集団免疫…経済的ダメージで死者数が増えないようにしなければならない

新型コロナウイルスとの戦いは、ウイルス感染者を減らすことです。感染者が減ることでウイルスによる死亡者も減ることに繋がります。

この感染者を減らすことの政策として、人との接触を抑える外出自粛要請をおこなっています。人と人との接触を止めることで、感染するリスクを抑えようとしています。

ただウイルスを完全に「ゼロ」にすることはできません。それは感染者を完全になくすことはできないということになります。

ならば、ウイルス感染に強い体にする、つまりウイルス抗体を持つことでウイルスの耐性を持とうという考え方があります。

これが「集団免疫」と呼ばれるもので、わざと感染して強くなるというものです。

新型コロナウイルスは、若年層は感染しづらく、感染しても軽症で済むことが多いとされていて、ならば経済を止めることのリスクを考えると、行動自粛ではなく、免疫を持つことで感染者拡大を防ごうという考え方もあります。

ただし、この副作用は感染者数が減らないということです。ある程度の死者数は覚悟しなければならないということです。

スウェーデンでは「集団免疫」作戦をとっています。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑える対策としては、北欧諸国も含むヨーロッパの多くの国が全国的な封鎖措置を取り、厳しい移動規制を敷いているのに対して、スウェーデンは、全国的な移動規制や外出制限をしないという独自路線を貫いており、ストックホルムの通りの人でもカフェの客入りも一見、普段通りの様子となっています。

都市封鎖(ロックダウン)を行わないで、行動自粛もせず、経済活動も制限しないことで、抗体を持つ国民を増やそうとしています。

その分感染者数は増えていて、死者数も世界的には多い方となっています。

当初はイギリスも、この「集団免疫」作戦を取ろうとしていましたが、あまりの感染者数増加にともない、「集団免疫」ではない方法を選んでいます。

4月30日時点で、スウェーデンはこれまでに2万1000人近くが新型コロナウイルスに感染したと報告しており、死者数は2462人となっています。

感染拡大の中心地で死者数も最多のアメリカ(約5.8%)、ウイルスの発生源とされる武漢市がある中国(約5.5%)と比べても2倍以上の高さとなっています。

隣国であるノルウェーの207人、フィンランドは206人、デンマークは443人で、スウェーデンの多さが目立ちます。

感染者の死亡率はノルウェー(約2.6%)の6倍近く、フィンランド(約4.2%)やデンマーク(約4.9%)と比べても3倍近くにのぼります。

かつて中国以外で最も高かったイランの感染者死亡率(約6.3%)も、スウェーデンの半分ぐらいです。

実は、感染者の回復状況も思わしくないようです。

スウェーデンは4月に何度か感染者の回復を報告しており、最も多かった25日には一気に455人が回復したと発表していますが、それ以外の報告はないようです。

このスウェーデン独自の対策は、ウイルスにさらされる人の数を増やすことで「集団免疫」を形成し、感染拡大の第2波を防ぐという作戦の一環だとされているのですが、まだ総効果は見られていないようです。

ただ国としては、「ある意味で功を奏している」として、医療システムが崩壊に追い込まれていないことをその理由としてあげています。

スウェーデン公衆衛生局は、首都ストックホルムの住民のうち、最大20%が新型コロナウイルスに感染したことがあるとして、「ストックホルムの人口の15~20%が既に免疫を獲得していると確信している」と主張しています。

これは完全な集団免疫ではないですが、ウイルスの再増殖を抑制し、感染の(第2波が訪れる)スピードを抑える効果はあるとしています。

今後、感染者の特に多い地域の差は考えられますが、今のところは、医療部門は大きなストレスがかかっているが手一杯ではないと判断しているようで、まだ余力があるとしています。

ストックホルムの状況は、顕著な改善は見られないが安定しているとして、市民にはソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を推奨しており、感染の症状が出たら自宅にとどまるよう勧告しているとのことです。

ウイルス感染対策と経済への影響は、両方考えなければならないことで、経済を守り、可能な限り店舗閉鎖や従業員の解雇を回避することも重要です。

そうしなければ、ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がもたらす二次的なダメージによって多くの人が死ぬことになるか、医療に必要なリソースが減ってしまう可能性があると指摘しています。

まさに、今の日本が考えなければならない重要課題だと言えます。

今後、感染者拡大が広がり、そのスピードも早くなりそうなら、都市封鎖(ロックダウン)などの強い姿勢を示さなければならなくなるかもしれません。

スウェーデンでは、高校や大学は閉鎖されてオンライン授業になっていますが、16歳未満の子どもたちは今も学校に通っています。

レストランやバー、カフェやナイトクラブも着席スタイルのサービスは許されており、買い物は普段どおりにできます。

ウイルス感染対策を進めなければならないが、経済も守らなければならないのも事実で、このままだと、ウイルス感染での死者数よりも生活困窮による自殺者のほうが多くなりかねない状況に、今の日本があると思われます。

集団免疫…経済を守る上では、どうしても考えなければならない作戦なのかもしれませんね…

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