長期投資さえすればリスクが減ると信じていませんか…?
長期投資の目的はリスク軽減にある…金融機関やファイナンシャルプランナーによる資産運用セミナーでの決まり文句となっています。
長期投資が、まるで投資で成功する「伝家の宝刀」のように扱われているのですが、はたしてこのストーリーは正しいのでしょうか。
なぜ長期投資をすればリスクが軽減されるのでしょうか…
長期投資の定義を考えてみよう…
まずは「長期投資とはなんぞや…」という問いを立ててみました。
そもそも「長期投資」の“長期”とはなにか…
何が長いのかと言えば、投資をする“期間”が長いということのようです。投資をする期間が“長い”というものが「長期投資」と呼ばれていると理解しています。
投資期間が長いということは、マーケットに滞在している期間が“長い”ということになりますよね。
マーケット滞在期間が長いということは、その分リスクに晒される期間が長いということになりませんか。
これで、なぜ「長期投資はリスク軽減」になるのでしょうか…
金融機関やファイナンシャルプランナーによる資産運用セミナーで「長期投資」を説明する際には、超長い時間軸のチャートを見せて「“ぶれ”が小さくなる」と説明しています。
長期間チャートは、横軸が年単位で何十年もの期間をとっているので、縦軸の価格変動の数字は、どうしてもひとメモリの価格幅が大きくなります。表示スペースの問題もありますので、当然、縦軸が短くなるので、全体図としては振れ幅が小さく見えるのです。
「リスクを軽減する」とは、恐らく投資をはじめた人や、投資をしていない人にとっては“資産が減らないこと”と認識しているのでしょう。
多くの投資ベテラン者は、投資は100%成功(利益を得られる)するわけではないので、資産が減ることは受け入れなければならないことであって、資産が減ること自体を「リスク」とは呼ぶものではないと理解しています。
リスクとは「不確定」、理解ができないことであって、資産が減ることも含めて「想定内」であればそれは「リスク」ではなくて、「想定外」のことが起こる可能性が高まるのが「リスクが高い」と表現します。
世の中で行われている資産運用セミナーで使われている「長期投資はリスク軽減」という表現は、「投資期間を長く設定することで資産が減る可能性は小さくなる」というものだと思われます。
“資産が減らない”という現象は、投資元本が減らない、投資資金が“傷まない”というイメージではないでしょうか。
投資資金が含み損を抱えていても確定しなければ投資資金は“傷まない”から、そのまま放置しておいて、時間が助けてくれる、つまり、何年かかろうと投資資金が“傷まない”状況になったときに確定すれば(現金に戻すこと)「長期投資は資金が減らない」ロジックは完成します。
でもね、投資の目的って何でしたっけ
資金を大きく殖やすことではないですか。
例えば30年かかって儲け10万円という投資は、本当に成功と言えるのでしょうか…
投資資金が“傷まない”ことが目的なら、最初から投資をしなければよいのではないですか。
資金が減ることは“リスク”ではありません。
でも、多くの人は「投資元本が目減りする」ことが“リスク”と認識して、そのこと自体が「失敗」と考えているようです。
本当の長期投資とは…
定義をもう一度考えてみましょう…
「長期投資」とは、投資期間を長めに取ることです。
それは無闇矢鱈に長くとる、ただただ放置しておくということではありません。意図をもって、長期間も投資資金を変動リスクのマーケットに置いておくということです。
投資の目的は、投資資金を大きく“殖やす”ことです。
決して、投資資金を減らさないということではありません。
つまり、今後のマーケット情勢を考えて、近未来の投資環境を考えて、長期保有が資産育成に有利と判断した場合に、短期で刈り取るより長期保有のほうが利益が伸ばせると判断したときに、長期投資を行うのです。
マーケットが長い期間、右肩上がりに上昇することが期待できる環境だと判断したときに行うのが「長期投資」です。
つまり、「長期投資」は、リスクではなくリターンに注目して行う投資手法だということです。
長期投資をすれば、リスクが軽減できるというものではないのです…