マイホームにマイカーに海外旅行に…

 時代の変化とともに生活における価値観が変わってくる… 

昭和一桁の時代と今を比較しても意味はないでしょうが、法律や制度は、戦後の間もない頃から今に至るまで、あまり変わってはいないものが多いように思えます。

人生のテンプレートも、実はあまり変わっていないのではないでしょうかね…

一般に言われる「ライフプラン」は、まさに、戦後復興の高度成長期に培われたものをいまだに引きずっているもので、そういう意味では、今常識とされるライフプランの前提となる時代環境は大きく変わっているにもかかわらず、人生設計の概念だけは、時代の変化に対応していないと言えます。

いまだに、かつてのテンプレートを使用している状況だと思われます。

いくつか、一般に語られるライフプランの前提となる背景と今との違いを明確にしておきましょう。

一般的に言われている「ライフプラン」は、「終身雇用・年功序列」を前提としたものだと言えます...

この「終身雇用・年功序列」が、いまだに語れる人生設計における「夢」実現のための大前提になっているのです。
それは給料が安定して定年までもらえ、年齢とともに必ず昇給する社会が会ってのプランニングとなっているのです。

この「夢」の代表がマイホームで、かつては給料が多い大企業の社員でしかマイホームは手にすることができませんでしたが、高度成長期に入り、国民生活が豊かになり、「総中流社会」という妄想に近い幻想を見せられ、大企業でなくても日々の生活さえ切り詰めればマイホームが持てるという風潮が作られてきました。

“生活をきりつめて”というところがポイントで
節約をして家を買おうという思想が主流となりました...

高金利の住宅ローンを長期に組んでも、退職金で残債を全額返済し、60歳以降は年金で普通に暮らせるという将来設計が見えていた時代だからこそできた「節約前提マイホーム購入プラン」なのです。

ところが、超長期間に渡る低金利状態が、収入額が高くなくても住宅ローンを組むことができるようになりました。あくまでも“組むことができる”ということで、“返せることができる”ではありません。

低金利がローン返済額を少なく見せることで、小さなコストで大きな買い物ができるイメージが作っていったのです。

住宅販売会社にとっては絶好のセールストークであり、金融機関に取っては格好のローン商品販売の材料になったのです。

我慢してでも会社にしがみついていれば、終身雇用・年功序列ですから安定した給料は必ず約束されているので、無理してでも大きな買い物ができた環境にありました。

大きな会社にいれば自営業者とは違う企業年金もあり、老後の年金は確実に給付される約束が会った時代には、退職金でローン残高を返済しても老後収入を心配することはありませんでした。

だから会社を辞めることは考えらず、「転職は恥」と言われていました。

今ではどうでしょう。

終身雇用や年功序列の賃金体系は崩れ、年金支給は約束されたものではなくなってきました。退職金も支給されるかどうかはわからず、そもそも退職金制度自体がない会社も増えてきました。

それでも「マイホーム購入」が人生設計のテンプレートであることは変わっていないのです。

       マイカーにマイホームに海外旅行…

いまだにライフプランにおける「夢」としてこれらが語られているところに、時代考証がバージョンアップされていないようにも思えます。

とっくに終身雇用・年功序列は企業側が放棄していて、それを従業員側も受け入れて久しく、転職はステップアップと、前向きに捉えられる風潮になっています。

終身雇用・年功上列が崩壊したことで、人生を考える上での重心は「会社」から「個人」へと移っていきました。

ところがデフレ経済を長期に経験した日本において、そしてさらなる景気不安が蔓延する現代において、深刻なことが起こっています。

「キャリア・ショック」とよばれる現状です。

ステップアップして転職しても給料が上がらないのです。そのことで住宅ローンが払えない人が急増しています。 

子どもを産まないと決断する背景には経済的理由が大半を占め、いまや夫婦共稼ぎは当たりまえの状況になっています。

なのに年金制度は、“学校卒業と同時に専業主婦になる家庭”が「標準モデル」となっていて、それを前提とした制度設計になっています。
制度自体がバージョンアップされていないのです。

この年金制度が、とても今の私たちの老後を支えてくれる制度であるとは思えないのですがね。

とにかく、今語られている“一般”のように言われているライフプランは、もう捨て去ったほうが良いように思えます。全てを一から見直さなければならないと思われます。

すでにこのような状況にある人生設計環境に「コロナ」というものが覆いかぶさってきたのです…

私たちが今なすべきことは、将来にわたり減るであろう、少なくとも増えることはないと思われる収入(給料や年金等)に対してどう対処すべきかということです。

増えない収入をそのまま受け入れて支出を減らすことに専念する「生活サイズの縮小」か
あるいは
収入手段を増やしていくことを考えるか...

後者の、収入手段を増やすこととして考えられるのは、いま国が積極的に働きかけている「副業の奨励」に乗っかることです。積極的に「副業制度」に取り組むことは、重要な選択肢の一つと考えます。

もうひとつは、積極的に投資に取り組むことです。

とにかく「資産の構築」が大事になってきます。

副業はフロー改善が主な役割で、そこから資産を捻出して運用で資産を大きくしていくという人生設計を構築していくことがベターだと考えます。

「価値」の画一化
テンプレートの幸せの意味

“多様化”ということばが叫ばれる時代に於いて、幸せの形も多様であるべきで、その実現のための資金計画では、生活サイズが縮小される時代に於いては、効率的な考えも抱き合わせたほうが合理的に思えます。

マイホーム購入前提のライフプランは、そろそろ見直してみてはいかがでしょうか…

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