験を行っており、順調に進めば、ヒトでの臨床試験を今年8月までに開始するために当局と協議したいとしています。

新型コロナウイルス感染症に対しては、即効性を求めるには、日本では「アビガン」の処方が求められます。と同時に、世界中で、特効薬開発が進められていて、ワクチン開発も進められています。

人間のウイルスとの戦いは着実に進められていて、これらが一つでも、効果が出せるようになれば、パンデミック収束は訪れると思われます。

そのワクチンと特効薬をわれわれは手にした後に、今のインフルエンザ同様、社会がcovid-19を許容することで、本格的な経済の復興が期待できるのだと思われます…

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