75歳以上の医療費、窓口負担を増やす方向で検討

政府は75歳以上の後期高齢者の医療制度に監視、外来診療の窓口負担を原則1割から2割に引き上げる調整に入りました。その背景には、医療保険制度維持のための財政問題があります。

75歳以上の医療制度は「後期高齢者医療制度」となり、現在の対象者は約1800万人になりますが、、毎年着実に増えてきています。この75歳以上の後期高齢者にかかる費用は2017年度で約16.1兆円に上ります。

このうち4割を現役世代の保険料が支えていて、現役世代に負担が偏っていることが指摘されています。

厚生労働省によれば、75歳以上の1人当たり年間医療費は2017年度時点で平均92.1万円、65歳未満は18.7万円ですから、後期高齢者にかかる医療費は5倍近くになっています。2016年度の資料によれば、1人当たりの年間外来受診回数は、75~79歳で33.4回です。75歳未満だと、65~69歳は21.8回、70~74歳は28.4回でした。

更にこの先2022年には、戦後ベビーブームの団塊の世代(1947~49年生まれ)が75歳以上になり始め、さらに後期高齢者は増えてくるのです。

公的医療保険制度では、医療の7~9割を保険料や税金で賄っています。患者はかかった医療費の1~3割を病院の窓口で支払います。

ここで、公的医療制度の解釈を勘違いしている人が多いようですが、私たちの医療費に関する負担は、この窓口負担だけではありません。給与所得者なら、毎月給料から天引きされている社会保険料から、自営業の人は毎月納める国民健康保険料から、窓口負担を除いた医療費を、医療機関に払っているのです。

つまり

    医療費 = 窓口負担 + 自由診療分(保険適用外) + 医療給付費
   医療給付費 = 毎月の保険料 + 税金

となります。つまり医療制度は、税金も含め全額私たちの負担で賄われているのです。政府や行政機関は、この制度を管理運営しているに過ぎません。

私たちがお互いで、医療機関を必要する人たちを助け合っている制度なのです。 皆保険制度は、国から授かった特別なものではありません。

年金制度も同じです。すべては私たちの保険料や税金で賄われていて、政府や行政は運営管理しているだけに過ぎないのです。

だから、社会保険料が、私たちの年金や医療以外に使用されることは大問題なのです。

この毎月の保険料は、所得に応じて保険料額が決まります。

その計算をする上で、家庭の事情は考慮しません。つまり、税金のような、生命保険契約の有無や扶養控除者の有無は一切考慮されません。単純に所得のみで計算されます。

窓口負担が少ないと、医療給付費負担が増える仕組みになっています。窓口扶南が少なくこうれ死者の医療費は、医療給費で負担しているということは、現役世代の保険料で賄っているという事になるのです。

窓口負担が少ない高齢者が増えることは、医療給付費負担が増えることになり、実際の医療費が支払えなくなるので、

  ・実際に医療機関にかかっている人の窓口負担を増やす
  ・現役世代の保険料を引き上げる
  ・税金投入を増やす

の選択が迫られているということです。

2022年のベビーブーマー世代が75歳になる前までに結論を出さなければならないということです。

そこで今議論されているのが、75歳以上の後期高齢者の窓口負担額増です。

政府が、後期高齢者の窓口負担増という結論を出したのは、後期高齢者の医療費負担の4割を現役世代が負担しているという、医療費負担をめぐる世代間格差が広がらないようにするためと言えます。

2022年までに決着させるためには、政府の全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)が12月中旬にまとめる中間報告に方向性を盛り込む必要があります。

もう一度整理しますが、現在の窓口負担は

   69歳までの現役世代は収入に関係なく3割
   70~74歳は原則2割
   75歳以上は1割 、 ただし、70歳以上の高齢者でも現役世代並みの所得がある人は3割

このうち現役並みの所得がない75歳以上の後期高齢者の窓口負担について、70~74歳と同じ2割にする調整を進めているのです。

この後期高齢者医療制度改革に関して基本スタンスとしては

    健康保険組合、経団連、財務省   賛成
    日本医師会            反対

日本医師会(日医)は、これまで「受診控えと重症化につながりかねない」として負担増に反対してきました。しかし、医療費や現役世代の保険料の増加に対応するため、一定の所得層に限って負担増を容認する方向に傾いています。

健康保険組合や経団連や財務省などは、現役世代の保険料負担や財政悪化懸念を重要視していて、70~74歳は2割負担であることから、新たに75歳になる人から順に2割負担とするよう主張しています。

改革の是非に加え、「収入で区分」か「年齢で一律」かでも意見が割れている状況です。

介護保険制度利用時の自己負担は原則1割で所得に応じて2、3割となることから、日本医師会(日医)は、後期高齢者医療制度にも2割負担の区分をつくる代替案を検討し、政府側にも伝わっているとのことです。

医療費の窓口負担に関しては、年代を問わず広く負担を求められるとして、外来受診時の定額(ワンコイン)負担の実現を優先するべきだとの意見も政府内にはあります。

2020年1月召集の通常国会への法案提出も視野に入れているとあります。

その際の導入方法として

    ・現役世代並みの所得がない75歳以上全員を一度に2割にする
    ・導入後に75歳に達した人から徐々に広げる

の2案が検討されるようです。

段階的に導入する案の場合、1割負担で通院していた後期高齢者は従来通りに据え置き、70~74歳は現在も原則2割で、75歳になっても同じ割合のままのため負担感の増大を避けられるとしてます。

2022年度に導入するなら、2025年度に最大2000億円超の給付費を抑制できるとのことです。

低所得の後期高齢者には生活に過度な負担がかからないようにする措置も検討します。患者が負担する年間医療費に上限を設ける案や、年収80万円以下の人は1割を維持する案が浮上しているとのことです。

現在は前年の収入が約370万円以上ある人は「現役世代並み所得者」とみなされ、窓口負担も現役並みに3割となっています。この年収基準の見直しなども今後の論点になりそうです。

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