新型コロナ感染拡大と年金制度、年金はもらえない?
年金制度は、高齢者が働かなくても収入が確保できるようにする制度です。
そのために、給料が支給される間に、収入があるときに「保険料」として国にお金を預け、それを老後に働かなくなったときに還元してもらうものです。
年金とは、“自分のお金を老後に引き出す”ものなのです。
年金制度には「助け合い」の精神があり、現役時代に保険料を納められなかった人にもお金を分けてあげようという、相互扶助のこころも注入されています。
国は、国民から“預かった”保険料を、大切に保管管理しなければなりません。
預かっている保険料額だけでは広く国民に年金を給付するのは困難なので、税金や保険料をマーケット運用して得た収益を、給付する年金額に補填します。
つまり国は、年金制度に関しては
- 国民から預かっている保険料の管理
- 国民から預かっている保険料の運用
- 保険料徴収及び年金給付の事務処理
を担うものだということです。
本来は、保険料を国民への給付以外のことに利用することは許されないはずです。国家の「第二の予算」という性格であってはいけないのですがね。それゆえ、保険料の株式運用に関しても、大きな議論を呼んだのです。
保険料が、年金給付の原資となっています。それゆえ、保険料額は人口動態が関わってきます。
税金投入のための税収や、マーケット運用による収益も、経済状況の影響を大きく受けることになります。
少子高齢化や経済状況が、年金制度に大きく関わってくるのです。
人口減少の日本においては、年金制度における年金収入が先細りになっていることは明らかで、さらにこのコロナ禍で経済が崩壊することで、税金投入や運用益に大きなダメージになることが予想されます。
2004年の年金制度改革で、5年ごとに年金制度の財政検証を行うこととしました。財政状況により、給付水準を調整することになりました。
直近の財政検証は2019年に行われました。
検証では、労働参加者数の増減と経済成長の有無により、年金給付に関して5つのパターンが想定されています。
ずっと賃金が伸びず、経済状況の回復が見込めない場合は、「最悪のシナリオ」というものが想定されています。それは、2052年度には年金積立金がなくなって完全賦課方式となり、2024年度の所得代替率、つまり年金支給額は、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)の38~36%になるというものです。
あくまでもシナリオ上の話なのですが、今のコロナショックによる経済状況では、予想を遥かに上回る経済の悪化状態であり、年金制度そのものが維持できなくなることが想像されます。
年金制度維持のために重要なのは
- 少子化対策による目に見える人口増
- 雇用環境の改善(賃金上昇含む)
これらを支えるのに必要なのが経済回復です。
株式運用の世界は、必ずしも実体経済とは連動しないので、経済状況が悪いので運用環境が良くないというわけではありません。景気が回復すれば、株式長期投資の環境は良くなることは考えられます。
新型コロナウイルス感染者拡大による経済活動停滞は、景気悪化を招き、雇用に真央大きなダメージを与えます。それは、年金制度の未来にも悪影響になることは間違いありません。
つまり、コロナ対策の進展は、私達の将来の年金受給にも大きな影響をもたらすのです。
いまのままの、いつ終わるかわからないコロナとの戦いが長引けば、目先の金銭面でもそうですが、将来の老後生活にかかわる年金制度維持にも問題が生じ、将来不安にもつながっていきます。
もはや私達にとっては、目先に於いても将来に於いても、コロナ次第ということになります。政府の役割はそれだけ大きいということです…