萩生田光一 文部科学大臣「国語と数学の記述式問題」実施見送り…

萩生田光一文部科学相は17日の閣議後記者会見で、2020年度開始の大学入学共通テストで導入予定だった国語と数学の記述式問題について、同年度の実施を見送ると正式に表明しました。

英語入試において、民間の検定試験採用を見送っていて、萩生田光一文部科学相が提示した大学入試改革での二本柱は、どちらも見送られることになりました。

今回の「見送り」となったことを受けて、来月にセンター試験を控える受験生は、

「マークシートは答えがきちんとあるが、国語が記述式だと答えが無限にありそうなので、個人的には今のままで良かったと思います。急に変わると、受験生にとっては色々と大変になります」

また、来年度から始まる共通テストを受けることになる高校2年生は、

「入試が変わるというので、不安でしたが、変わらないと聞いて安心しました」

と話していました。彼らの声が、今回の騒動の本質を語っていると思います。

萩生田文科相は12月17日の会見で「教師をはじめ関係者の皆さんには、ご迷惑をおかけする結果となりました」などと述べましたが、肝心の受験生らに混乱を招いたという事実だけが残った騒動となりました。

今後、共通テストに記述式を導入するかは「期限を区切った延期ではない。まっさらな状態で対応したい」と説明し、導入断念も含めて再検討する方針だとのことです。

萩生田文科相は

「採点ミスの完全な解消」
「自己採点と実際の採点の不一致の改善」
「質の高い採点体制の明示」

の3点について、現時点では困難との報告が大学入試センターからあったとし、「課題を解消できる時期を示すのは現時点では難しい」ため、無期限で導入を見送るとしたと説明しています。

今後は年内に設置する検討会議で大学入試での記述式問題の充実策を議論するとのことです。

「大学の個別選抜で積極的な記述式の活用をお願いしたい」と述べ、同センターが作問して大学に提供する方法も含めて検討するということです。

記述式に関しては、採点者によって採点にブレが出たり、質の高い採点者を確保できなかったりする恐れがあることが指摘されていました。さらに、受験生が出願先を決める際に必要な自己採点と実際の採点との不一致が多発することが懸念されていました。

そもそも記述式解答を、ベネッセホールディングスの子会社が約8000~1万人の学生らを集めて採点する計画だったこのtにも問題があるともされていました。

事前に回答が配布されたり、採点基準の統一性の確保の問題、さらにはアルバイトという立場、採点者の選別など、課題は山積ではありました。

記述式問題の今後の扱いについては「期限を区切った延期ではない。英語の民間試験と違い、全くまっさらな状態から対応していきたい」と述べました。

また、萩生田大臣は「共通テストに向けて勉強している受験生や保護者、教師をはじめ関係者の皆さんには、ご迷惑をおかけする結果となりまことに申し訳なく思うが理解してほしい」と述べました。

一方で、論理的な思考力や表現力を評価する記述式問題の役割は重要だとして各大学の個別試験では記述式問題の積極的な活用を要請する考えを示しました。

また、みずからのもとに新たな会議を設け、英語の民間試験のあり方とあわせて記述式問題の充実策を検討する考えも示しました。

大学入学共通テストをめぐって文部科学省は英語の民間試験の導入延期を発表していて、大学入試改革の2つの柱の実施が見送られることになりました。

もう一つの柱だった英語民間試験活用は、英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)を試す狙いがあったのですが、受験機会に格差が出るといった課題が解消できず、11月に見送りが決まっています。

文部科学省は今後1年をかけて検討会議で議論し、2024年度に新しい英語入試を実施するとしています。こちらは記述式問題のように、全くまっさらな状態から対応するのではないようです。

民間業者の選別などにも不透明さも気になります。

そもそも大学入試システムを変更する理由を、もっと丁寧に説明する必要がありますし、時間を十分にかけて移行すべきと考えます。

記述式導入の主旨や民間英語検定を活用する意義は、分らないわけではないですが、それらを受験というシステムでカバーすることが良いのか、そもそも学校教育の見直しで対応すべきではないかという議論もあります。

萩生田大臣の「身の丈」発言が、今回の見直しのきっかけになったわけで、あの発言が、今回の受験制度変更の本質を知るきっかけとなったわけですね…

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