公的年金制度に頼らない老後設計
老後資金設計は、必ず公的年金を中心に設計されています。
カタカナの「ライフプラン」でも、漢字四文字の「将来設計」でも、その中心には必ず “なくてはならないもの” として「公的年金制度」があります。
すべてのプランニングは、この「公的年金制度」が今のままであり続けることが大前提となっています。
それは、今の公的年金制度が今のままであり続けることが大前提となっています。
多くの人にとって、老後資金原資は「公的年金制度 + 退職金」になっていると思われます。
公的年金制度なくして将来設計はありえない…そう言いきっても過言ではないでしょう。
国と会社の制度なしでは老後生活は考えられない…
このことは、公的年金制度や退職金制度が崩れれば将来設計は成り立たないということをも意味しているということにもなり、それは実に恐ろしいことですよね。
実はこの大前提となる公的年金制度や退職金制度に対して、国民の信頼が大きく揺らいできているのです。
退職金制度は、実際になくなりつつあります。
ひょっとしたら、公的年金制度もいつかなくなるのではないでしょうか…
いま若い世代を中心に危惧されていることは、自分たちが65歳になったときに「本当に年金は支給されるの?」ということです。
年金制度そのものの「存続」が不安視されているのです。
最近では、公的年金制度に代わる「ベーシックインカム制度」が議論されているようです。
制度存続の不安を抱えながらも将来設計は、公的年金制度に依存しているというのは、矛盾したものがそこにあると言わざるを得ません。
多くの人たちにとっては「公的」という言葉にすがりたいのでしょう。年金制度に関しては
「頭では存続不安を理解はしているが、心で納得していないので、老後準備の行動はフリーズしている」
という状態になっているのでしょう。
この表現には、公的年金制度への今の日本国民の、どうしようもない思いが込められているような気がしますね。
国は会社の制度に頼るしかないのか…
こんな状況でも老後資金を公的年金制度に頼らざるを得ないのは、年金以外に具体的なアイデアが無いのではないでしょうか。
どこかで制度に頼ってしまうというのは、裏を返せば制度に頼ること以外に良いアイデアが浮かんでこないということになるのでしょう。
実際65歳を過ぎると稼ぐ力も衰えて来ますし、投資やトレードで収入をカバーするにも、あまりにも不確かな部分が多くて、なにより未知のものは怖いですからね。
投資やトレードはだめ、ビジネスはイメージがわかない、そうなるとどうしても労働の延長線上でしか物事が考えられなくなってしまいます。
それだとなかなか良いアイデアは浮かんでは来ないでしょう。
給料は“貰う”ものではなく“稼ぐ”ものである…
まずは労働の考え方を変えることです。
就職さえすれば生活費は安泰…という時代は終わりました。
会社が発するメッセージでも「自社一社でみんなの生活を支えるのは無理」というものが出てきています。
「副業・兼業」の奨励が良い例です。
週休3日、週休4日の制度を導入する企業も、出てきています。
ようは「お給料が払えないから、あまり働かないで..」というメッセージです。「ワークライフバランス」は、体の良い論点ずらしの“すり替え”です。
日本では「時間単価×労働時間」で給料を決める「メンバーシップ型」で労働価値を評価します。したがって、労働時間が減れば給料は下がります。
内閣府レポートの「ここ30年間なぜ給料は上がらなかったのか」という分析において、「労働時間が増えなかった」と「非正規雇用が増えた」ことを、要因としてあげています。
日本では、労働は「コスト」なのですね。
海外では「ジョブ型」とよばれる成果主義ですから、成果物さえ良ければ労働時間が短くても労働評価には関係ありません。
つまり週休3日でも4日でも給料は“減らない”のです。
労働の発想の転換
日本の労働者が成果主義という言葉にアレルギーを感じていて、メンバーシップ型を望んでいるのですから、それは仕方がないですね。
公的年金制度や企業の退職金制度に頼らないで老後設計できるようにするには、自らお金を稼ぐ能力を身につけることが大事になってきます。
現役の時代から、給料以外の収入手段を確保することに心がけていきましょう。副業・兼業に前向きに向き合うことで、老後生活のプランニングにおいても、公的年金制度に頼らない設計ができるようになるはずです。
自分の生活費は会社が払ってくれる、会社から貰うものではなく、給与所得者であっても自ら稼ぐものであることを自覚を持つことです。
それが労働においての「発想の転換」になるのです…
真の意味での「自立」…
ファイナンスの手段と仕事を分けて考える…
例えばNPOのように、社会課題を解決する行動は、往々にして利益には繋がらないことがあります。ボランティアの要素が多くなることがあります。
特に社会的弱者救済という類のものは、対象者となる人からお金をいただくことは厳しいものがありますよね。
それでもその支援なり活動は、続けて行くことが重要になってきます。でも、そのためにはお金が必要です。
NPO活動に限らず、普段の生活においても、家庭を守る、生きていくためにはお金が是帯に必要になってきます。
メインとする活動や仕事の他に別のファイナンスの手段があれば、メインストリームからだけでなく別口からの収入手段が確保できれば、それはそれで、社会的課題解決活動を続けるには有利であり、生活を守る上でも精神的にも余裕を持つことができます。
いま世の中では、「副業・兼業」が取り沙汰されています。
お金を稼ぐ“業”と、思いを伝える“業”とを分けるのも、良いかもしれませんね。
非営利事業 ✕ 営利事業
魂が求める業 ✕ 収益を優先する業
こんな感じで社会に貢献するのが「新しい資本主義」になるのではないでしょうか。
メインストリームだけで、ファイナンスも含めて全てが完結する経済環境はもう終わりました。二度と戻ってはきません。
それこそ新しい資本主義の生き方を模索する必要があります。新しい会社との関係が必要になってきます。
会社側が「副業・兼業」を認め、「リスキリング」を推進するように変わってきています。それに合わせる必要はないかもしれませんが、世の中の流れとして経済の状況から見ても、抵抗するのではなく私達従業員側も変わっていく必要があると思いますね。
強いから勝てるのではない
変化に対応できる物だけが生き残れる…
かのダーウィンの言葉です。
それを心の底から理解することが、最も重要なことだと思いますね…