「貯蓄から投資へ」の大号令の真意とは…

貯蓄から投資へ…

この表現をそのまま受け止めれば、「日本国民のみなさん、みんなで投資をはじめましょう,…」と呼びかけている感じに見えますね。

“貯蓄”大好きな日本人気質を、“リスク・テイカー”に生まれ変わらせようというプロジェクトのようにも思えます。

その狙いはなにか…

株価対策

一つは「株価対策」という側面が考えられます。

企業年金として「確定拠出年金」を導入すると、その制度の性質上、日本全国のサラリーパーソンに強制的に(株を買わせて)証券投資を行わせ、半ば強制的にマーケット(市場)に参加させることになります。

日本人の手で、日本の株価を支えようとしたのでしょうかね。

なにせ、今の東京市場は日本にありながら、その参加者の6割以上は外国人投資家ですからね。

そんな大義名分はどうでもよくて、とにかく日本の株価を上げたかったのかもしれませんね。

強制的な自助努力

もう一つの側面は、ストレートに表現すれば、“もう国や会社は、みんなの老後を守ることはできない”から、自分たちで資産運用して自分たちの老後は守ってくれ、というメッセージが込められているように思えます。

「貯蓄から投資へ」の大合唱の背後に、“自分たちの老後資金を資産運用で準備しよう!!”というタイトルのバックグランドミュージックが、流れているような気がしますね。

そもそも、ここまで積極的に導入された確定拠出年金自体が、自分たちの年金は、自分たちで拠出金を運用して準備する制度ですからね。

確定拠出年金制度は企業年金の世界での話で、あくまでも、「公的年金制度を補完する役割」になっています。

今年に入っての「新NISA」に関しては、どうも公的年金制度に代替する役割を期待しているように思えるのです。

国の制度に頼らずに、資産運用によって自分たちで老後資金を準備しなさいというメッセージにも取れるのですね。

政府の思惑としては、ライフプランに、無条件に「運用」という“手段”を組み込んでほしいと思っているのではないでしょうか。

その代わり、税制優遇措置をつけてあげるという恩恵を準備しています。

実際に確定拠出年金制度では、従業員にとって拠出金は所得控除(企業型では拠出金は会社負担、マッチング拠出分は所得控除、個人型年金の場合は拠出金全額)され、運用時は運用益非課税になり、受け取り時は退職金控除適用されるといった「税制優遇措置」を用意しています。

国は、国民一人ひとりが公的年金に老後を依存する体制から脱却して、自分自身で資産運用することで老後資金を準備してもらう方向に、舵を切ろうとしているように思えます。

その代わり、運用しやすい環境づくりを行い、税制優遇措置を提供しようとしているかのように思えます。

老後資金準備を念頭に置いた投資ツールとして「個人型確定拠出年金(iDeco)」や「少額投資非課税制度(NISA)」の整備が、運用しやすい環境作りになるでしょう。

NISA制度への拠出額拡充や、NISAでの運用益非課税枠恒久化というのも、老後資金を資産運用で準備してもらうため、人々の資金をリスク資産に誘うための“仕掛け”なのでしょうか。

この流れは、いくら抗っても、きっと変わらないのでしょう。ならば積極的に、制度を利用するほうが得策ですかね。

日々の生活費までも…

コロナ禍を経て家計収支が崩れた今の状況に至っては、老後資金という遠い未来を考えるよりも、もはや生活費をも投資でカバーしなければならない感じになっているような気がします。

企業は“副業・兼業”を奨励、そのために必要なスキルを学ぶための「リスキリング」の制度設計を、政府は行っています。

副業・兼業奨励って、もはや会社1社で従業員とその家族を養うことはできないというメッセージにも聞こえますね。

前述の企業年金においても、定年後に年金として支給される額を固定する「確定給付型」よりも、毎月の拠出金の方を固定して、その拠出金は企業が負担しますが給付金額は確定しない「確定拠出型」に移行することで、従業員の老後を企業が保証するのではなく、従業員の自己責任のもとに、従業員自身に老後を託そうとしているのだと思います。

会社は、従業員の老後どころか生活の面倒も十分には見れない…

私たち個人と、国や会社との関わり方は、昭和の時代から大きく変わってきていることを自覚しなければならないですね。

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