在職老齢年金制度見直し…これって60歳以降もしっかりと働きなさいと言われているような気がするのですけど…
在職老齢年金制度…
月収に応じ、厚生年金を受け取る働く高齢者の年金を減額する制度で、65歳以上の場合、賃金と年金の合計が月「47万円」を上回ると、超えた金額の年金支給額が半分に減ります。
年金は、老後の働けなくなった時の収入源なので、給与所得があるのなら「年金は我慢して」というものです。本来なら受け取れる年金を我慢してもらい、年金財政の維持につなげているのです。
平成30年度末で対象者は約41万人おり、支給停止額は約4100億円だったようです。
ずっと議論してきたのが、この「47万円」という数字です。政府はこれを引き上げようとしていました。
厚生労働省は先月、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会に「47万円超」を「62万円超」に引き上げる案を提示しました。
しかしこの数字に対しては、野党ばかりか与党からも「減額基準が高すぎる」との批判が続出したことを受け、厚生労働省は現役世代の平均的な賃金と平均的な年金(報酬比例部分)の合計額を基に「51万円超」に修正しました。
これで決着するとみられたのですが、今度は公明党から「51万円でも高い」などと納得を得られませんでした。
なぜ、年金調整の上限を引き上げたいのでしょう。
政府見解としては、高齢者の就労促進につなげる狙いがあるとしています。つまり年金が減額されない範囲が広がると、働いて給料を多くもらっても年金支給額が減らない可能性が高くなることで、高齢者にもっと働いてもらおうとしているのですね。
政府は高齢者雇用を促進しているわけで、在職老齢年金制度は就業意欲を損なっているとの指摘を受けて見直しを進めていました。
年金支給額が減る、あるいは支給されないことは、自分が今まで払ってきた保険料総額との兼ね合いで、損をすることを嫌うのでしょうね。
本来なら65歳から満額もらえるところを、賃金をもらっているからということで、年金額が半分に減らされるのであれば、賃金を上げるよりも年金を満額もらったほうが、今まで保険料を払っているだけにもらわなきゃ損だと思うのでしょう。
国民感情、もっと言うと、大事な票田である高齢者の感情を逆なでしたくないのでしょうね。
という事で、「47万円」の現状維持となりました。
年金が減らされる基準額を引き上げに反対する理由として、
・就労意欲の促進につながるか効果が見えづらい
・高所得者の優遇になる
と反論したのです。
・将来の給付水準の悪化につながる
年金が減らされる基準額を引き上げると、年金支給総額は増えます。年金が減額される基準を51万円超にした場合、年金支給額は年間約700億円増え、それに伴い、現役世代の将来の年金水準が目減りするとのことです。
65歳以上の年金が減らされる基準額を引き上げは見送り現状維持としましたが、60~64歳については、就労促進に一定の効果が見込まれるとして、年金が減らされる基準額を今の28万円から、65歳以上と同様に47万円に引き上げる方向で調整しています。
定年を、実質65歳まで引上げ、再雇用を促進していますので、たしかにこの年齢層では、賃金を増やすように働いてもらったほうがよいですよね。
この在職老齢年金見直しの議論が何故始まり、このような決着となったのかよくわかりませんが、とにかく
60歳以降もしっかりと働いてね
というメッセージにも読み取れます。
加藤厚生労働大臣は記者団に、
「これからの人生100年時代、健康寿命を延ばし、就労希望者に機会を提供していく中で、それに応じた年金制度の見直しに取り組みたい… 」
と述べました。60歳以降も働きなさいということなのでしょうね。