暗号通貨(仮想通貨)の役割を考える…利便性、低コスト、そして金融包摂

暗号通貨(仮想通貨)の役割

暗号通貨の特長は、まさに利便性であり、効率性であり、手数料削減だと言えます。

日本では「仮想通貨」と表現されることが多いですが、「cryptocurrency」という英語を正確に日本語に直せば「暗号通貨」となるわけで、「仮想」を英語表記すると「virtual」になり、イメージもそうですが意味合いがかなり変わってきてしまいます。

いまでは世界的に「暗号資産」で統一されているようです。

代替通貨とかオルトコインとも言われますが、現在の貨幣を比較して考えると暗号通貨の本質が見えなくなってきますので、ここでは暗号通貨というものを、現在の通貨と対比して捉えるのではなく、ただ単に「存在」としてとらえてください。暗号通貨というものがあるのだという認識で結構です。

暗号通貨のポイントは

   利便性(効率化)
   手数料削減

お金の移動は、最終的には現金が動きますが、瞬時に現金が空を飛んでいるわけではなく、データ処理されていますので、実際には、通帳の刻印でお金の移動が確認されていました。

暗号通貨も全く同じです。

通帳がスマホに替わり、資金移動がATMや窓口ではなくスマホの画面でできるだけのことです。

従来の資金移動よりも早く、人の手もかからず手数料が安いということです。

国内であれ海外であれ、お金を送金するということは「価値の交換」ですから、価値が安定していることが求められます。

そこにリブラは他暗号通貨とは決定的な違いがあるのです。

暗号通貨を語る上で、送金における利便性と低コストが注目されると同時に、投資の側面が注目され、それが暗号通貨の価値に影響を与えることが危惧されています。

リブラはその部分に他暗号通貨とはまったく別のシステムを構築して、価値の安定性を図ったのです。

銀行口座間での資金移動にはお金と時間がかかる

国際送金ビジネスの市場規模は世界で年間約5兆4000億円と言われているそうで、銀行が要求する手数料は平均7%だそうです。

100万円を送金すると7万円かかります。しかも、相手の口座に入金されるまで数日かかることも珍しくないものが、リブラは瞬時に、しかもほとんど手数料がかからずに送ることができるのです。

現金大国日本における現金決済を支えるコストは年間2兆円です。ATM機1台価格約300万円、警備監視コスト月約30万円かかります。ATM機維持管理コストは年間7600億円です。

これらのコストは、私たちがATM利用する際に私たちが負担しています。自分のお金を預けたり引き出したりするだけで手数料がかかります。しかも祝日・休日と平日、利用時間帯で手数料が変わります。

郵便局なども含め金融機関ごとにATM機製造メーカーが異なり、使い勝手が違うだけでなく、金融機関間送金手数料も違ってきます。

  手数料、手数料、手数料…

全国ATM機台数は大手銀行や地方銀行などを合わせて、10万9000台余り(全国銀行協会平成29年版統計)。実はこの数字は10年間で3300台減少となっています。

三菱UFJ銀行では、今後5年余りかけて全国の店舗などに設置しているATM機およそ8100台のうち2割程度を削減する方向で検討を進めています。あおぞら銀行は、順次、自前のATM機を廃止、提携する「ゆうちょ銀行」のATMを店舗内に置くなどして手数料なく使えるようにします。

一方、コンビニATM機は増えていて、セブン銀行は、この10年で台数を大幅に増やして、今は約2万4500台あります。

これにともない新生銀行はすでに自前のATM機を廃止して、セブン銀行のATM機を店舗内に置いているところもあります。

  銀行のATM機は今後減少傾向…

その背景には、銀行も電子決済導入に力を入れてきていて、更に暗号通貨発行の検討も進んでいることにあるのです。

暗号通貨と電子マネーの違い

電子決済を行う電子マネーは、Suicaなどの交通カードに代表されるプリペイドカードで、クレジットカード登録も同じで、銀行口座と紐づけることが前提となっているもので、銀行口座ありきのシステムが電子マネーであり電子決済です。

暗号通貨はそもそも銀行口座を必要としません。銀行そのものを介さない、銀行なしの存在となっています。

銀行を必要としないので、当然ATM機を必要としません。

手数料が相当安くなるというのは容易に理解できるでしょう。

   アフリカにATM機を設置するよりもスマホを配布したほうが早い…

銀行システムが最初からない国では、スマホ決済や暗号通貨を普及させたほうが効率的と言えます。ドルが世界の基軸通貨であり決済通貨となっていますが、暗号通貨が世界各国が認め合うものになれば、世界間取引の上でも暗号通貨普及は、すごく重要なポイントと言えそうです。

もう少し両者の違いを説明してみましょう。

日本での「QRコード決済」では、事業者やクレジットカード会社と紐付いて現金が移動することになります。また、行動のターゲティングデータなどがAIで個人のデータとして処理されることによって、無料サービスやポイント還元などの原資へと再投資されています。

リブラでは現金そのものが移動するわけではなく、いつでも換金可能な価値を持つ「コイン」が行き来することになります。

金融包摂(Financial Inclusion)

-暗号通貨「リブラ」の目的は「金融包摂」(Financial Inclusion)です。

金融包摂(きんゆうほうせつ)とは

貧困や差別などによって金融サービスから取り残され、経済的に不安定な状況にある人々が基本的な金融サービスへアクセスできるよう支援する…

という意味です。

リブラのために設立されたFacebookの子会社関連として設立したCalibra(ブロックチェーン技術を活用した新しいグローバル通貨Libra向けのデジタルウォレット)設立時の報告書にはこうあります…

世界中には、未だに基本的な金融サービスの利用の恩恵を受けられない人々が数多くいます。例えば、世界中の成人の半数近くが、銀行口座を所有していません。これを開発途上国や女性に限定すると、更に人数は少なくなります。この金融サービスへのアクセスが無いことによるコストは非常に大きく、例えば、開発途上国の中小企業の約70%は信用取引を利用できず、また世界中の移民は送金手数料によって250憶ドル(約2.8兆円)を失っています…

とリブラの必要性を訴えています。

世界では17億人が銀行口座を持っておらず、そのうち10億人がスマートフォンを使い、5億人がインターネットに接続できる環境にあるとされています。

貧しい人ほど、金融サービスを受けるためにお金を払わなければならず、手数料も高いのが現状で、これらの課題を解決するのがリブラのビジョンです。

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