銀行はもうオワコン?銀行との付き合い方を考える 銀行でしかできなかったことがすでに…
銀行との付き合い方を考える…
「銀行」と聞けば、どのような関わり方をイメージするでしょうか…?
- お金を預ける、引き出す
- お金を貯める
- 電気料金などを引き落とす
- お金を送る
- お金を借りる
すべて「お金」に関する行為です。どんな形にせよ、“お金を動かす”ときに、銀行を利用しますね。というか、銀行経由でないと“お金が動かせない”ということになってますね。
これらを端的に言い換えると…
「お金を…」
- 保管・管理
- 預金
- 決済
- 送金
- 資金融通
になります。
銀行にお金を動かしてもらうのに、「手数料」が発生します。
「1,保管・管理」してもらっているので、「預け入れ・引き出し」の際には手数料が発生します。
「2,預金」に関しては、銀行側が、お金を使わせてもらうので、銀行からすれば、お金の「使用料」を支払います。預金の利息ですね。銀行は預金を使って、企業や個人にお金を貸し出して、その金利差を「収益」とします。預金は、銀行がお金を儲けるための道具となるのです。
「3,決済」は、決済する業者から手数料をもらいます。決済には、クレジットカード引き落とし、公共料金支払い、電気料金等の引き落としなどです。
「4,送金」は「振り込み」というもので、こちらからお願いしてお金を送ってもらうので、銀行に「送金手数料」「振込手数料」を支払います。金額や送金先の銀行別、国別によって手数料額は異なります。
「5,資金融通」は、借り入れのことで、住宅ローンや事業融資などですね。当然、銀行からお金を借りるので、「利子」を支払います。銀行の収益の源泉で、この「利子」と「預金利息」の差額が銀行の“儲け”になるのです。
今までは、これらすべてのことは銀行を経由してしかできなかったので、「手数料」を支払ってでも、銀行にお金の移動をお願いしていたのです。
さて、これからの世の中はどうなっていくのでしょう。
これら「お金の移動」を銀行以外のところがやってくれるとしたら、競争原理が働いてより手数料の少ない方に人が流れるのは、当然と言えます。
では、それぞれ銀行でしかできなかったことを、ひとつずつ見ていきましょう…
1,保管・管理
お金は、タンス預金で手元に保管する以外にはどこかに預けなえればならないわけで、それは銀行や郵便局などにお願いすることになるのでしょう。貸し金庫に預けるにしても、その使用料を銀行に払うことになりますからね。
「ペイオフ」という、もし銀行が破綻したら、銀行に預けていたお金は、「1000万円とその利息」は、預金保険機構から直接支払ってもらえる仕組みになっています。「1000万円」を超えた部分は、銀行の破綻度合いによって、戻ってくる金額などは変わってきます。
ここが「お金の保管・管理」をお願いする金融機関として、銀行が選ばれるメリットと言えるかもしれません。
証券会社にも「MRF」という、安全性の高い公社債などで運用される投資信託がありますが、銀行預金よりも利回りは多少は良いですが、基本的には元本保証ではありません。
クレジットカードを作るには銀行口座と紐付けしなければならないですし、スマホ決済アプリでも、直接現金チャージのものもありますが、銀行やクレジットカードと連動させているものもありますからね。
ここでは、まだ銀行という存在は大きいのかもしれませんね…
2,預金
銀行にお金を預けることを「預金」
ゆうちょ銀行や農協などにお金を預けるのは「貯金」
と表現します。
銀行にお金を預ける目的は、保管・管理の目的以外に、少しでも利息をもらって増やす目的もあります。
利息がほしいのであれば、少しでも利息が多いところに預けたいですが、現実では、各行預金金利はほぼ横並びになっていて、なかなか差別化できません。
普通預金と定期預金で利率の差を儲けています。そのお金の将来の使途目的によって、引き出す予定があるかどうかで、普通預金か定期預金かを決めているようです。
長期低金利状態ゆえに、預金でお金を増やすのではなく、元本保証ではないリスク商品でお金を殖やすことも、今は積極的に行われているようで、「お金を増やす(殖やす)」ことに関しては、銀行に頼ることは減ってきているようではあります。
銀行には「預金」以外の役割を期待して、お金を殖やすことに関しては銀行に期待しないという動きが、目立ってきているようです。
この分野では、銀行でなければならない優位性はまったくないと言えそうです。
3,決済
「口座自動引落し」という制度は、銀行でなければできません。クレジットカード決済でも、クレジットカードと銀行口座を紐付けなければならないのですからね。
スマホ決済で、プリペイド方式だと、銀行を介する必要はありませんが、給料や稼いだお金の受け取りが銀行口座経由になっている状況では、銀行口座に入ったお金を、スマホ決済会社の口座に移動しなければなりません。
今話題の「給与デジタ利払い」が可能になれば、それこそスマホ決済が日常の人にとっては、銀行の存在は大きく変わっていくと思います。
スマホ決済が広く普及して給与デジタル払いが可能になれば、銀行口座を持つ意味も薄れ、保管・管理もスマホでできれば、わざわざ銀行に口座を開く必要はなくなります。
それこそクレジットカード作成と、納税による現金ニーズが残るだけで、スマホ決済会社から現金を受け取ることも可能ですから、クレジットカードを作らないとなると、銀行口座を持つ理由は薄れますね。
クレジットカードを持たないことで、社会的信用が持てないということもありますが、中国のように個人信用スコアがポピュラになれば、それも変わってきます。
個人信用スコアとは「その人の信用度を数値化したもの」と定義されます。
米国や中国では、社会における経済活動において「信用スコア」が一つの“ものさし”となっています。個人を相手とする商売では、「信用スコア」をもとに、取引の是非や価格設定が決められるくらいに、重要な要素となっています。
特に中国では、信用スコアを活用したサービスがかなり普及しており、電子決済サービスのアリペイ(支付宝)で有名なアリババグループの傘下「芝麻信用(セサミクレジット、ジーマ信用)」の信用スコアは、事実上、中国の信用スコアの標準として普及しています。
「信用スコア」を重視する流れは日本社会において浸透してくるかどうかは、これからの情勢次第かもしれませんが、クレジットカード所有以外にも、第三者による信用の基準になるものが現れるかもしれませんね。
4,送金
この分野においては、圧倒的な手数料のやすさで、インターネットの世界でのやり取りに軍配が上がっています。利便性の面でも、銀行窓口業務よりもネット銀行なりスマホなりでの送金が便利になっています。
ネットリテラシーの低い人は、窓口による対面手続きを望むかもしれませんが、もうこれからは、わざわざ窓口に並んで送金手続きをするよりも、ネット上で、スマホ上で送金手続きをする人の数のほうが増えてくるはずです。
また海外送金に関しては、手数料のやすさでは、圧倒的に暗号通貨(仮想通貨)に軍配が上がっています。ブロックチェーン技術によりその安全性も担保されてきていて、暗号通貨には国籍がないので、受け取ったらその国の通貨に換えることができるという利便性の高さが受け入れられています。
もはや個人間での海外送金では、インターネット経由の取引が主流になってくるでしょう。
ただ大口送金や企業間』取引では、銀行窓口でなければならないこともあるようです。
5,資金融通
銀行にとっては重要な業務の一つで、住宅ローンや事業融資など、さまざまな資金融通の手段があります。
お金を借りる側としては、住宅ローンは銀行以外にも生命保険会社などがあり、事業資金としてはノンバンクからも借り入れをすることはできます。
この分野では民業圧迫との非難はありますが、日本政策金融公庫などの公的機関からの貸付制度もあります。
ただ、銀行などから資金を融通してもらうには審査があり、事業規模や売上に応じた上限もあります。
今は、クラウドファンディングにより、個人が資金調達しやすくなりました。審査ではなく、事業に賛同するかどうかが基準になります。
この分野でも、銀行でなければならないということはなくなりそうです。むしろ審査のことを考えると、銀行離れということも起きてきそうです。
以上のように、銀行にしかできなかったことが、銀行でなくてもできるようになり、しかも手数料も安く利便性も高く簡単にできます。
公共料金のコンビニ払いやスマホ払いなど、わざわざ銀行の窓口に並ぶ必要がなくなり、ATM機の長蛇の列に並ぶ火梅雨はなくなりました。
それこそ、業務が15時に終わる銀行が駅前の一等地に店を構える意義が、問わるようです。
地上店舗を持たないネット専業の銀行、スマホですべてが完結できる銀行も登場しました。
銀行のあり方が問われてきそうです…