2024年相場の鍵となる「金利」、金利とは何かをちょっと真面目に教科書的に考えてみます…

“金利が下がる”と「株価」は上がる…

2024年の相場(マーケット)は、ズバリ「金利はどうなるか」です。それにより見える景色は180度違ってきます。金利の動向次第で、株は上がるか下がるか、為替は円高に振れるか円安になるかの極端な違いになるということです。

それも、かなり大きな値幅を伴って変動すると予想されます。

まずはここで言う「金利」の正体を解き明かしていきましょう…

皆さんは「金利」と聞いて何を思い浮かべますか?銀行の預金金利ですか…?

今は殆ど預金金利がついていないので、それよりも住宅ローン金利の方が気になる方も多いのかもしれません。中小企業の社長にとっては、何をおいても、銀行等からの「借入金利」を想定するでしょう。

金利についての説明としては、どちらも「正解」です。

金利が上がると、皆さんの住宅ローンを含め、借入金利は即座に上がります。しかし、預金金利は、随分経ってからでないと上がりません。預金金利は、銀行が運用した結果に基づいて決められますので、預金金利が上がるには、少々時間がかかります。

“貸す” ときの金利は、翌月には上がります。

株価は企業業績の評価で決まります。

銀行等に支払う利子は、企業にとっては「コスト」になります。

中央銀行が政策金利を引き上げたら、銀行の貸付金利(借りている方からすれば借入金利)が上がり、企業にとっては「コスト高」になることで、企業収益を圧迫することになります。

特に、銀行借り入れ(他人資本)で事業が成り立っている不動産業の痛手は、大きくなりますね。

逆に中央銀行が政策金利を引き下げたら、企業にとっては利子という「コスト」を低く抑えることができます。「コスト」を抑えられるということは、企業収益を圧迫しないで済みますので、株価評価にとっては有利になります。

銀行が市中で貸し付ける金利は、中央銀行が決める「政策金利」をもとに決めます。

したがって、中央銀行が「政策金利」を調整することで、市中に出回る資金量を調整します。金利を上げることを「金融引き締め」、金利を下げることを「金融緩和」と表現するのも、理解ができるかと思います。

金利上昇 → 株価下落
金利下落 → 株価上昇

“金利が上がる”と「株価」は上がる…

ところが教科書には、全く違った書き方がされています。

金利には「短期金利」と「長期金利」の2種類があります。

教科書的に説明すれば

   ・短期金利:1年未満の金融資産の金利。代表例は10年もの国債
   ・長期金利:1年以上の金融資産の金利。代表例は10年もの国債

通常、頭になんの注釈もつかなければ、「金利」と言えば「長期金利」を表します。株価も債券も為替も、基本は「長期金利」を意識して推移します。

長期金利が上昇するときというのは、これも教科書的に言えば

   ・短期金利が上がる時(中央銀行が政策金利をあげようとしているとき)
   ・景気が良くなっていくと見込まれる時

景気が良くなるという現象は、インフレになるときとなっていますので、インフレになると中央銀行は、政策金利を引き上げます(金融引き締め)。

行動レベルでみれば、短期金利は政策金利になりますので、人の手で調整することができますが、長期金利は、人の手で動かすことはできません。長期金利は、市場状況を察知して反応します。

長期金利は、短期金利も上がり、景気が良くなることを読んで上がりますので、株価は(景気が良くなると見込んで)上がります。自国通貨も買われます(自国通貨高)。

前半の話と後半の話は、全く正反対の説明となっています。

後半の動きが、本来あるべき姿(正常)であって、いま起きているようなことからは、中央銀行は早く脱したいのですね。

なぜ教科書通りにはならないのか…

株式市場には「相場循環」というのがあります。「金融相場」とか「景気相場」とかですね。実は「金融相場」のときは前半の動き、金利が“下がる”と株価が上がる現象が起きます。「業績相場」のときは、金利が“上がる” と株価が上がります。

ようは、企業業績がしっかりしているかしていないか、世の中の景気の足腰が強いか弱いかによるということです。

「金融相場」は、企業業績に関係なく政府政策や“思惑”などで上がったり下がったりする相場です。相場循環の初動で見られるものです。「業績相場」はその次の段階で、記号業績が相場を動かします。足腰がしっかりとした相場展開になりますね。このときには、中央銀行による金利操作が十分に機能することになります。

今の世界市場は「金融相場」であるとするなら、金利を巡る現象も納得できると思います。

米国で「長短金利逆転」現象が起きていると言われています。短期金利のほうが長期金利より高いのです。お金を貸す期間の長短と考えれば、この現象がおかしいのは理解できるでしょう。

景気が良くなると思って長期金利は上がりますが、景気が良くなってこないと思っているので、短期金利を上げても長期金利は上がらない、したがって長短金利逆転現象は、景気後退(リセッション)のサインと言われています。

今の米国はこういう状況になっています。だから、去年頑張って金利を上げてきたのですが、景気後退(リセッション)の可能性が拭いきれないので、今年は短期金利を下げよう、利下げをしようとしているのです。

日本においては、もともと「ゼロ金利政策」や「YCC(無理やり長期金利を下げる政策=異常)」を取っていたので、下げる金利がないので、利下げに変わる「現状維持」という状態が続いています。だから、日本での金融政策変更は「利上げ」しかないのです。

いきなり利上げは厳しいので、「YCC」を徐々にやめていき、いずれは「ゼロ金利」も解除してくるのでしょう。

それが今年中に行われるのではないかというのが、マーケット関係者の予想です。

今は「金融相場」、そして欧米は「利下げ」、日本は「利上げ」、これが2024年の大方の予想となっています…

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