オールイングリッシュ授業、中学校では2021年度から、高校では2022年度から実施…

「グローバル(Global)」という言葉が多用されるようになって随分がたちます。特に今年は、東京五輪・パラリンピック開催の年でもあり、特に「グローバル」という言葉が強く意識されているようにも思えます。

教育現場において「グローバル」という言葉から問われる問題として、「英語授業のあり方」があります。

文部科学省が指摘している「日本の英語教育」課題として

   英語を用いて何ができるようになったか…
   よりも
   分封や語彙等の知識がどれだけ身についたか…

という授業であることをあげていて

   コミュニケーション能力の育成を意識した取り組みが不十分…

であることが課題としています。

文部科学省では、グローバル化などの変化の激しい時代の流れを踏まえて、2009年3月9日に高校の学習指導要領を改定しました。

英語に関する学科の各科目については、その特質にかんがみ、生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、授業は英語で行うことを基本とすること。― 高等学校学習指導要領 平成21(2009)年3月 文部科学省

「ゆとり」か「詰め込み」か…ではなく、基礎的・基本的な知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成との両方が必要とし、生活課題を解決できる実践的な「生きる力」の育成を目指しました。

学習指導要領では、
   授業は英語で行うことを基本とする…
ということが初めて明記されました。

2013年12月13日に公表された「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」の中では、今後は中学校でも授業を英語で行うことを基本にしていくという記述がありました。

2017年3月31日、新しく改訂された学習指導要領が発表されました。

中学校の学習指導要領にも
   授業は英語で行うことを基本とする…
ということが付け加えられました。

小学校では、2021年度から、それまで5年生と6年生から英語を必修教科とするはずだったのを前倒しにして、3年生、4年生から外国語活動を実施することになりました。

中学校では、2021年度から、英語の授業は英語で行う「オールイングリッシュ授業」が基本とする定めとなります。

高校では2022年度から「オールイングリッシュ授業」となります。

大学入試の形式も変わり、いままでの「大学入試センター試験」から「大学入試共通テスト」に2021年度入試から変わります。

英語の配点は、リーディング100点、リスニング100点、その他200点となり、問題文が全て英語になることも検討されているようです。

この「オールイングリッシュ授業」は、2018年度より移行期間として既に始まっており、2021年度には、全面実施される予定になっています。

現状では、教師が発話を英語で行っている割合が50%以上の割合は、中学高校とも50%前後で、そもそも教師側が、これに対応できるのかという心配もありますね。

「オールイングリッシュ授業」と聞くと、ちょっと身構えてしまいますが、授業を英語で行うことはあくまでも「基本」であって、また使用する英語についても、生徒の理解度に合わせていくので、何から何まで英語を使用するのではなく、必要な場合は、適宜日本語を使用することも十分にあり得るということです。

しかし、日本語を使用することがあると言っても、”Open your textbook”などの簡単な動作を英語で指示するだけでは、とても「オールイングリッシュ授業」とは言えませんよね。

実際に英語でディベートができるレベルにまで持っていけるのかどうか…

文部科学省では、各中・高等学校が学習指導要領に基づき、生徒に求められる英語力を達成するための学習到達目標を「CAN-DOリスト」の形で具体的に設定するとしています。

CAN-DOリストとは、学習の到達目標を「~することができる」という形で指標化し、英語を使って具体的に何ができるようになったのか、明確化しようというものです。

「書くこと」「聞くこと」「話すこと」「読むこと」の4技能が英語教育の中心となりますので、たとえば、中学校卒業までに

   聞いたり読んだりしたことなどについてほかの人と話し合い、
   理解したことを確認したり、意見の交換をしたりすることが
できる…(話すこと)

   自分の考えや気持ちなどが読み手に正しく伝わるように、
   文と文のつながりや全体としてのまとまりに注意してある程度の
   長さの文章を書くことができる…(書くこと)

といったような形式で、目標達成度合いを指標化しようというのです、

文部科学省の調査では、2015(平成27)年度に、中学校では51.1%の学校、高校では69.6%の学科が、CAN-DOリストによる学習到達目標を設定していました。

ただし、その達成状況を把握している学校は各22.2%、30.7%にとどまり、CAN-DOリストそのものを公表している学校に至っては、各7.8%、22.0%にすぎないというのが現状です。

学校側も、まだまだ「生徒が~できるようになった」と、自信を持って指導できている状況には至っていないようです。 

日本人は、学校教育でかなりの期間で英語を習っているにもかかわらず、英語を話せるようにはならないとよく言われます。

果たして今回の文部科学省の試みで、どれだけ日本人が英語を話せるようになっていくのでしょうかね…

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