選択的週休3日制、働き方の多様性と言われますが…

選択的週休3日制…

自民党は、猪口一億総活躍推進本部長を中心として、リモートワーク制度などを活用することにより、正社員において週休3日を希望する人に、その理由を問わずに選択できるようにする制度を提案しています。

それを受けて政府は、坂本一億総活躍相が「猪口試案」として検討する方向で調整をはじめました。

育児や介護、闘病など、生活と仕事の両立を図る観点から、「選択性週休3日制」を導入することで、多様な働き方ができる環境を整えようとしたものです。

働き方の多様性...

この言葉が“錦の御旗”のように、次世代社会の“象徴”として扱われていますが、果たして、世間で言われているようなポジティブなものなのでしょうか…

そもそもこの旗のもとで進められたのが「非正規雇用者の拡充」です。

会社に縛られない働き方、いわゆる“ワークライフバランス”を考える上で、正規雇用という会社に時間が拘束される雇用形態ではなくない「非正規雇用」という雇用形態が推進されてきました。

しかし現実として非正規雇用者は、正規雇用者との待遇面や給与額の格差が大きな問題となってきています。

ワークライフバランスによる自由な働き方か
それを実現するために、ある程度の収入減は覚悟しなければならないのか…

「多様な働き方」と「職場待遇」や「給与」は、どうも相容れない関係にあるように思えます。

副業

みずほフィナンシャル・グループの取り組み

週休3日制度に関しては、民間企業が先行して導入しています。

みずほフィナンシャル・グループは、労働組合との交渉を経た後、傘下のみずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券などグループ6社の正社員約4万5000人を対象に昨年末より、順次「週休3~4日制」の導入を始めています。

ただ、休む日が多い場合は、通常勤務よりも給料の額は減ることになります。

みずほフィナンシャル・グループとしては、増えた休みはキャリアアップのための勉強や介護、副業などに利用してもらうとしていますが、基本給は週休3日の場合は80%程度、週休4日の場合は60%程度となっています。

これらは、従業員に働き方の多様性を提供しているというよりも、経営の問題で、給与を低く抑えることが目的になっているようです。

今までも、銀行の窓口業務を支えているのは、“元銀行員”の非正規の人たちです。

企業にとって「コストカット」は、従業員の給与減が最も大きな効果となります。毎月の固定費を見直すには、リストラが最も効果的とバブル崩壊以降は考えられてはいますが、正規雇用者を、簡単には会社の都合で解雇することはできません。

世間で言われている「『働き方の多様性」は、どうやら「企業」というフィルターを通すと、違う意味になるように思えます。

一方、ユニクロを展開するファーストリテイリングでは「変形労働制」を導入していて、「土日を含んだ週4日×1日10時間」の勤務で、通常のフルタイム勤務「週5日×1日8時間」と同じ週40時間勤務ということで、同額の給与を支給するようにしています。

1日に働く時間は増えるものの日数を減らすという取り組みをしているようです。

が2015年から実施していて、この「変形労働制」を実際に利用している人の、こんな声があります。

この制度を介護に利用した女性・・・「以前より母と過ごせる時間も増え、自分の時間も確保できた」
夫婦で家事と育児を助け合うために利用した男性・・・「夫婦でバランスよく家事・育児を分担することができるようになり、妻は仕事の時間を増やすことにしました」

このポイントは、1日の働く時間が増えても給料が減らないというところにあります。労働時間をある期間に寄せて、一週間の中で空いた時間を作るという考えです。

しかし、自民党が提案している「選択性週休3日制度」は、働く時間が減る分、給料も減るよということで、給料が減ることの救済措置はありません。

とにかく働く時間を減らすことに着目しているのです。

週休3日制導入の本音…

従業員側から見たデメリット

コロナ禍が続くなか、企業ではテレワークや時差出勤の導入に加え、働き方を見直す動きが広がっています。

「週休3日制」も注目されてはいますが、休みが1日増える分、従業員にとっては、単純に所得減となりそうです。

所得減は、家計を直撃します。

もともと給与額が少ない若年層は、可処分所得(総支給額から、社会保険料や税金を差し引いた額、いわゆる“手取り額”)は減り、場合によっては、アルバイトをしなければ暮らせなくなるかもしれませんね。

週休3日・4日制を導入したみずほフィナンシャル・グループでは、この制度導入とセットで副業を解禁しています。

見方を変えれば

会社一社では従業員の生活の面倒は見ることができないので、
副業を認めるから自分でなんとかして...

というメッセージにも聞こえてきます。

実際、副業を認めるようになった企業が増えてきています。大手企業の中でも、就業規則を変更して、従業員の副業を積極的に奨励するところも増えてきました。

企業のリストラ促進のきっかけになるのか….

人口減少社会となる日本においては、今後は労働者が減少することが予想され、企業としては人手不足が起きる可能性があります。

正規雇用者の「働き方改革」により、勤務体系も変わり、ワークライフバランスによる週休3日制導入となれば、その労働力を外国人労働者で補うことも考えられます。

その際の外国人労働者とは、“賃金の安い”外国人労働者になりそうです。

企業にとっては従業員給与は「コスト」とも取れます。「固定コスト」になります。

企業業績が悪化しても、正規雇用者を簡単に解雇することは、労働基準法ではできません。

週休3日制導入により、賃金を減らすことができることは、経営上メリットと判断して、「選択性」というよりも、強く従業員に勧めることも予想されます。

余剰人員が多い業種や職種によっては、「週休3日が可能なら、この際だから」と、一気にリストラを進める可能性も出てくることが危惧されるという見方もあります。

正社員を雇用せず、非正規社員の拡大につながりかねないのではとの見方もあります。

事実、コロナ禍での非正規雇用者の雇い止めが、大きな社会問題になっています。

給料が減ってしまっては生活が成り立たないんじゃないか...
結局副業するしかなくなっちゃうよね...

このような声がSNS上では多いようです。

もしかしたら労働市場全体のバランスが変わりかねない制度なのかもしれませんね…

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