同一労働同一賃金制度 …「郵政ショック」から見える正規雇用者の待遇悪化が懸念される
同一労働同一賃金制度…
この制度は「正員雇用と非正規雇用の格差の是正」を目的としていますが、問題は、
非正規雇用者の待遇を良くして、正規雇用者との均衡を図る
というのではなく
正規雇用者の待遇を悪くして、非正規雇用者との均衡を図る
可能性が高いことにあると思います。
「同一」という言葉の印象に惑わされないほうが良いでしょう。つまり今後は
正社員の待遇は悪化し、より劣悪な働き方を強いられる
ということのように思えます。
日本の社会のあり方や日本の会社風土は、かつての畳やふすまの日本風から、欧米イズムが染み込んだものになるでしょう。
日本の大企業の株は、多くを外資が握っています。つまり、日本企業の皮を被った外資系企業がほとんどだとも言えます。
同一労働同一賃金で非正規社員の待遇を上げれば、必然的に企業の人件費は増えます。
合理性を求める外資がそれを許すはずもなく、その分を、正規社員の待遇で調整するのはと指摘する声もあります。
同一労働同一賃金は「正規雇用者の待遇を悪化させる」のだ
郵政ショック…
2018年4月の記事です
日本郵政が原則として転居を伴う異動のない正社員約2万人のうち、
約5000人に支給している住居手当を今年10月に廃止することが13日、分かった…
春闘では日本郵政グループ労働組合(JP労組)は「同一労働同一賃金」の観点から、
非正規社員の処遇改善を要求。非正規社員に対して1日当たり4000円の年始勤務手当が新設された一方、
正社員の一部手当廃止などが決まっていた…
正社員の処遇を下げることで非正規社員との格差を是正する格好だ…
住居手当は現在、借家で月額最大2万7000円、持ち家だと購入後5年間のみ月額6200~7200円を支給していますが、現支給額の10%を毎年減らし、10年間の経過措置を設けるようですが、正社員だけに支給する寒冷地手当や遠隔地手当も減らす方向で、転居を伴う異動のある正社員の住居手当は維持するとのことです。
この、非正規雇用の待遇改善で増えた人件費を、正規雇用者の待遇で調整することが明るみになったことを、「郵政ショック」と呼ばれているようです。
影響は限定的でも、本来なら非正規の待遇を上げるべきなのに、正社員の中でも弱い立場の一般職にしわ寄せがいくのは納得できません。
買収に失敗して何千億円も損失を出しても経営陣は責任を取らなかったのに…
という声が出るのもよくわかります。
一般職という転勤が伴わない職種で、実際に待遇が下げられるところに、やりやすい弱い立場のところで「調整している」現実が垣間見れます。
切手や年賀ハガキなどを一般家庭に営業する「一般職・郵便コース」で働いている人は、引越しを伴う異動のない一般職、つまり住居手当廃止の対象者なのです。
「働き方改革」=残業代カット
「同一労働同一賃金」=下に合わせる
どうしようもない奴隷の国ジャパン…
当時のTwitter投稿で見られた言葉です。
「同一労働同一賃金」を企業側が守るとすると
- 非正規の待遇を正社員の水準まで引き上げる
- 正社員の賃金水準(賞与や手当など含む)を引き下げ
- 同一賃金を前提に、正社員・非正規社員も合わせた賃金制度の見直しを実施する
- 先行企業の様子を見ながら、何も対応しない
になると思われます。
政府が求めているのは「1」で、日本郵政のパターンが「2」です。
トヨタは期間従業員にも家族手当を支給するようにしたようで、パターンでいいえば「1」ですかね。
でもこれって資金力がある大企業でも、足並みが揃っていない、むしろ、総人件費を上げたくないと思っているわけで、中小企業ならなおさらです。
最も多い企業側の対応は、おそらく「4」の様子見姿勢で、すぐには動けないでしょう。
ましてやコロナ禍で、経済悪化により、雇用環境も大きく影響を受けています。
日本企業の殆どとなる中小企業に、この「同一労働同一賃金」が導入されるのは、2021年からになります。
「同一労働同一賃金」の本質に関してはこちらを参照下さい。
日本郵政に限らず、今後はこのようなケースが日本中で続出するでしょう。
給与所得者は、会社あってこその身分であり、自ら収入状況を変えることはできません。
「会社に依存」する姿勢を、早いうちに見直すことが大事になるのかも知れませんね…