通貨取引の中心には「米ドル」が…

通貨取引は「相対取引」と言われます。つまり通貨交換で、必ず“ペア”が生じます。その中心にあるのは、世界の基軸通貨であるUSD(米ドル)です。

つまり、通貨強弱は、常にUSD(米ドル)との比較になります。

時計の針の中心、円盤のど真ん中にUSD(米ドル)が位置し、時計の文字盤、例えば“1時”とか“2時”とかの場所に、EUR(ユーロ)とかGBP(英ポンド)とかAUD(豪ドル)とか、他にもCAD(カナダドル)とか、あるいは人民元やらトルコリラやらのUSD(米ドル)以外のすべての通貨が配置されます。

すべてのレートは、円盤の中心にあるUSD(米ドル)との間に“矢印”を描くことで決まるのです。

ユーロと日本円のレートはどうやって決まるかというと、まずEUR(ユーロ)とUSD(米ドル)との関係を見て、次にUSD(米ドル)とJPY(日本円)との関係を見ます。

つまり、EURとJPYのレートを見るときは、イメージですが、EURから一旦円盤の中心にあるUSDに目線を移動させる、円盤の中心のUSDを通してJPYのレートを見るという感じになります。

日本円から見た外国通貨は、USD(米ドル)が「ストレート円」、USD(米ドル)を通して見るUSD以外のすべての通貨は「クロス円」と表現されます。

日本円から見た「クロス円」は「掛け算」となっています。つまり、「EUR/JPY(ユーロ円)」レートは「EUR/USD × USD/JPY」で決まります。

分数の掛け算と思って頂き、分母と分子にあるUSDは相殺されて「EUR/JPY」になるのです。

日本から見れば日本円が中心になるので、このように“掛け算”となりますが、たとえば英国から見れば英ポンドが中心になるので、この計算式は“割り算”になります。

EUR/GBP = EUR/USD ÷ GBP/USD = EUR/USD × USD/GBP

という感じです。

円盤の中心にあるUSD(米ドル)との(通貨交換)レートを「ストレート・レート」、ここまで説明した掛け算や割り算が必要な通過間の交換レートを「クロス・レート」と表現します。

通貨間強弱は、それぞれの国の政治や経済の事情が絡んで決まってきます。たとえば日本円から見て「ストレート・レート」であるUSD(米ドル)は、米国事情が絡んできますし、「EUR/JPY」というユーロのクロス円は、日米と欧米の関係を加味して決められるということになります。

だからUSD/EURが、欧米関係によってEURが売られる方向に大きく動いたとしても、日米関係に波がなく、むしろ日本円が買われる動きになっていたら、EUR/JPYレート、つまりユーロのクロス円は、あまり動かない状態になるということです。

クロス・レートは、自国との関係だけを見ていればよいということではないということですね。

世界のマーケット解説は、基本は米国を中心に語られます。

当たり前ですが、日経平均株価をことさら話題の中心に置くのは日本だけで、米国は当然のことながら欧州でのマーケット解説などでは、常にNY市場の動きを中心に語られることが多いです。

日本の投資家だけが 日経平均株価しか見ていない、NY市場の動向に疎いということで、だから日本の個人投資家は常に「負け組」グループに押し込まれてしまうのですね。

“お金の流れ”は常にNY市場が中心で動き、USD(米ドル)を中心に回っているのです。

したがって、為替市場でも取引されているのは「EUR/USD」になり、「EUR/USD」のう動きで“ドルが買われている”“ドルが売られている”という表現になるのです。

「USD/JPY」は、日本の投資家だけが気にしているレートと言えるのかもしれませんね。

通貨強弱は、投資家が「リスク・オン」状態になったときはEUR(ユーロ)が強くなり、相対であるUSD(ドル)が弱くなります。逆に「リスク・オフ」になるとEUR(ユーロ)が弱くなってUSD(ドル)が強くなります。

“弱くなる”と売られる、“強くなる”と買われる動きとなります。

世界の通貨の動きは、おわかりいただけましたでしょうか。

このような解説は、どこの証券会社でも投資セミナーでもされていませんので、このことを理解して、日本マーケとを含む世界マーケットを見てください。

日本の証券会社情報や投資セミナー、コメンテーターの解説は、全て「日本円」を中心に、日経平均株価しか解説していないドメスティックなもの担っていますので、日本市場で目先の値幅を短期で取りに行くには良いでしょうが、世界を俯瞰して長期で構える投資なら、世界事情を理解することが最も大事だと思います。

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