コロナ禍で厚生年金制度はどうなる…積立金運用悪化に保険料上限引き上げ

新型コロナウイルス感染拡大は、世界の経済を大きく停滞させました。ロックダウン(都市封鎖)や緊急事態宣言発出、行動自粛要請などにより、経済活動を強制的に止められることで、景気悪化は深刻なものになっていきました。

リーマンショックと比較されることがありますが、金融不安によるものと、ウイルスという自然界を相手にするものとでは、全くその性質は異なり、収束が見えないウイルスとの戦いは、リーマンショックと同列に語ることはできません。

ただ各国中央銀行は、リーマンショックもコロナショックも、どちらも金融政策、つまり強力な金融緩和で景気を下支えしようとしました。

たしかに株式市場はそれなりに暴落阻止とはなりましたが、実体経済が立ち直るまでには至ってはいません。

とくにコロナショックでは金融政策だけでは実体経済を立て直すには厳しく、さすがに強力な財政政策が必要になってきています。

この財政出動に関しては、各国政策の違いがあり、日本では残念ながら、政策を打つタイミングや、その政策そのものがちぐはぐな状況であると言わざるを得ません。

財政政策にはどうしても限界があり、同時に経済を正常に動かすことで、財政負担をできるだけ小さくしていく必要があります。

なにより、国民の生活が立ち行かなくなります。

この経済悪化が、自然のウイルス相手だけに、ウイルス感染拡大がいつ収束して。経済がいつ好転するかが見えづらいことが、深刻さを増していると言わざるを得ません。

それは、将来における年金制度にも大きな影響があることが考えられます。

年金制度改革

積立金運用はマイナス

公的年金の積立金の2019年度の運用損が8兆2831億円となりました。

年度ベースの赤字は4年ぶりで、リーマン・ショックの影響を受けた2008年度の約9兆3000億円に次いで過去2番目の赤字幅となりました。

収益率は過去3番目に低いマイナス5.20%でした。

ただ、市場運用を始めた2001年度以降の累積収益額でみると57兆5377億円と大幅なプラスになっていて、運用資産額は計150兆6332億円となりました。

2001年の日経平均株価は10000円を割り込む水準だったので、直近が少々年間実績が悪くてもトータルでは大きくプラスになっているでしょう。

問題は2019年度財政検証です

財政検証とは、5年ごとに行われるもので、最新の人口の将来推計などを踏まえ、現在の年金財政制度を前提にした場合、将来の年金財政はどのような姿になるかを検証するものです。

将来の年金給付額を決める要素として、経済成長や労働参加の程度に大きく左右されるということを指摘しています。

その結果で、次の3通りのシミュレーションを報告しています。

  • パターン1
    経済成長や労働参加が高い水準で進めば、所得代替率は50%以上を維持できます
  • パターン2
    経済成長や労働参加がある程度の水準にとどまれば、2040年代半ばには所得代替率は50%に達し、その後もマクロ経済スライドを続けると所得代替率は40%台半ばにまで低下してしまいます。
  • パターン3
    経済成長や労働参加が進まない場合には、2052年度には国民年金の積立金が枯渇して完全賦課方式に移行することになりますが、その場合の所得代替率は36~38%程度にまで低下することになります。

以上の3通りを指摘していますが、今のコロナ禍での経済状況を守れば、どう考えても「パターン3」の最悪バージョンが予想されます。

保険料引き上げ

会社員らが加入する厚生年金の保険料の上限が9月から引き上げられます。

月収が63.5万円以上ある高所得の加入者が対象で、本人と会社が負担する保険料は合わせて月5490円高くなります。

保険料の引き上げで将来受け取る年金額も増えますが、コロナ下での負担増は企業や社員にとって重荷になるとの見方もあります。

「月額等級」上限が第31級(標準報酬月額62万円)の上に第32級(標準報酬月額65万円)を設けます。

月収で見ますと、60万5000円から63万5000円未満が第31級に該当し、厚生年金保険料は113,460円(負担分56,730円折半分)とし、月収が63万5000円以上になると第32級に該当し、厚生年金保険料は118,950円(負担分59,475円折半分)となります。

厚生年金保険の標準報酬月額の上限改定に伴い、改定後の新等級に該当する被保険者の方がいる対象の事業主及び船舶所有者に対して、令和2年9月下旬以降に日本年金機構より「標準報酬改定通知書」が送られます。

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