「増やす」と「殖やす」は意味が違う~「運用」と「投資」と「トレード」の言葉の使い方を考えよう…
「増やす」「殖やす」の言葉の整理
「ふやす」という言葉に使われる漢字としては
「増やす」と「殖やす」
があります。
前者は積木を積み上げるイメージで、新しい資金(New Money)を投入することで全体のボリュームを膨らませるもので、「積立」手段で用いる表現です。従って、新しい資金(New Money)がないと全体のボリュームは増えません。
後者は、投じた資金そのものが成長することで全体のボリュウムが膨らむることを求めるもので、「運用」手法で用いられる表現です。従って、新しい資金(New Money)がないと全体のボリュームは増えないというわけではありません。
結果的に全体のボリュームが膨らむのが。前者の「積立」で使われる「増える」に含まれるイメージで、後者の「殖える」には、積極的にボリュームを膨らませるイメージが含まれます。
従って「殖える」ことでボリュームが膨らむのは、「結果」ではなく「目的」となっているわけです。意志を持ってボリュームを膨らませているのです。
つまり、「運用」には必ず「目的」があるのです。「Why(なぜ)」に対する答えが資産運用には求められ、それを前提に運用を行うことが大事です。
なぜ資産運用をするのか
その行動はいつまで続くのか
その成果が必要なのはいつの時点で、どれくらいの金額が必要か…
単に「資産をふやすため」という回答の場合の「ふやす」は、おそらく発言者のイメージは「増える」に近いと思われます。つまり積極的に投じた資金を成長させるうえで、必ず取らなければならない「リスク」に対する覚悟がない状態だと思われます。
リスクを取る…
「殖やす」という能動的に資産を成長させることは「リスク」を取ることが前提にあり、そのために、それなりの知識と努力が必要だという事になることを理解する必要があります。
勝手には資金は“ふ(殖)えて”はくれませんからね。
つまり「運用」には「リスクを取る」事が前提で、勉強と努力は付き物だということです。
「運用」「投資」「トレード」の言葉の整理
投じたお金を積極的に成長させる、つまり「殖やす」行動が「運用」です。「運用」は、お金を放置するのではなく“動かす”ことで殖やすのが「運用」になります。
どうやって“動かす”のかがテクニックの話になりますが、一般的には証券投資や不動産投資が考えられます。
「運用」は、「制度の運用」という使われ方もあります。
制度を作るだけでなく、実際の行動においてうまく活用することを「運用」と表現します。活用の前には「有利に」「効果的に」という言葉がつきます。
お金の運用においても、「効率的な」という表現が「運用」の前に付きます。
「運用」の目的は「お金を殖やす」ことで、その時々の経済状況を鑑みて、どうやって運用すれば効率的(損をする確率よりも利益を得る確率のほうが高まるか)かを考えます。
「投資」は、「資本を投じる」というもので、「資本」の中には「資金」があります。
「運用」も、お金以外のことでも用います。「投資」も、資金(お金)だけでなく、人という資本を使って、効率的なリターンを得ることも考えられます。
リスクを取って利益を求める行為が「投資」ですが、資本を投じる先は、金融市場だけでなく、企業活動などの業務そのものに、自分が持っている資本(お金、人材、物的資本、アイデアなど)を投じることもあります。
「トレード」は、商売、取引を行うことで、価値の交換(野球のトレードなど)という意味で使われます。
ものの「価値」を取りにいく行為ですね。金融市場では、物を動かして得た利益をお金に換算して手にするイメージです。
行為そのものが価値を生むわけで、時間軸で言えば、「投資」は行動してから効果を得るのに時間を必要とするのに対し、「トレード」は行動と同時に価値が明確になるというものです。