最近相次ぐ「学校教育無償化」についての考察、「子供リスク」なんて言われていますからね…

教育費無償化の現状

国民民主党代表代行だった前原誠司衆院議員、倫理委員長だった嘉田由紀子参院議員、斎藤アレックス衆院議員、鈴木敦衆院議員の4人は、無所属の徳永久志衆院議員とともに、新党「教育無償化を実現する会」を結成しました。

党名が独特ですね。

「教育無償化」を党名にしたのは、それは野党結集しやすいとか、支持母体「連合」へのアピール等、極めて政治的な思惑からによるもののようですね。

この新党結成発表の後に、東京都は、2024年度、都内在住の高校生を対象とした授業料助成の所得制限を撤廃し、私立校を含めた全ての高校授業料を実質無償化する方針を固めました。

新党なんか作らなくても「教育無償化はできる…」という皮肉なのでしょうかね。

「希望の党」騒動の、まさに主役二人でしたからね…

前原新党結成、東京都の発表以前に大阪府では、2026年度に府内の公立・私立高校の授業料を、全学年で完全無償化する方針を発表しています。

この時点では、世帯の所得を問わない無償化としては全国で初めての制度となっていました。

授業料の無償化…

これが今後の大きなテーマになってきそうな状況にあります。

確かに、少子化対策にとっても必要なテーマである「教育費無償化」は、日本の未来にとっても重要かつ必要な制度であると言えますね。

小中学校の授業料は“無料”です…

大阪府、東京都の地方自治体の対策を考察する前に、まずは、今ある国としての政策を整理してみましょう。

国の機関というのは、文部科学省になります。

ネットで「文部科学省 教育費無償化」と検索すれば、

幼児教育の無償化
私立高等学校授業料の実質無償化
高等教育の修学支援制度
高等教育無償化の制度化

というのが出てきます。

国の方向性としては、とにかく子供の教育費に関しては、無償化を進めようということになっているようです。

今現在は、小中学校の授業料は“無料”です。

公立の小中学校は、日本国憲法第26条第2項、教育基本法第5条第4項、学校教育法第6条に基づき、「義務教育」のため無償になっています。 また教科書代についても「教科書無償給与制度」に基づいて「無料」となっています。

私立小中学校の授業料は、原則として「全額自己負担」です…

私立小中学校の授業料は、原則として「全額自己負担」です。

平成29年から、年収400万円未満の世帯に対して年額10万円を補助するという、文部科学省の実証事業が行われていましたが、令和3年に終了しています。

自治体によっては、授業料の補助制度が用意されている場合もあるようです。

調べてみるのもよいでしょう。

また学校によっては、奨学生・特待生制度や家計急変時の授業料支援制度などを利用できるケースもあります。

高等学校等就学支援金制度

文部科学省は、平成26年度から「高等学校等就学支援金制度」を行なっており、公立高等学校は、この制度で「実質無償化」されました。

2020年4月からは無償化の範囲が拡大され、私立高校についても要件を満たせば無償で通えるようになっています。

高等学校等就学支援金制度は、高等学校等の経済的負担の軽減と教育の実質的な機会均等を目的とした制度です。

支援金額は、11万8,800円は公立高校の授業料相当額、39万6,000円は私立高校の授業料相当額です。

つまり、“年収590万円以下の世帯”は、実質的に私立高校の授業料も「無償」となります。

幼稚園、保育園の場合

幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳児クラスのこどもたち、住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでのこどもたちの利用料が「無料」になります。

これがいまある「授業料無償化」のベースになっている制度です。

条件付、所得制限付き…

今度、大阪府と東京都が打ち出したのは、所得制限を撤廃して、全市民を対象とした「教育費無償化」を実現しようというものになります。

大阪府の制度はどうなっていますか…

大阪府は、8月25日、大阪府民対象の所得制限のない高校授業料完全無償化の制度案を決めました。議会の承認を経て、来年度から“高3”で始め、2026年度から“全学年”で実施します。

この時点では、世帯の所得を問わない無償化は、全国で初めてでした。

制度案は府内全世帯を対象とし、私立高への補助額の上限となる標準授業料を、現行の年60万円から年63万円に引き上げ、超過分は学校が負担する仕組みを取ります。

現制度に参加する全96校が対象で、2024年度に“高3”、2025年度に“高2と高3”と段階的に広げ、2026年度に“全学年”で実現させます。

2024、2025年度の対象学年は経過措置として、63万円を上回る授業料は世帯年収800万円未満なら無償になりますが、800万円以上なら保護者が負担するとします。

制度案には府外の私立高に通う場合も、対象とすることを盛り込みました。

今後、大阪以外の近畿5府県の私学団体に説明し、参加を呼びかけますが、大阪府在住者だけが無償となることに「生徒間に不公平が生じる」(兵庫県の私学団体幹部)など慎重意見も根強くあります。

東京都の制度はどうなっていますか…

東京都は2024年度、都内在住の高校生を対象とした授業料助成の所得制限を撤廃し、私立校を含めた全ての高校授業料を実質無償化する方針を固めました。

都は現在、総年収が「910万円未満」の都内在住の世帯を対象に、国の就学支援金と合わせて、都立高は授業料の年11万8800円、私立高は平均授業料の年47万5000円を上限に助成しています。

都立高(247校)の生徒約13万人のうち、現行の授業料助成の対象は約10万人。私立高(244校)には約18万人が通い、約6万7000人が助成を受けていると、都は説明しています。

物価高騰などで年収910万円以上の世帯も経済的負担が増えているほか、授業料が高い私立校が都立校よりも多い東京特有の事情も踏まえ、都は所得制限の撤廃を決めました。

都はこのほか、公立小中学校の給食費の無償化も支援する方針です。無償化する区市町村を対象に、経費の2分の1を補助するとのことです。

自治体ギャップ

お金がある自治体は、こういう事ができますが、財政が厳しい自治体、人口減少が進んでいる自治体は税収が減っています。

それでも教育費無償化を打ち出せば、子育て世帯を呼び込むことができるかもしれませんが、“無い袖は振れない”ですからね。

そう考えると、こういった教育費無償化というデザインは、国が主導でやるべきことではないでしょうかね。

「隠れ教育費」の実態

でもね、授業料が無償化になっても、子供の教育費が軽減されたとは言いづらい現実もあるのですよ。

私立は制服がありますし、共通の体操着も必要でしょう。

カバンも指定されているでしょうし、修学旅行積立金も必要です。

塾の費用は、聞くところによると「月10万円」はかかるとか…

「大学の学費無償化」実現手前の今は、奨学金制度に頼るしかないですが、子供が社会に出た途端に借金を背負うことになります。

そのことが米国では、大きな社会問題になっています。

授業料以外にどうしてもかかる費用、絶対に必要な支出を「隠れ教育費」と言うのですって。

「隠れ教育費」に関して記事を書きましたので、そちらも合わせてお読みください。

https://www.mag2.com/p/money/1302274

子供の学校を含めた教育費の負担を真剣に考えないと、若い世代の人たちは「子供リスク」と言って、子供を産みたがらないらしいですよ…

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