「産後パパ休暇」制度、給付金10割保証で男性取得率アップを図る…
「育児・介護休業法」改定
2021年(令和3年)6月に、男性の育児休業促進を目的とした「育児・介護休業法」が改正されました。
「出生時育児休業」、いわゆる“産後パパ育休”は、産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業で、1歳までの育児休業とは別に取得できる制度です。
労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能です。
申し出期限は、原則、休業の2週間前までとなっています。
これまで、育児休業は原則1回しか取得できませんでしたが、2022年10月からは、男女ともそれぞれ2回まで取得することが可能となりました。
これによりうまく工夫すれば、出産後の妻が大変なときに集中して育休を取ることもできますし、夫婦のどちらかが職場復帰しても、どちらかの親が子供につきっきりで世話をすることが可能になります。
この制度により、2025年までに男性育休取得率を30%にするという目標を、政府は実現させるとしています。
男性は「育児休暇」が取りづらい…
日本における男性の育児休業取得率が上がらない背景には、男性が育児休業を取りにくい社会風土があります。
厚生労働省の雇用均等基本調査によると、男性の育児休業取得率は2021年度で13.97%と、7人に1人の計算になります。
昭和のお父さんがたの中には、育休を取る息子や義理の息子に対して「軟弱だ、情けない」という感情を抱いてはいないでしょうかね。「自分たちのころは仕事に一途に取り組み、子育てなんか顧みなかった…」と、あたかも武勇伝のように語ってはいませんか。
さすがにもうそんな“昭和おやじ”はいないですかね。
そういうところですよ。日本社会が変わらないのは。ある年代以上の人たちに対しては、ノスタルジーに浸るのもわかりますが、社会のあり方が変わることを受け入れるようにしてもらいたいのですけどね…
マタニティーハラスメントというものがあるそうです。
育児休業や時短勤務を希望する男性従業員に対する嫌がらせがあるそうです。
2020年に厚生労働省が実施した職場のハラスメントに関する実態調査によると、過去5年間で育児休業や時短勤務を希望した男性の4人に1人が被害に遭っているのですって。
なんだかなぁ~
制度が変わり、社会の空気感が変われば、自ずと男性の育児休暇取得率も上がってくるものでしょうか。
いや、まだまだ社会の弊害があるように思えます。
女性から見た“経済的な壁”がありそうです…
2023年3月16日に「政府が産後パパ育休を取得する人への給付水準を引き上げるよう検討を始めた」との報道がありました。
3月17日には岸田首相が記者会見で「産後パパ育休の給付率を実質”手取り10割”に引き上げる」と表明しました。4月からは従業員数1,000人超の企業に育休取得状況の公表義務が課せられるようになります。
男性は育児休暇をとったほうが、金銭面でも得ですよという風潮が浸透すれば、取得率は上がると思います。
これって女性はどうなるのですか…
女性の出産後の職場復帰は、どのような待遇になるのでしょうか…
大雑把に言うと、育児休業中(180日:6ヶ月)までは普段の給料の約7割が支給されます。180日を超えると、つまり7ヶ月以降は約5割が支給されます。
その給付金は非課税、産休育休中の社会保険料は支払い免除となり、手取りを考えると、支給額が下がった文は助かりますが、昨年の所得税から計算された住民税は支払わなければなりません。
それでも岸田総理の言う、男性育休での10割給料保証に比べると、どうなのでしょう。
女性の場合、どう考えても育休を取らなかった人のほうが給料は良いです。収入だけを考えると、出産後早期に社会復帰するという考え方もやむを得ません。
女性が社会復帰して、出産前の仕事ができるのか、会社での地位は守られるのかはわかりません。
自分が社会復帰するためにベビーシッターを雇わなければならないこともあるでしょうし、その費用負担は大きくなります。欧州では球菌などの直接手当が熱く、米英では社会復帰がしやすく民間サービスも充実しています。
少子化を支える哲学のさですが、日本はどちらの側面でも不十分です。
男性の育休取得率を上げるだけでは、少子化対策の本質には迫ることはできなさそうですよ。
子育てということだけを考えても、女性の社会復帰の問題まで考えないと、いけないのではないでしょうかね…