みずほ銀行とソフトバンクが「情報銀行」に参入、情報銀行って…

情報銀行というものがあります。

総務相「平成30年版 情報通信白書」には以下のように定義されています。

情報銀行(情報利用信用銀行)とは、個人とのデータ活用に関する契約などに基づき、PDS(Personal Data Store)などのシステムを活用して個人のデータを管理するとともに、個人の指示又は予め指定した条件に基づき、個人に代わり妥当性を判断の上、データを第三者(他の事業者)に提供する事業。

ちょっと難しいですね。

個人から購買履歴等、個人情報にひもづく様々なデータを信託され、その管理や、適切な事業者への販売を請け負うのが情報銀行であると説明すれば、少しは分りますかね。

個人情報と言えば、GoogleやFacebook、Amazonなどの大データ管理システムを想像します。もちろん漏洩問題も頭をよぎりますね。

    これからは石油よりも情報のほうがお金になる
    情報は宝である...

情報管理と言えば、その圧倒的な情報量からビッグデータという言葉を連想します。ビッグデータ保有で世界をリードしているのは中国です。

キーワードは「利用者の同意」です。

みずほ銀行とソフトバンクは2020年春、利用者の同意に基づいて個人データを預かり、第三者の企業に提供する「情報銀行」を共同で始めるというニュースがあります。

両社は、個人の信用力を人工知能(AI)でスコアリングする事業を手かげていて、ここで得た職業や年収、趣味などの個人情報を活用します。

みずほ銀行とソフトバンクは、共同出資するJスコアという会社が主体となります。

民間企業が個人の同意を得て個人情報を含むパーソナルデータを預かり、個人の代わりに妥当性を判断して第三者の事業者にパーソナルデータを提供する情報銀行になるには、一般社団法人日本IT団体連盟が設置した情報銀行推進委員会が査定して認定することになります。

銀行ですから、預金を預けて利子を受け取るように、データを提供したり活用したことに関して得られた便益は、データを受領した他の事業者から直接的または間接的に個人情報を提供した本人に還元されます。

Jスコアは、2016年に両社出資で設立され、年齢やローン残高、家族構成など約150項目の情報を任意で入力すると、AIが信用スコアを算出するサービスを提供しています。算出は無料で、登録者は100万人になるそうです。

この2グループの顧客基盤は大きく、データビジネスが本格的に広がるきっかけになりそうだとしています。

個人情報に関して、一般社団法人日本IT団体連盟は

「あらゆるところでITが導入、活用されている現代社会の中で、人々の豊かな生活の創造や、それを支える産業振興のためにも、今後パーソナルデータをさまざまな分野で活用していくことが重要だと考えられます。しかし、消費者は、パーソナルデータの取り扱いに関して不安を持ち、企業は風評を恐れてパーソナルデータの利用を躊躇してしまう状況にあります。

消費者と企業におけるそのような状況を乗り越え、パーソナルデータを安全安心に利活用していくため、総務省と経済産業省が「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」を開催し、2018年6月に「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」をまとめ、公表いたしました。」

とあります。

第一弾の認定「情報銀行」として、2019年6月21日に、三井住友信託銀行の「データ信託」サービスと、イオン系のフェリカポケットマーケティング株式会社の地域振興プラットフォームを認定決定しています。

さらに三菱UFJ信託銀行は2020年4月にサービス開始の予定で、電通もグループで実証実験しています。

スカパーJSATは、視聴情報などを活用するとしています。

みずほ銀行とソフトバンクによる情報銀行サービスでは、企業が求める条件に合致する利用者に、アプリ上で情報提供依頼を届け、マーケティングやセールスなどの利用目的や情報提供対価などが企業ごとの条件が示されます。

利用者が承諾すれば、Jスコアが保有しているデータが渡ります。利用者側の本人確認も必須とします。

利用者が得る対価は、情報の範囲や利用期間によって異なりますが、1件当たり500円前後のようです。

Jスコアは、当初は旅行会社や自動車、食品メーカーなど十数社を相手に個人データの提供を開始します。約1年で40社程度まで増やす予定だそうです。

売上高は、数年後に数十億円を目指すとのことです。

このAIを活用した情報銀行サービスで、みずほ銀行とソフトバンクは、個人と企業を仲介するプラットフォームを握る狙いがあるようです。

海外では、IT大手の「GAFA」が収集した個人情報を対価なしで取得し、利用者が想定しない分野で活用する状況にあります。

「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、内定辞退予測率を企業に販売するという、個人情報使用の同意に関する問題が起きました。

情報銀行が扱う個人情報が、これからのIT社会インフラ構築に重要になってくることは理解しながらも、やはり個人情報の取り扱い方、また情報を扱う側の信用が問われることになるのでしょう…

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