3人以上の子どもがいる多子世帯に限る「大学無償化」、自民党からも厳しい声が…
高等教育機関授業料「無償化」の条件は…
3人以上の子どもがいる多子世帯について、2025年度から大学など高等教育機関の授業料などを「無償化」する…
政府による「こども未来戦略」において、2025年度から大学など高等教育機関の授業料などを「無償化」する方針を示しました。
ただ、家庭の所得制限はないものの、対象となる子どもは限られ、授業料免除には金額の上限も設けられました。
「無償化」となるのは授業料と入学金で、どちらも上限があります。
大学の場合、授業料免除の上限は、国公立が標準額となる約54万円、私立は約70万円、入学金の上限は、国公立大が標準額の約28万円、私立大が平均的な入学金の額である約26万円となります。
医学部や薬学部などの6年制の学部については、最大6年間支援を受けられ、大学だけでなく、短大や高専や専門学校に進学しても支援は受けられます。
ただし、留年や出席率が低い場合などは対象から外れる可能性があります。
進学先次第では「無償化」にならない場合もあります…
進学する大学や短大、高等専門学校が、直近3年度全ての収容定員が8割未満の場合は対象外となる可能性があります。
文部科学省は今後、ホームページで、対象校のリストを公表します。
現在、年収380万円未満の世帯には、授業料減免と給付型奨学金を出す制度があります。
2024年度からは、年収600万円程度までの世帯のうち、扶養する子どもが3人以上の多子世帯と、私立の理工農系の学部で学ぶ学生がいる世帯にも対象を広げます。
今回の「無償化」は、この制度の授業料減免について、所得制限なく多子世帯に広げる形になります。給付型奨学金については、現行制度の対象とならない多子世帯への給付はありません。
例えば3人きょうだいで、第1子と第2子が大学に在籍していれば、2人とも対象となりますが、第1子が卒業後に扶養を外れると、扶養する子どもが2人となるため、第2子と第3子は対象外となります。
ややこしい…
所得制限がないということでスッキリしたかと思えば、大学無償化の前には、いろいろ条件がついているということですね。
いま子供が3人いる家庭では助かる制度ですが、これで子供を多く産もうという動きになるのでしょうか。
独身者や子供がいない家庭に取っては不公平感があるというのは否めませんが、“社会で日本の子供を育てる”という意味で、日本の少子化を、みんなで解決するという寛容さで、ぜひ捉えてもらいたいとは思うのですが、果たしてこれが「少子化対策」として機能しているかどうかは、甚だ疑問ではありますね。
国民だます・稚拙な手続き…
この政府発表を受けて、お膝元の自民党からは、厳しい声が上がっています。
唐突で分かりにくく、教育政策の全体像が見えない…
手厳しいですね。
自民党内では、就職などで扶養対象の子どもが2人以下になると対象外になることから「国民をだますことになる」との批判もあります。
自民党側に十分な根回しがなかったことに加え、党で検討していた奨学金制度の拡充が原案に盛り込まれていなかったために、政府案を批判しているともあります。
ずっと政権与党の考えは、コロナ対策のときもそうでしたが、“給付”“支給”“減税”よりも、“貸付”を優先する傾向にありますね。
それもどうかなとは、思いますね。
全体的に、岸田政権の「少子化対策」って、「子育て支援」になっているような気がします。
しかも“給付”が中心で、女性の職場復帰後の待遇改善といったような、女性の当然の権利を保証することには、消去的なような気がします。
少子化対策の根本は、どうやら「子供は女性が育てるもの」という家族制度の哲学を払拭することが、大事なような気がしてきました…