デジタル 人民元、デジタル ユーロ、中銀デジタル通貨(CBDC)の可能性…

デジタル 人民元、デジタル ユーロ、リブラがパンドラの箱を開けた…

リブラ(Libra)とは、フェイスブックによって開発されたブロックチェーン技術による暗号資産(crypto-asset:仮想通貨の新しい呼称)で、現在は、IMFや各国中央銀行からその存在を否定されていますが、暗号資産(仮想通貨)自体は、国境を越えた利便性などから、将来における必要性は、認められています。

各国中央銀行が発行する暗号資産は「中銀デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)」と呼ばれます。

デジタル通貨に関しては中国が先行していて、どうやら中国が、中銀デジタル通貨(CBDC)発行では、主要国の中で初めてとなる見通しとなってきました。

デジタル 人民元 構想

中国人民銀行(中央銀行)は、既に2014年に中銀デジタル通貨の研究を始めていました。

2017年には中国人民銀行デジタル通貨研究所も設立し、そこは多くのデジタル通貨技術関連の特許を出願しています。

リブラは、中国以外の地域でのグローバルな利用を想定した設計になっていると考えられ、中国当局は、リブラの存在を恐れて、先手を打って、独自の中銀デジタル通貨の発行を急いでいる可能性が考えられます。

一般的に、デジタル通貨が現金の代替となるメリットは、ATM設置維持コストを含め、現金製造、輸送、保管コストが大きく節約されることと、偽造への対応が挙げられます。

中国では、特に偽造問題は深刻な状態ですからね。

中国では、キャッシュレス化が進んでいて、アリババのアリペイやテンセントのウィーチャットペイなどの電子決済が普及しています。

“スマホ決済”利用者は、いまや中国で6億人を超えると言われています。

これらは銀行口座の中で決済されるのに対して、中銀デジタル通貨(CBDC)の「デジタル 人民元」は、銀口座に依存しないで決済が完了するものとなっています。

これまで電子決済ツールにおける資金の移動は、必ず従来の銀行口座を経なければ完了しなかったのが、人民銀行のデジタル通貨は、従来の銀行口座を離れて価値を移転させることができ、取引段階で口座への依存度が大幅に低下します。

中国での話をしましたが、これはどこも同じで、もし「デジタル 円」なるものができたとしたら、銀行口座での決済となるペイペイやLINEペイなどの電子決済とは、全く違うものであることは、認識できるかと思います。

デジタル通貨は、現金と同じように流通が容易だということです。

民間銀行は、中央銀行から当座預金を取り崩して現金を引き出し、顧客の現金引き出しニーズにこたえます。まさに今の状態です。

民間銀行が、自身の中央銀行にある当座預金から、あらたにデジタル通貨を手に入れて、顧客は、自分の預金口座からデジタル通貨を手にします。

中国の場合、デジタル通貨を手にする先として、中国工商銀行、中国銀行、中国農業銀行などの大手銀行、銀聯、そしてアリババ、テンセントも含まれることになります。

中銀デジタル通貨の発行をきっかけに、海外でも人民元建ての決済が広がり、人民元の国際化が後押しされることを、中国の当局は期待していると思われます。

このことは、中国にとっては、人民元の流通と国際化にとってプラスになることになります。

デジタル ユーロ 実証実験

欧州中央銀行(ECB)はEU公認の中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)として、ユーロのデジタル化を進めています。

今回の実験で、欧州中央銀行(ECB)はR3社(米国本社のブロックチェーン技術開発企業)のブロックチェーン技術Cordaを活用した「EUROChain」(ユーロチェーン)を採用し、利用者のプライバシー保護とマネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)に焦点を当てた実験で、一定の成果が得られたと述べています。

R3(R3CEV LLC)は、米ニューヨークに本社を持つ分散台帳技術を開発する企業で、 金融システムにおけるブロックチェーンデータベースの使用に関する研究と開発において世界最大の金融機関70社以上が参加するコンソーシアムを率いています。

このR3に関しては、今年1月29日に、SBIホールディングス株式会社と、日本や東アジアにおける分散型台帳技術Cordaの商用導入を促進する合併会社として、SBI R3 Japan株式会社を設立する契約を締結したと発表しました。

これまでもSBIグループでは、革新的な分散型台帳技術を有する米R3社や米Ripple社に投資し、商用化に向けた実証実験などを推進しており、日本におけるCordaのトレーニングプログラムも提供してきました。

どうする日銀…

日本銀行は、ヨーロッパの中央銀行などとともに紙幣や硬貨に替わる電子的な通貨・デジタル通貨の研究に乗り出し、年内をめどに報告をまとめる方針を示しました。

この動きの背景には、中国による「デジタル 人民元」構想があるのではないでしょうか。

日本銀行は、ヨーロッパ中央銀行(ECB)やイングランド銀行(BOE)、カナダ銀行、スウェーデン中銀のリスクバンク、スイス国民銀行などと、デジタル通貨の研究を進める共同グループを設立したと発表しました。

新設するのは「CBDC(Central Bank Digital Currency:中銀デジタル通貨)の活用可能性を評価するためのグループ」で、上記6中央銀行に加え、国際決済銀行(BIS)が参加します。

研究グループは、サイバー攻撃への対策や、国境を越える送金の方法、金利をつけることができるのかなどについて共同で研究を行う計画で、年内をめどに成果を報告書にまとめる方針です。

イングランド銀行とカナダ銀行は国境をまたいだCBDCで、それぞれ共同研究を進めてきました。

これまで蓄えてきた知見やノウハウをより深く共有すべきだとの判断によります。

具体的には、既存の決済システムと比べた優位性を研究するほか、CBDCに金利を付けるのかどうか、付利する際にはどのような手法があり得るのかといった論点を詰めるようです。

中銀デジタル通貨(CBDC)は紙幣と異なり、いつ、誰が、どこで使ったかの情報を一元的に把握することができる半面、個人情報をどのように扱うのかといった匿名性、資金洗浄(マネーロンダリング)対策のバランスも大きな論点になります。

サイバー攻撃への防御も共同研究の対象になります。

研究成果をもとに実際にデジタル通貨を発行するかどうかはそれぞれの中央銀行の判断に委ね、日銀は「今の時点で発行する計画はない」としています。

ようやく動き出した米FRB

この日銀と欧州中央銀行による共同研究グループ発足を受けて、世界の基軸通貨、ドルを発行するアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は、「デジタル通貨」について研究を進めていく方針を明らかにしました。

これまで中央銀行が紙幣や硬貨を電子化する「デジタル通貨」をめぐっては、中国が発行の準備を進めているのに対して、アメリカのムニューシン財務長官は去年「今後5年間は発行する必要はない」と述べ、ドルのデジタル化に否定的な見解を示しました。

こうした中、中央銀行にあたるFRBのブレイナード理事は、「ドルの役割を踏まえると、デジタル通貨の研究の最前線にいることが不可欠だ」と述べ、アメリカもデジタル通貨に対する研究や実験を進めていく方針を明らかにしました。

どうなる通貨…

国際的に信頼性が高い新たなデジタル通貨が誕生すれば、将来的にドルを基軸通貨に置く現行の為替相場制度自体がなくなる可能性すらあるかもしれません。

このため主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)は一斉にリブラ包囲網を構築し、規制強化で足並みをそろえました。

ただ、その間に、中国は着々と「デジタル 人民元」構想を進めてきています。

おそらく、世界で最初の中銀デジタル通貨(CBDC)発行国となりそうで、日米欧各国は、その危機感は増してきているようにも思えます。

今わかっている各国の中銀デジタル通貨(CBDC)に対する対応は以下の通りです。

  スウェーデン  eクローナを発行予定
  中国      デジタル 人民元 発行準備中
  カンボジア   2019年「バコン」発行
  ウルグアイ   2017年に試験発行
  バハマ     2020年に発行予定

フェイスブックによるリブラ発行構想の背景には、「高くて遅い」という既存の国際送金サービスへの利用者の不満があります。決済システムの中心に位置する中央銀行が結束して、中銀デジタル通貨(CBDC)を視野に踏み込んだ姿勢を示すことで、民間企業の技術革新を促す狙いもありそうだ。

リブラ構想は、通貨上の国境を取っ払うことで、時間と費用(手数料)障壁をなくそうとしたもので、中銀デジタル通貨(CBDC)は、各国・各地域の通貨の概念はそのまま残そうというもののようです。

各国・各地域の中央銀行は、リブラの存在を否定しながらも、デジタル通貨の重要性は理解しているようですね。

デジタル通貨の世界は、まだまだこれからです。今の形がずっと続くかどうかもわかりませんが、とりあえず日米欧が動き出したということが、重要のようですね…

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