実効再生産数…緊急事態宣言発動及び解除の指標として世界的に注目されているものが日本では使えない

新型コロナウイルス感染を語る上で出てくる「R」という指標ですが

​​​​​   基本再生産数R0とか
   実効再生産数(effective reproduction number) Rtとか

普段聞きなれない言葉が、ニュースや情報番組に頻繁に登場するようになっています。これらの違いは

   基本再生産数はまだ感染者がいない集団での数字

   実効再生産数はすでに感染した人も含まれる集団での数字

のようです。

実効再生産数を計算は

  (過去5日間の感染確認者数計 ー さらにその前の5日間の感染確認者数計)÷ 5日

日ごとの数字を用いるとブレが大きくなるので、5日分のデータを用いています。

この式では、日本の実効再生産数Rtは変動が大きくなっています。検査数の少なさが数字の安定性に影響しているのかもしれませんが、欧米諸国では、日本よりもブレは少なくなっています。

実効再生産数(Rt)は、1より大きいと感染者数は増加し、1を下回ると感染者数は減少していくと言われていますが、計算の仕方としては、感染者が増加していると実効再生産数(Rt)は1より大きくなり、感染者が減少していると、1を下回るということになります。

あるウイルスが1人の感染者から平均何人にうつるかを示す数値で、実効再生産数(Rt)は増加率、減少率から推定される指標という側面があるということになります。

世界では、この実効再生産数をもとに、日常生活行動等規制解除及び再開の判断としていますが、日本の場合、PCR検査数の少なさから、日本のデータから信頼性の高い実効再生産数が算出できるのかどうかという疑問があるようです。

東京都のデータを見ても、3月14日の実効再生産数(Rt)は2.6と高かったのが、4月10日には0.5に減少していると説明しています。

全国で見ても、4月10日は東京都は高い0.7でした。1を下回っています。

日本が初めて緊急事態宣言を出したのが4月6日で、この実効再生産数と緊急事態宣言との関係が説明がつかなくなっています。数字だけで見れば、緊急事態宣言解除を示す数字なのに、日本は、専門家会議が説明する実効再生産数が低い数値の状態で、緊急事態宣言を発動しています。

人との接触8割減が達成できていないからという、実にファジーな感覚に基づいての緊急事態宣言発動となっています。

また、いま緊急事態宣言解除に向けて政府が動いている中で、東京都の4月30日の実効再生産数が0.3だったのが、翌日の5月1日には1.05になっています。

日本では感染者の検査人数が極端に少ないので、病院での感染者の増減が、実効再生産数に大きく跳ね返ってくる状況になっているのです。

4月30日から5月1日の、1日で急激に増えているのは、東京都で165人という患者が確認されたからで、病院で患者数が確認されたことで大きく跳ね上がっている現状を、山本一太群馬県知事は「専門家会議の数字は当てにならない」と言っているようです。

日本では、実効再生産数は使えないのではという指摘があります。

ドイツでは、実効再生産数(Rt)が0.7となったことで、感染拡大抑制に向けた外出規制を緩和しています。ただロックダウン(都市封鎖)一部緩和開始からわすか数日で、実効再生産数(Rt)は1.1となっています。

この「実効再生産数」は、私たちの行動変容や免疫力の向上に応じて変動すると見られています。

感染と感染確認の間には、潜伏期間、発症から検査までの期間などがあるので、感染確認者数のデータから推計される実効再生産数は、14日くらい以前の感染状況を示していることになるようです。

ということは、「感染状況」は、感染確認者数のデータの日付からさかのぼった、「推定感染時刻」の日付を当てはめて推定する必要があります。

世界的には、実効再生産数を重視して、その数値をもとに政策を決めていて、それをもとに国民に数字で政策を説明しています。

「実効再生産数(Rt)>1」だから、感染者が増加する、ということを裏返すと、感染者が増加している場合に「実効再生産数(Rt)>1」と推定される、ということになっていて、「実効再生産数(Rt)>1」は感染者が増加していることの現れに過ぎず、その大きさは増加ペースの速さということになります。

実にわかりやすい指標とも言えます。

ここに来ても、日本の検査数の少なさが大きく影響しているのですね…

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