PayPay(ペイペイ)でお金が借りられる、投資信託や株が買える…みずほフィナンシャルグループとソフトバンク

みずほフィナンシャルグループとソフトバンクは、スマートフォンなどを活用したデジタル金融サービスで提携すると発表しました。

ソフトバンク系列のスマホ決済アプリ「PayPay(ペイペイ)」を通じた個人向け融資などを手始めに、幅広い金融サービスを両社で進める考えを示しました。

両社は2016年、人工知能(AI)で貸し出し条件を決めて個人に融資するローン会社「Jスコア」を共同で設立しました。今後は「ペイペイ」を通じ、Jスコアのサービスを受けられるようにします。

また、ソフトバンク傘下のスマホ証券を同社とみずほ証券の共同出資会社とし、PayPay(ペイペイ)から投信を買えるようにします。

いずれも2020年度中の開始を目指すとのことです。

今回の提携で、みずほは若年層の顧客を開拓する狙いがあり、ソフトバンクはみずほから金融事業のノウハウを得て、金融とITを融合させたフィンテックを強化する狙いがあるようです。

Jスコア(J.Score)ってなに

Jスコアとは、みずほ銀行の持つ顧客データ分析やローン審査ノウハウと、ソフトバンクのAIを用いたデータ分析を融合し、顧客データをスコア化して融資に活用するもので、このスコア・レンディングを用いることで、従来では融資できなかった低与信層に融資可能となる見込みとされています。

Jスコアの武器はAIスコアです。ローンを申し込む前に、利用者は自分の属性を数値化した情報を確認できます。利用者にスコアを公開している点が非常に斬新です。

具体的なスコアの根拠までは利用者はわからないものの、質問に回答して数値が算出されるので、自分のスコアがなぜ低い(高い)のかは理解することができます。

審査する項目は、今までのクレジットなどで使用される項目とほぼ同じようなもので、自分のスコアを高くすることができる項目もあります。

PayPay(ペイペイ)での融資では、このJスコアのデータが用いられますが、PayPay(ペイペイ)利用者の決済履歴などのデータは、個人情報保護のためJスコアでは使わないとのことです。

「信用スコア」とは…

信用スコア・・・それぞれの人の信用度を点数にすることです。100点満点か1000点満点で格付けされることが多いようで、その点数によって、国や企業の対応が変わってきます。

中国で進んで取り入れられているもので、たとえばスコアが一定点以上なら保証金を払わずに高額商品をレンタルできたり、婚活に使われたりもします。

金融業界では以前から「クレジットスコア」という審査用の点数付け(スコアリング)があり、融資の可否や上限額、金利を決めるために使われています。

Jスコアの考え方のもとになているのがこの「信用スコア」です。

信用スコアは、中国で圧倒的に普及しているスマホ決済での取引情報や、政府のバックアップを受けて犯罪歴や裁判などの情報まで含まれ、点数もオープンにされます。

日本で言うなら、マイナンバーのシステムに様々な情報が蓄積され、点数化されるようなイメージです。

最も利用者の多い信用スコア、アリババグループの「芝麻信用(Zhima Credit、Sesame Credit、ジーマ信用)」の例では、信用スコア算出の指標は

・身分特質:年齢、学歴、職歴など個人情報
・履約能力:預金、株式、車、住宅などの資産情報
・信用歴史:ネットショップでの購買履歴、ローンや公共料金などのクレジット情報
・人脈関係:SNSでの友だちの数や質、発言などの交流情報
・行為能力:購入したモノ、使ったサービス(ゲームのプレイ時間など)、寄付の有無や金額などの行動情報

ほかにも、交通違反、犯罪歴、裁判記録、賠償金の支払い状況など、かなり幅広く細かい情報が使われます。

信用スコアが低いと、社会活動にも制限がかけられますので、中国では無人コンビニがビジネスとして成り立つのです。監視カメラから万引きがわかると信用スコアがさがることから、犯罪の抑止力としても効果があるとされています。

信用スコアは月に1度更新されます。たとえば犯罪を犯せば一気に点数が下がり、公共交通機関での移動を制限されたり、アリババ系サイトの利用を制限されるなど、生活が不便になります。

蓄積された膨大な情報は、AIで350〜950点に点数化され、生活の様々な分野で活用されています。

たとえば、

   ・700点:シンガポールビザがとりやすくなる
   ・750点:北京空港の専用出国レーンが通れる

のように、公的なシステムでも使われています。また、アリババ系のサービスでも数々の特典があります。

   ・600点:系列旅行サイトで、ホテルでのデポジットが不要となる
   ・600点:系列賃貸サイトで敷金が不要となる
   ・600点:系列・提携ローンの審査がすぐに通る。一部サイトでは利率が下がり、返 済期限が延ばせる

点数が高い人しか参加できない婚活サイトなどもあり、進学や就職、結婚にも影響を与える数字になっています。

おそらく、いずれは日本も、この点数化された個人信用の導入を考えているのではないでしょうか。

PayPay(ペイペイ)による融資

従来の融資と比べて、顧客がスマホアプリに情報を追加することで、融資を申し込む前から借り入れ条件が判明したり、データが多いほど金利が安くなったり、借入れ限度額が増す仕組みが導入される予定されています。

スマホで融資を申し込むと、30分以内に銀行口座に振り込まれる無店舗営業の為、コストを抑えて低金利を実現するとされています。

みずほ銀行は3大メガバンクの中で唯一傘下に大手消費者金融を保有していないため、この試みはアナリストから「他の銀行グループも同様のサービスを考えているだろうが、追随しようにも従来の消費者金融の店舗などの固定費負担が重くのしかかっていて動きづらい」と評価されているとのことです。

信用が比較的低かった若者でも低金利で融資が受けられる試みは、米国のフィンテック企業SoFiのビジネスモデルを参考にしています。

Sofiのビジネスモデルとは

Sofiは、はソーシャルレンディング事業を教育ローンにフォーカスすることで、大きく成長を遂げたスタートアップ企業です。

ソーシャルレンディングとは、手元に資金があり融資を行いたい個人や企業と、プランと準備があり資金を必要としている個人や企業をマッチングするサービスのことで、ソーシャルレンディングを行う事業者は、貸し手から資金を集め、借り手に貸し出す、そのマッチングのプラットフォームになります。

借り手は利息を加えて貸し手に返済し、仲介したソーシャルレンディング事業者は、その利息から数パーセントを報酬として受け取るという、資金を必要としている借り手を中心に、貸し手とプラットフォームの三者にとって有益な事業となっています。

SoFiのビジネスモデルは、融資を受ける側、つまり借り手の学生を、高学歴で将来的に高い収入を得ることが期待できるHENRYs(High Earners, Not Rich Yet)に絞り込んだところにあります。

米国市民が平等に受けられる連邦政府の教育ローンと明確に差異化を図り、返済能力の高い借り手を顧客としてターゲットに据えたのことで、リターンを得られる可能性が高い投資市場を生み出し、貸し手が集まりやすい状況を作り出しました。

また、大学卒業後に母校への恩返しとして寄付をするのは当然とする米国文化に着目して、大学OBである投資家から低金利での融資資金の提供を取り付けました。

繋がりがない相手に融資ができる、見知らぬ相手から融資を受けられるというのがソーシャルレンディングの本来の魅力なのですが、どうしても、借り手と貸し手の繋がりが弱いものになってしまうところに、見知らぬ者同士でも「学校OB」というつながりを持たせることで、低金利での融資を実現させ(恩返しの意味で低金利出融資してもらう)、貸し手には返済の確実性を、借り手には低金利での融資を提供する理想のマッチングを実現させたのです。

SoFiは、AIによるビッグデータ解析に基づいた独自のアルゴリズムを開発し、借り手の学歴、職歴、キャッシュフロー、公共料金の支払い履歴などを基に、貸し手と借り手をマッチングするだけでなく、リファイナンス(ローンの借り換え)も行っているのです。

このビジネスモデルが、PayPay(ペイペイ)での融資ビジネスの参考になっているようです。

みずほフィナンシャルグループとソフトバンクが、スマートフォンを使う金融サービスで提携して、ソフトバンクグループのスマホ決済「PayPay(ペイペイ)」の顧客に対し、個人の信用力を人工知能(AI)ではかる信用スコアを使った個人向け融資などのサービスを提供するというビジネスを展開していくのです。

PayPay(ペイペイ)で株や投資信託が買える

ペイペイはスマホ決済の国内最大手で、登録者数は約2800万人に達します。

この約2800万人に対して今回の提携で、PayPay(ペイペイ)の画面に個人向け融資や資産運用サービス用のアプリを表示することになります。

個人向け融資はみずほ銀行とソフトバンクが共同運営する「Jスコア」を使うことは前述のとおりで、利用者が年齢や職歴、趣味などの質問に答えると個人の信用力をAIが点数化することで、今後はPayPay(ペイペイ)の利用者向けの融資拡大をめざしますが、今回の提携でさらに、みずほ証券などが株主のモバイル証券サービス「ワンタップバイ」もPayPay(ペイペイ)で使えるようにして、株式売買や投資信託の購入ができるようにします。

ワンタップバイ(One Tap BUY)は、スマホで1,000円から小額で日米企業の株を購入できます。

わずか数回のタップ入力だけで、外国株や日本株の株式売買ができ、投資までのハードルがとても低いことを売りとしています。

個別銘柄への投資だけでなく、複数の企業にまとめて投資ができる「ETF」も提供しています。米国のRTFも購入できます。

もちろん個別株も、外国株を購入できます。アップルもグーグル(アルファベット社)も買うことができます。

みずほは約2400万人の個人顧客を持ち、ソフトバンクとお互いの顧客層を生かして相乗効果を高め、手数料などの収益拡大につなげる狙いです。

スマホ金融を巡っては三井住友フィナンシャルグループとSBIホールディングスも包括提携しました。

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