地方銀行再編!りそな銀行 ✕ 横浜銀行 で資産運用業務提携 

国内大手の「りそな銀行」と地銀大手の「横浜銀行」が、顧客資産の運用で業務提携する方針を固めました。りそな銀行が手掛ける投資商品を、横浜銀行が自社の商品として顧客に販売します。

大手銀行と地方銀行上位によるこうした協業は、異例と言えます。

長引く低金利で経営効率化が急務となる中、横浜銀行は自社開発にこだわらず、提携で商品力を強化します。

自社ブランドにこだわらない...

このフレーズが、業務提携のキーポイントなのかもしれませんね。

かつて両行には合併交渉があった…

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実は、この両行には因縁がありました。

バブル経済崩壊後の銀行大再編のとき、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が合併して「みずほ銀行」が生まれ、三井銀行と住友銀行による「三井住友銀行」が誕生したとき、三和銀行と東海銀行とあさひ銀行(りそな銀行の前身、埼玉銀行と協和銀行とが合併した銀行)の間で“金融グループ”を作る構想がありました。

しかし、三和銀行と東海銀行が合併交渉を進めるようになり、合併ではなく金融グループを求めていたあさひ銀行は、この協議から離脱しました。

その後に、三和銀行と東海銀行は「UFJ銀行」となります。

あさひ銀行は、国内専業の“リージョナルバンク”路線を目指していて、海外業務を「東京三菱銀行(今の三菱UFJ銀行)」に移譲ました。そのまま東京三菱銀行と包括提携を模索しましたが、交渉は決裂しました。

そこであさひ銀行は、地方銀行の「千葉銀行」と「横浜銀行」に統合の打診をしていたのですが、結果、進展はなく、その後は御存知の通り、あさひ銀行は、大和銀行グループとの統合の道をたどり、現在の「りそな銀行」が誕生したのです。

時代はめぐり業務提携に…

時代はめぐり、りそな銀行と横浜銀行が、資産運用において提携をすることになったのです。

横浜銀行は地方銀行のトップに位置し、「東日本銀行」と経営統合をしています。

今回の業務提携の向こう側には、「埼玉銀行」「協和銀行」「大和銀行」と、「横浜銀行」「東日本銀行」が手を組む絵が浮かんでくるようです。

りそな銀行と横浜銀行は、4月にも合意して商品の取り扱いを始めるとしています。

都市銀行ながら埼玉と関西を拠点とするリージョナルバンクの地位を築いた「りそな銀行」と、神奈川だけでなく東京都にも基盤を持ち、中小企業に強みがある東日本銀行も傘下にもつ「横浜銀行」が、再編とまではいかないが業務提携をすることで、両行にとっては大きな収穫が見込まれそうで、このコロナ禍での銀行経営の立て直しにつながることが期待されます。

地方銀行には冷たく厳しい風が吹いている

長期間の超低金利時代による銀行収益の圧迫の上に、コロナ禍による企業倒産等による銀行経営への打撃もあり、特に地方銀行の悲鳴は大きなものとなっています。

上場している地方銀行78社の2020年4~12月期決算を見てみますと、純損益合計が6033億円と、前年同期比で18.4%のマイナスとなっています。

減益となっている地方銀行は38社、赤字転落が2社となっています。

新型コロナウイルス流行による景気の悪化や日銀の大規模金融緩和を背景に、貸出金利の低下が止まらず、業績が悪化しているようです。

地方銀行の数が多すぎる...

菅総理の言葉です。

日銀と政府は地銀の経営統合・合併を促す支援策を相次いで打ち出しました。

しかし、政府が主導して地方銀行の経営統合・合併の環境を整備する一方で、銀行側がそのメリットを見いだせておらず、今後も大きな進展は期待できないとみる市場関係者は多いようです。

それでも地方銀行の経営を取り巻く環境は既に厳しく、今後は新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた企業支援という責務も大きく増えてきます。

金融庁は、少しでも余力のあるうちに進むべき道を決断するよう呼びかけており、体力の弱い地方銀行にとっては正念場となりそうですね。

銀行経営 業務改革

地方銀行の数は減らない

日銀は、経営基盤を強化、もしくは経費率(OHR)を改善した地域金融機関を対象に、日銀当座預金に0.1%の特別付利を与える制度を導入しました。政府も独占禁止法を適用しない特例法を施行、来年夏には補助金制度も創設する予定となっています。

それでも、これまで経営統合が進まなかったのは、銀行自身が現状維持を上回るメリットを感じられなかったためだとする指摘もあります。

大手地方銀行も低収益に陥っており余裕がなく、そんなには動けない状況です。

そんな中での、今回のりそな銀行と横浜銀行との業務提携の話だということを、理解しておきましょう。

ただ、地銀再編を巡る議論が加速した、リーマン・ショックなど金融危機が起きて業績が低迷した時でも、ドラスティックな再編は進んでいません。

菅総理の「地方銀行は多すぎる」発言に繋がります。

預金保険機構によれば、国内には現在、比較的規模の大きい「第一地銀」と、規模の小さい「第二地銀」合わせて102の地方銀行があります。おおむね1つの県に2つ、最も多い福岡県は5つありますね。

都市銀行を見れば、バブル経済が崩壊する前まで13前後あった大手銀行は、合従連衡が進み大きく4つの銀行に再編されました。リージョナルバンクであるりそな銀行も、都市銀行としてカウントされています。

都市銀行の定義は「日本各県に必ず一つ以上の拠点(支店)が存在すること」となっています。
かつて北海道拓殖銀行も、各県に一つは支店があったのですね。

金融庁の危惧は、人口減少と、旧態依然とした経営のやり方にあります。

昔ながらの預金を集めて企業に貸し出しするだけでお金が儲かるという、何十年も続いてきた銀行のビジネスモデルが成立しなくなった。このままだと潰れてしまう銀行も出てくるような状況なのに、まだ同じようなことをやっている銀行がたくさんある...

金融機関の破綻は、一般企業が潰れるのとは訳が違います。地元経済に与える影響は大きいです。

しかし、足元では低金利や人口減少、フィンテックの台頭に加え、新型コロナ感染拡大により地方銀行の経営は厳しさを増しています。利ざやで稼ぐことができたリーマン・ショック時とは、状況が大きく変化しています。

さらにこれからは、コロナ禍で苦しむ地域企業を支えるという局面が、資金繰りから企業再編・再生へと移っていくことになるでしょう。

地方銀行に押しよせる再編の波

資金繰りでは政府の実質無利子・無担保融資などに下支えされた部分がありますが、企業再編・再生の段階となると政府の支援がなくなり、地方銀行自身がある程度のリスクを取って融資することなども必要となってきます。

ある金融庁幹部は
   そういう時にどのくらい力があるかが問題になってくる…
と話し、経営基盤の弱い地銀では、地域企業を支え地域経済に貢献するのが難しいとの認識を示しています。

政府支援は、単なる延命に過ぎず、「ゾンビ企業」の四季を先延ばししているだけだという意見もあります。地方銀行にとっては、不良債権が増えてくることになるのではないでしょうか。

そうなると、更に銀行には「体力」が求められます。

来年以降に経営の効率化につながる再編が起きない場合は、数年から10年のうちに、国の管理下に置かれる地方銀行が出てくるという予想もあります。

再編に後ろ向きな地銀について「5年後、10年後を考えるのが今の経営者の仕事だ」と述べ、将来を見据えた行動を取るべきだと指摘し、地域の企業を支え地域経済を活性化させる役割を担う地方銀行にとって経営基盤の強化は不可欠で、そのためにコスト削減やビジネスモデルの転換などと並んで、経営統合・合併も選択肢の一つになってくると思われます。

まだ余力がある今のうちに将来を見通し、アクションを起こしていかなければいけない...

合併や経営統合に踏み切る地方銀行に補助金を出す資金交付制度の創設などを盛り込んだ、銀行の規制緩和や地域金融改革に向けた報告書案が、金融審議会「銀行制度等ワーキング・グループ」によって出されています。5年間の時限措置とし、地方銀行に対し経営基盤の強化を促すものです。

地方の中小企業は新型コロナウイルス禍の影響で厳しい経営が続いています。

資金繰りや事業再生を支える地銀の経営まで揺らげば、地域経済はさらに苦しくなります。政府は地方銀行に再編を促すことで金融システムの機能強化につなげることをめざすとしています。

「合併や統合」といった抜本的な事業の見直しを実施する地銀などに対し、システム統合費用の一部などを補助する。人口減少などでとくに経営環境が厳しい地域の銀行を対象に、資金交付制度に関連する金融機能強化法改正案が、2021年通常国会に提出されます。

補助額は1件あたり最大約30億円を見込みます。

地銀同士の合併ではシステム統合に平均で約100億円の費用がかかり、中小の地銀にとってはこうした初期費用の負担が再編に向けた障害となっているのを解決するためです。預金保険機構が持つ350億円の利益剰余金を活用し、10件程度の支援を想定しています。申請期限は2021年度から2026年3月末までとします。

報告書案には銀行が開発したアプリ販売や人材派遣業などを認める規制緩和策も盛り込んだ。伝統的な銀行業務以外の分野への参入に道を開き、デジタル化といった事業環境の変化に応じたビジネスを後押しするものとしています。

りそな銀行と横浜銀行、今までには見られなかった年銀行と大手地方銀行との業務提携は、これから起こるであろう、あるいはコロナが後押ししたかも知れない、地方銀行再編の前兆なのかも知れませんね…

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