自動車メーカーがマスクや人工呼吸器を作る…海外ではできることが日本ではできない

自動車は作れないがマスクは作れる、人工呼吸器製造で貢献できる…

自動車生産にはほとんどの工業的技術が含まれているため、やれることは多いということです。

新型コロナウイルス感染拡大により、世界の自動車メーカーは大打撃を受けています。おそらく、経済回復を考えると、「ポストコロナ」の世界においても自動車メーカーは、厳しい環境を強いられると思われます。

そんな中で、米国のゼネラルモーラーズやフォードが、人工呼吸器やマスク生産のために工場の施設を使うと発表したことは驚いたことでしょう。

同様の動きは欧州でも見られ、フォルクスワーゲン系列のスペインブランドのセアトが、バルセロナ郊外に持つメイン工場で、看板車種レオン製造ラインを改造して、人工呼吸器の製造をはじめました。

また、フォルクス・ワーゲンに属するランボルギーニも、自動車の生産工場を使って、ボローニャの病院のためにマスクと、顔につける透明プレクシグラス製フェイスシールドの生産を始めました。

スーパースポーツカー内装を手がけるラインで、マスクを製造するようです。

高級車では、シートやステアリングホイールなど革で覆って手で縫うという手作業の部分をあえて残してきたため、じつは、マスクの縫製などはお手のもののようです。

   この緊急事態下では明確な貢献をすることこそが重要です…

ランボルギーニ社のコメントです。

フォルクスワーゲン自体、3Dプリントセンターを使ってフェイスマスクの製造を開始しました。

加えて、アウディ、ベントレー、ブガッティ、MANトラック&バス、ポルシェ、フォルクスワーゲン商用車、フォルクスワーゲングループコンポーネント、フォルクスワーゲンモータースポーツといった傘下の工場でも、50台を超える3Dプリンターを稼働していて、さらにその数を増やしていくそうです。

メルセデス・ベンツは、社内の3Dプリンターの技術を提供し、新型コロナウイルス感染者のための医療器具のパーツを製造すると発表しています。

テスラのイーロン・マスクCEOは自身のアカウントで、人工呼吸器を多くの医療機関に無償提供するとツイートしていて、すでに実施している様子が伺えます。

さて日本では、新型コロナウイルスの感染拡大で人工呼吸器の需要が高まるなか、日本では異業種の参入が進まないでいるのです。

感染者の急増に見舞われた米欧は規制を緩和し、前述の通り自動車メーカーなどが生産準備を進めている中で、日本だけが、海外とは違う動きとなっているのです。

2月中旬時点では国内に2万8000台超の人工呼吸器があり、うち6割が使用可能な状況ではありますが、肺炎患者が急増すれば不足する可能性があるのは明白です。増産をしようにも。既存の医療機器メーカーの対応能力には限界があります。

インドの現地子会社で人工呼吸器の生産を始めたスズキは、日本では「予定していない」と回答しています。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)は、生産向上ノウハウの提供を通じた支援の意向を示した半面、生産参入には意思表示していません。

その背景には、これまで機器の徹底した安全に主眼を置いてきた厳格な「規制の壁」があるようです。

国内で医療機器を製造・販売するには医薬品医療機器法(薬機法)に基づく審査が必要になり、特に人工呼吸器は人の命にかかわるため、最低6カ月以上の審査期間がかかるようです。

新規参入の場合、製造許可、工場の設計など審査項目も多く、10カ月以上かかるとのことです。

緊急経済対策もそうですが、スピード感がないのが日本という国です。

トヨタ自動車など自動車業界が既存メーカーへの協力を発表したが自らの生産には踏み込まなかったとあります。

この救急時での、平時のときの規制に対する対応が、日本と海外では異なるのです。

たとえば米国では…
トランプ大統領が非常時に軍事物資を増産させることができる「国防生産法」を発動することで、米食品医薬品局(FDA)が人工呼吸器の製造に関する一部規制を緩和し、素材や部品の変更を容易にしたり、異業種の早期参入が可能になることで、自動車メーカーであるゼネラル・モーターズ(GM)は専用ラインを設け6月までに製品を出荷することができるようになります。

英国の場合は…
政府が人工呼吸器の製造仕様を公開し
   最低14日以上稼働すること
   非常用電源の設置すること
など承認の条件を明示した上で、英国に拠点を持つホンダなどにも生産を呼びかけているのです。すでに英ダイソンは独自設計の人工呼吸器を完成させ承認を待っている状態になっています。

欧州連合(EU)の場合は…
加盟国中25カ国で人工呼吸器の共同調達プログラムを立ち上げました。域内での医療機器の争奪を防ぎ、医療機器メーカと異業種の連携も促しています。

海外のこのような動きがあるにも拘らず日本では…
厚生労働省は「安全のためにも厳格な手続きは必要」との立場を貫いています。

感染初期段階で、PCR検査が増えないのも、厚生労働省が検査に消極的だからだったようです。

緊急経済対策でも、命を守る政策としての現金給付の対応も、海外と日本では真逆であり、さらにスピード感も日本は海外と比べ物にならないくらい遅いです。

海外から日本のこれらの対応を危ぶむ声が出てきています。

いやぁ日本はまずいでしょう…

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