緊急事態宣言とロックダウンをしっかりと理解しましょう…

3月末に、SNSでフェイクニュースが出回りました。

   4月1日あるいは3日から、東京都ロックダウンだそうです
   政府筋から内々の確認情報が来ました
   東京都に出入り出来なくなるそうです…

買い物ができなくなるので、今のうちにスーパーに行くようにとするこれらフェイクニュースは、緊急事態宣言とロックダウンをきちんと区別できていれば、フェイクニュースだとすぐに分る内容ですが、いきなりSNSでこれらが政府筋からの内々情報と言われると、信用してしまうのも無理はないのかもしれませんね。

   緊急事態宣言とロックダウン…

あらためてこの違いを理解して、実際にこれらが発令されたらどうなるかをきちんと理解しておきましょう…

目次

  • 緊急事態宣言とは…
  • 緊急事態宣言が出されると…
  • 緊急事態宣言で強制できることは2つ
  • 日本版ロックダウン

緊急事態宣言とは…

緊急事態宣言を発するのは総理大臣です。総理大臣が、緊急的な措置を取る「期間」や「区域」を指定して宣言します。

「新型インフルエンザ等特別措置法改正」に新型コロナウイルスを適用範囲とした「新型コロナウイルス対策措置法」に基づき、金食う事態宣言を出す事ができますが、ロックダウン(都市封鎖)を発令する根拠法はないので、総理大臣が緊急事態宣言を出すことが前提となります。

「緊急事態宣言」を行う際は
  国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある場合
  全国的かつ急速なまん延によって国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合
の、2つの要件をいずれも満たす必要があると定められています。

現在の政府見解は、前段はすでに該当するとしていますが、後段の状態、つまりは全国的かつ急速な蔓延という状況にはいたってはないという判断のようです。

定量的に、つまり数字で「こうなれば緊急事態宣言を出す」という明確なものさしは示せないようで、ようは、国家が緊急事態宣言を出せば、経済が大変なことになる、マーケットが大暴落することを恐れているのではないかともみられています。

ただ今後、緊急事態宣言が出される可能性として

   致死率が通常のインフルエンザよりも高い状況であること
   死につながるような重症化の事例や感染経路がたどれない患者数の増加
   患者を受け入れられる医療機関の病床の不足

などが判断されたときには、緊急事態宣言が出されるのではとの見方もあります。

西村康稔新型コロナ対策担当兼経済再生担当大臣が、総理の意向を受けて調整して、「全国的かつ急速なまん延によって国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれ」をどう判断するかによって、緊急事態宣言を出すかどうかが決まります。

この流れを整理しますと

   厚生労働省が感染状況を首相に報告 → 諮問委員会で発令を検討
   → 前述の二つの要件に該当するかを確認 → 首相が対象区域と
   期間を定めて宣言を発令 → 知事が住民等に要請や指示

となります。

緊急事態宣言が出されると…

コロナウイルス

緊急事態宣言が出されても、新型コロナ特別措置法(特措法)で外出禁止を強制することはできません。

特措法の45条では、「都道府県知事は、生活の維持に必要な場合を除き、みだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないこと、その他の感染の防止に必要な協力を要請することができる」と書かれていて、あくまで外出自粛の「要請」にとどまり、外出した際の罰則はないということです。

ようは、小池都知事が先月末に要請した外出自粛と、これから総理が出すかもしれない緊急事態宣言後の外出自粛は、どちらも「要請」で差異はないということです。

東京都による自粛要請は、法律に基づくのではなく、都の運用でやっているだけなのですが、国が宣言を出すと、法律に基づくものとなり、「緊急事態宣言」という言葉のインパクトで、人々の受け止め方が違ってくるというもののようです。

フランス、イタリア、イギリスなどでは法律で厳しい外出禁止の措置をとり、違反者には罰金が科されますが、日本の場合、外出禁止を守らなくても罰則はありません。

45条には2項から4項があり、それぞれ

【45条2項】都道府県知事は(略)、学校、社会福祉施設、興行場、その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者または、当該施設を使用して催物を開催する者に対し、当該施設の使用の制限もしくは停止、又は催物の開催の制限もしくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。

【45条3項】正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、都道府県知事は、(略)指示することができる。

【45条4項】都道府県知事は、要請又は指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。

となっています。

たとえばイベント自粛要請をした場合、今も緊急事態宣言が出た後も、要請であって強制力はないのですが、緊急事態宣言が出た後は、「45条2項」により自粛要請をしても、イベント自粛要請に応じない場合は、「45条3項」により、知事による「指示」をすることができ、「45条4項」により、同時に要請をした事業社名をホームページなどに「公表」することができるようになります。

このことで、事実上の強制力となると考えられています。

学校休校も「45条2項」により、要請することはできます。指示、公表に関しても同じです。

劇場や映画館、娯楽施設、百貨店、スーパーマーケット、ホテル、博物館、図書館、ナイトバー、理髪店、自動車教習所、学習塾などを閉める要請は、緊急事態宣言を出すことでできます。

食品や医薬品や燃料等、生活必需品等は売ることができます。

民間企業の業務停止を命じることはできませんが、外出禁止要請にともない、企業側が自主的に、テレワークなどのリモート推進に積極的になることは期待できます。

緊急事態宣言により、鉄道や道路を遮断することはできません。国は「緊急事態であっても公共機関は継続することが基本」との立場となっています。

特措法の20条と24条には、総理大臣や都道府県知事は、鉄道会社などの「指定公共機関」と総合調整を行うことができると書かれていますが、これはストップさせるというよりも逆で、感染が拡大した際でも公共機関の職員は働かなければいけないので、「最低限は交通機関を動かしてください」というもので、鉄道などを止めることは想定していません。

感染症法というのがあり、Ⅰ類感染症(エボラ出血熱やペストなど)に限り、消毒作業のために、最長72時間は強制的に交通規制をすることができます。JR等を止めたり道路を封鎖したりすることができます。

そして先月末に改正があり、コロナウイルスが、この感染症法におけるⅠ類に含まれることになりました。つまり、交通規制は、今回の新型コロナウイルスにも適応されることになりました。

緊急事態宣言で強制できることは2つ

強制力を伴う事例として、患者急増に対応する臨時医療施設の開設のため、都道府県知事は、土地や建物を所有者の同意がなくても使用できることになります。医薬品などの売り渡し要請を製造業者らに行えるようになり、保管命令や強制収用もできます。

たとえば特措法の55条では、マスクなど必要な物資の売り渡しの要請ができるほか、応じないときには、知事が強制的に収用できるようになります。

国がマスクを買い上げて北海道や医療機関などに配った例は、特措法とは別に、国民生活安定緊急措置法などに基づいて行われました。

医薬品や食品など必要な物資の収用などによる経済的な損害を被った場合、補償を義務づける規定もあります。

日本版ロックダウン

緊急事態宣言が出たとしても、外出自粛は「要請」ベースで強制力はなく、これまでの自粛要請とほとんど変わらないことが分かりました。

また、緊急事態宣言を受けて、地方自治体がロックダウン(都市封鎖)に踏み切るかどうかを判断することになります。

今のところ、緊急事態宣言を出すのは東京都が最優先であるようです。

海外のような罰則規定がある強制的な「ロックダウン」はできないことはわかりました。

これは、欧米では、平時での国民の自由度をかなり広く認めていて、有事の際にはその自由度を制限するという風潮がずっとあることから、「ロックダウン」として、行動等の自由を規制することを求められる風潮にあるということで、日本の場合は、自由を求めていても協調性のもとで自主規制を強いる風潮があります。

それゆえ、日本人の国民性を考えると、法的な強制力がなくても多くの人が協力するという見方があるのです。

国が緊急事態宣言を発令すれば、心理的な効果が働き、外出を控えるほか、多くの企業がテレワークに切り替えたり、臨時休業する店舗が増えたりするでしょう。

そこに法律で、「指示」を出された場合にそむいた場合、罰則規定はなくても名前が公表されることで、企業や学校がそれを無視することは難しいのではないでしょうか。

直接的ではないですが、一定の強制力はあるといえるでしょう。

法的な強制力を伴わなくても、事実上の「日本版ロックダウン」となるのではないでしょうか。

西村康稔担当大臣は、緊急事態宣言は大きなメッセージになると指摘し、同時に、若い人たちが地方に戻ると、東京・大阪の感染を広げ大変なことになるので、冷静に判断してもらいたいとも述べています。

こんご不安に思える、感染者が多い都市部から地方への移動を自粛するよう求めています。

ロックダウンを示唆した小池都知事は、緊急事態宣言発令待ちといったところです。

政治的判断とすれば、それは緊急事態宣言発令に伴う経済的ダメージであり、同時に、生活を守る経済対策を同時に出さなければ、本当の意味での国民の不安は払拭できないわけで、経済対策、生活保障対策を宣言と同時に打ち出す事が大事だと思われます…

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