月8000円?生活費を安く抑えられる地方暮らしが、これからの低所得社会でのキーワードになるかも…
昨年大きく話題になった、老後資金が約2000万円足りなくなるという金融庁報告書、いくら政府がその内容を否定しようと、一旦突きつけられたものは頭から消えないでしょうし、政府が否定すればするほど、逆にその信憑性が増すというものです。
年金制度不安、もうここまでくれば不信でも有り、諦めでもあるのでしょうが、言える事は益々日本国民の間に、生活不安が高まっていることは否めませんね。
地方移住生活を決断した40代男性の話を、東洋経済オンラインで見つけました。池滝和秀氏執筆記事です。https://toyokeizai.net/articles/-/322146
記事にはこのようなことが書かれています。
1カ月の生活費は約8000円で、4月に引っ越してきて以来、ごみを捨てたことがない…
池滝氏が取材された40代男性のお話です。
生活費が安いので賃金を稼ぐための仕事に就く必要性はない
何をやるかの基準は楽しいか、楽しくないか…
価値観の違いと言えばそれまででしょうが、考え方を変えれば、これから賃金が上がらない「日本総低所得社会」を生き抜くのには、必要な発想なのかもしれませんね。
池滝和秀氏の、40歳独身男性の山奥暮らしの記事内容を、少し追いかけて見ましょう。
記事にあるこの男性の情報として
三重県松坂市家賃月2万円平屋に住んでいた
外食やコンビニ弁当購入や友人との飲み代中心の15~20万円
新たに移り住んだのは、三重県津市から車で1時間の山に囲まれた、100万円台の築約100年の平屋の古民家だそうです。数ヶ月かけて探し当てた物件です。
そこで、七輪でご飯を炊いているそうで、高台にある日当たり良好な敷地内の畑で、大根やジャガイモ、人参、レタスなどの葉物野菜やパクチーを育てているようで、みそなどの調味料も手作りし、コメ以外の食料品を買うのは月に1回程度だそうです。
自動車維持費を考え、車のために働いていると感じて、車のない生活を選んだそうです。近くのスーパーへは、スポーツタイプの自転車で約1時間かけて行っているそうです。
お米はECサイトで購入、自宅まで届けてくれるので便利ですよね。これができるから、車はいらないという判断もできそうです。
光熱費等は、水道代は月数千円、冷蔵庫を動かす夏場の電気代は2000円で、それ以外の月は数百円だとか。
固定資産税は年間数千円。携帯電話は格安シム、YouTubeを見ているが通信費は1000円強、携帯充電は簡易型ソーラーパネルという徹底した節約ぶりです。
農業に必要なくわなどの農機具購入と、コーヒー代やアルコール代が大きな支出となりながらも、生活費は月1万円に抑えられているそうです。
目標は、月5000円までの節約だそうです。
記事から拾えるポイントとして
インターネット社会 ネット通販とネットからの情報入手
これがあればこその、地方生活なのでしょう。
両親が遊びに来たときにはレンタカーを借りるそうで、必要なときにだけ車を使う「所有から利用へ」の発想が伺えます。
これも重要な観点で、これからの日本社会のあり方であり、日本経済のあり方のように思えます。
ある程度の貯蓄があるので今は働いていないようですが、それこそ、その気になれば、インターネットを通じて、いくらでも収入を得る手段は考えられます。
記事には、この男性の収入への考え方が紹介されていて、その内容が興味深いのでご紹介します。
「生涯で2億円を稼いだ人と1億円を稼いだ人がいると仮定してみた。2人が亡くなったときに、2億円を稼いだ人は1億円の貯金が残ったが、1億円を稼いだ人はほとんど残らなかった。ということは、2億円を稼いだ人は、無駄に1億円分働いてしまったことになるのではないか…」
「言い得て妙」とも思えますが、何か違うような感じもしてしまいますね。
生活水準が1億円であれば、たしかに2億円稼げば1億円は余ることになり、生活に必要な分だけ稼げばよいという言い方もできますし、たくさん稼げば、それだけ生活水準を上げられるとも言えますね。
記事の中の主人公は、年金受給時までは貯蓄を取り崩しても、今の生活水準だと、年金支給額で十分だという判断をしているようです。
将来の修繕費は心配で、それ以外の不意の支出等に対しては、週に1~2回、働きに出ればよいとのことだそうです。
このストーリー展開は、年金制度が今のまま維持されることが大前提となります。
年金支給開始年齢や支給額が今のまま維持されていって、将来にわたりなにも変更されないのであれば、未来に対する収入曲線は描くことができますが、そのことへの不安、つまり制度維持への不安が、今の若者を中心に根柢にあることが「将来不安」の根源となっている訳で、たしかに今の状況では全然問題なく過ごせていても、将来の年金支給開始時期や金額によっては、生活レベルを変えなければならなくなってくることも予想されます。
おそらく想像ですが、今の状況だと、きっと大きく年金額が減ったとしても、十分にやっていけそうでしょうけどね。
あとは健康状態だけが心配で、健康年齢をどこまで引き伸ばせるかでしょう。
医療費が一番の大きな「予定外の出費」となることは覚悟が必要ですね。医療制度は、今後は、高齢者に優しい制度ではなくなってきますからね。
スーパーに自転車で買い物に行けなくても、ネット通販があるので困りはしないでしょうが、その分支出額は増えます。
この記事では問題とはなっていませんでしたが、田舎暮らし特有の人間関係のわずらわしさもあるように、いろんな地方暮らしの例で聞いたことがあります。
かつて弁当やお菓子を買いに行っていたコンビニが、
公共料金を払いに行く場所に変わった…
と記事にありました。面白いですね。
考え方を変えれば、少ない賃金でも十分に楽しめる生活を送ることができるという、良い例なのかもしれません。
それもこれもインターネットが発達して、地方で暮らすことが、都会で暮らすことと変わりがなくなったということでしょう。
地方と都会の距離を縮めてくれるのがインターネットです。
物理的距離で言っても、LLCの普及で、長距離移動も安く押さえることができます。
インターネットで仕事ができれば、土地価格が低く物価が安い地方で暮らして、必要なときに都会に出向く暮らしのほうが、リーズナブルで、これからの賃金水準には理にかなっているのかもしれませんね…