2020年度診療報酬改定、患者側から考えると、どのように負担増になるのでしょうか…

厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)による2020年度の診療報酬改定ポイントは、病院と診療所、病院間の役割分担をより一層図る「医療機関機能分化促進」となっています。

患者側に立っての、今回の改正のポイントは

紹介状なしで病院を受診した場合に保険外の上乗せ料金がかかる病院の範囲の拡大…
大病院の地域包括ケア病棟を制限…

で、2020年4月から施行されます。

消費増税後の臨時改定

診療報酬改定は原則、2年に1回行われますが、今回は、2019年10月に消費税率10%への引き上げに合わせて、半年ぶりの臨時の改定となりました。

たとえば初診料は、従来の2820円から2880円へ、診療所や中小病院の再診料は720円から730円へ、大病院の再診時にかかる外来診療料は、730円から740円に値上げされました。

話題になった「妊婦税」と批判を受けて凍結されていた妊婦加算は廃止され、妊婦以外も含めた新たな診療情報提供料が設けられました。

診療情報提供料とは、医師が他の医師、あるいは医療機関へ患者を紹介する場合に発行する書類を作成するときに発生する費用です。診療情報提供書は、いわゆる「紹介状」ですね。

再診の場合、電話で病状等の相談をした場合にも、電話相談料が請求されます。

妊婦加算の議論を見て見ますと、医師の評価が絡んできているようです。

妊娠中の患者の診療に対しては、医療従事者として、乳幼児の診療と同様に手厚く評価しようというのが背景にありますが、それを患者に評価させることの是非が問われました。

乳幼児の場合は自治体の助成で患者側の負担はないことが多いのに対し、妊婦の場合は加算によって患者の窓口負担も増えてしまうのです。

診療報酬で高く評価すると患者の負担分は増えます。

保険診療制度の限界なのかもしれません。

自由診療だと、価格がその医師の評価となり、患者がその治療費を選ぶかどうかが意志の表れとなります。

診療報酬によって政策を進めることの難しさなのでしょう。

患者側が強く求めてきた診療明細書の発行が定着してきたようですが、それでも診療報酬の中身が、加算や算定要件が複雑に入り組んで、極めてわかりにくくなっています。

まだまだ改善点は必要かと思います。全てを透明にする「見える化」の促進が必要です。

前回の改定ポイントからの今回の改定は…

前回改定では、団塊世代が75歳以上となる2025年以降の年齢・疾病構造の大きな変化に対応できるよう、入院料の枠組みなどが大幅に再編・統合されました。

2018年度診療報酬改定基本方針出の具体的方向性

・地域包括ケアシステム構築のための取組の強化
・かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価
・医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
・外来医療の機能分化、重症化予防の取組の推進
・質の高い在宅医療・訪問看護の確保
・国民の希望に応じた看取りの推進

この延長上に、今回の診療報酬改定の主旨である、病院と診療所、病院間の役割分担をより一層図る「医療機関機能分化促進」があるようです。

その具体策として、紹介状なしで病院を受診した場合に、保険の窓口負担とは別に、初診は5000円(歯科は3000円)以上、再診は2500円(同1500円)以上の上乗せ料金がかかる仕組みとなっています。

現在は、大学病院などの特定機能病院と許可病床400床以上の地域医療支援病院が対象ですが、特定機能病院と一般病床200床以上の地域医療支援病院に対象が拡大されます。

200床以上の病院は、これまでも病院の判断で上乗せ料金を設定できていますが、制度の変更によって上乗せ料金の値上げなどにつながるとみられます。

軽い病気の場合はまず診療所にかかり、専門医の診察や入院治療が必要と判断されたら、紹介状を書いてもらって病院を受診とするという、病院と診療所の役割分担を進める狙いがあります。

患者としては、診療情報提供料の支払いもあります。

料金面から、病院と診療所、病院間の役割分担を図るものでしょうか。

勤務医の過剰労働改善

2020年度診療報酬改定では、医師ら医療従事者の働き方改革を診療報酬で後押しする狙いもあります。

その一環が「地域医療体制確保加算」です。

地域の救急医療を担う病院に対して、救急搬送件数が年間2000件以上の病院に対し、入院患者1人当たり5200円の「地域医療体制確保加算」が新設されます。公的病院を中心に全国で800から900程度の病院が対象となるとみられ、救急搬送件数が1000件以上2000件未満の病院についても、診療報酬とは別の、地域医療介護総合確保基金で対応するとしています。

加算は、医師の負担軽減に取り組むことが要件になっており、増収分が医師の勤務の改善に実際につながっているかどうかの検証が今後の課題と言えるようですが、ようは、医師の待遇改善をすれば、診療報酬を加算するということです。

皆保険制度の保険診療の仕組み

医療費が「100」かかったとしたら、後期高齢者等この負担額がすくなる場合がありますが、一般の場合、窓口で患者が負担をするのは、保険診療分の3割「30」で、これに保険診療外治療があればその全額が負担となります。

医療機関は、治療の詳細を明細書にして提示して、遅れて残りの7割「100-30=70」を受け取ります。この「70」が医療給付費と言われるものです。

この医療給付費の原資は、私たちが毎月納める保険料です。自営業者なら国民健康保険料、給与所得者なら社会保険料になります。

日本では医療費は3割だけで済んでいる…というわけではありません。

相互扶助の考えから成り立っていますが、ザックリと言えば、自分の医療費は、一括で払わないということはありますが、全額自分達が賄っていると言えます。

診療報酬で医師の待遇を改善するということは、私たちがお金を出して、そのお金で行われているのだということです。

診療報酬で、様々な改善を行うということは、患者の負担分は増えるということです。

もちろん医師の待遇改善は急務で、こんままだと医師が倒れる、医師不足になるという危機感は真剣に考えなければなりません。

ジェネリック医薬品の普及など、薬剤費を抑えることで、患者負担を軽減することもなされています。

ただこの仕組みをよく理解して、診療報酬改定を理解し、診療報酬によって政策を進める難しさを、真剣に考えようという提案でもあります。

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