米ラスベガスCES、トヨタ「コネクティッド・シティ」プロジェクトが大注目…
今月7日から、米ラスベガスで開催されていた世界最大規模のデジタル技術見本市「CES」が、10日に閉幕しました。人工知能(AI)が人々の生活に浸透する時代が一段と近づいたことを印象づけました。
かつては“世界最大の家電見本市”でしたが、現在ではスマホやAI技術、IoTデバイスから電気自動車に至るまで、最新技術が世界から集う場所になっています。
デジタル技術見本市「CES」は、その年のトレンドを占う重要なイベントとして注目されています。
今年は、ちょうど欧米でサービスが始まった次世代通信規格「5G」が主要テーマになるかとも言われていました。
5Gの本格的な展示は、2月にバルセロナ市で開催される「MWC」がメインになりそうな中で、大きく注目を集めたのが、トヨタ自動車の「コネクティッド・シティ」プロジェクトです。
コネクティッド・シティ
CASE、AI、パーソナルモビリティ、ロボット等の実証を実施する街として建設され、街の名称は網の目のように道が織り込まれ合う街の姿から「Woven City(ウーブン・シティ)」と名付けられましいた。
2021年初頭より着工される予定で、企業や研究者に幅広く参画を呼びかけていくとのことです。
建設地は2020年末に閉鎖予定の、トヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)跡地を利用します。
トヨタの所有地なので、公道ではないので、今の法律に縛られない実証実験が可能です。
初期はトヨタの従業員やプロジェクトの関係者をはじめ、2000名程度の住民が暮らすことを想定し、将来的には175エーカー(約70万8000平方メートル)の規模で街づくりを進める計画のようです。
このプロジェクトでは、人々が生活を送る“リアル”な環境の下で、自動運転、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などの導入や検証が行える実証都市のスタイルとしています。つまり、この街は、技術やサービスの開発と実証のサイクルを素早く回すことで、新たな価値やビジネスモデルを生み出し続けられることを最大の目的としているのです。
構想では街を通る道を
・スピードが速い車両専用の道として、「e-Palette」など完全自動運転かつゼロ
エミッション(環境を汚染しない、環境を混乱させる廃棄物を排出しない)
のモビリティのみが走行する道
・歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナード
のような道
・歩行者専用の公園内歩道のような道
の3つに分類します。それらの道が網の目のように織り込ませることで、使い勝手も考慮した街作りとしています。
e-Paletteは、電動化、コネクティッド、自動運転技術を活用したMaaS専用次世代EVで、箱が移動しているイメージのもので、2018年に、同じCES開場で披露しています。
この発表後、ソフトバンクと「モネ・テクノロジーズ」設立発表を行いました。
今年開催される東京五輪・パラリンピックで、e-Palette東京2020仕様を十数台提供して、選手村巡回や大会関係者移動に使用するそうです。
現状では道路交通法による規制があり、e-Paletteは公道を走ることはできません。無人走行は、公道では認められていません。
Woven City
「コネクティッド・シティ」プロジェクトにおける「Woven City(ウーブン・シティ)」と呼ばれる、トヨタ敷地内では走らせることができます。
「Woven City(ウーブン・シティ)」では、e-Paletteは、人の輸送やモノの配達に加えて、移動用店舗としても使われるなど、街の様々な場所で活躍します。
ちなみに、今回のCESでは、ソニーが、コンセプトカー「ビジョンS」を発表しています。ソニーが車を作ってしまうというのは、まさに驚きですね。
「コネクティッド・シティ」プロジェクトでは、街の中心や各ブロックには、人々の集いの場として様々な公園・広場を作り、住民同士もつながり合うことでコミュニティが形成されることも目指します。
街の建物は主にカーボンニュートラルな木材を使い、この街のインフラは暮らしを支える燃料電池発電も含め、すべては地下に設置されています。電力や水道関連の施設は地下に埋め込むのです。
屋根には太陽光発電パネルを設置するなどして、街作りを環境との調和やサステイナビリティを前提として進めていくというものです。
住居内ではAIが冷蔵庫の中身を補充したりごみを出したり、健康状態をチェックしたりして生活を支援します。
Woven Cityは、将来的に約70.8万平方メートルの街となる計画で、東京ドーム15個分の敷地内には、おそらく商業施設ができると思われます。
「スマートシティ構想」のさきがけ
豊田章男トヨタ社長は
「ゼロから街を作り上げることは、街のインフラの根幹となるデジタル オペレーティング システムも含めた将来技術の開発に向けて、非常にユニークな機会となる。バーチャルとリアルの世界の両方でAIなどの将来技術を実証すれば、街に住む人々や建物、車などモノとサービスが情報でつながることでポテンシャルを最大限引き出せると考える。当プロジェクトでは、もっといい暮らしとMobility for Allを私たちと一緒に追求していきたい方すべての参画を歓迎する」
と述べています。
「コネクティッド・シティ」プロジェクトでは、デンマーク出身の著名な建築家でビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)でCEOを務めるビャルケ・インゲルス氏が都市設計などを担当しています。BIGは、ニューヨークの新たな第2ワールドトレードセンターやGoogleの新しい本社屋など、これまで数多くの著名なプロジェクトを手掛けてきています。
BIGの創業者でクリエイティブ・ディレクターでもあるインゲルス氏は
「様々なテクノロジーにより、私たちが住む街のあり方は大きく変わり始めている。コネクティッド、自動運転、シェアリングのモビリティサービスは、現代の新しい暮らしの可能性を広げるだろう。Woven Cityは、トヨタのエコシステムによって幅広いテクノロジーや業界と協業し、その他の街も後に続いていける、新たな都市のあり方を模索するユニークな機会だと考えている」
とコメントしました。
この通常国会で議論されるかもしれない「スマートシティ構想」のさきがけのようなもので、国としてもトヨタの試みは、大注目となるでしょう…